消費者庁が「最大半額オフ」に注意喚起――同プログラムはすでに数年間提供中。なぜ「いまさら」なのか石川温のスマホ業界新聞

» 2019年10月04日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 9月26日、消費者庁は携帯電話端末に関する注意喚起を行った。

 具体的な名指しはされていないものの、「最大50%オフ」などの表記を問題視していることから、ソフトバンク「半額サポート+」ならびにKDDI「アップグレードプログラムDX」が該当しているものと思われる。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年9月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額500円・税別)の申し込みはこちらから。


 両社とも、同様のプログラムは、この9月から新規に始めたわけではなく、すでに提供していたものの焼き直しに過ぎない。なぜ、このタイミングに取ってつけたように、付け焼き刃的に注意喚起をしてきたのか理解に苦しむ。総務省のSIMロック退治とともに、どこからかの指示があって、消費者庁が動いたのではないか、という見方をするキャリア関係者も多い。また、「半額をアピールできないNTTドコモが消費者庁に刺しにいったのではないか」という声もある。

 確かに、2つのキャリアが展開している「最大50 %オフ」などの広告は、消費者に誤解を与えるのは事実だろう。実際は毎月390円などのプログラム料を徴収しているし、使用している端末も返却が求められる。「最大50%オフ」は明らかに事実ではない。

 しかし、ここで消費者庁が注意喚起を行ったところで、キャリアは「24回分の支払い不要」「2年使えば、新機種にお取替え」といったように、別の言い方はいくらでもできる。

 今回の注意喚起は単なる「言葉狩り」であり、何の意味もない、不毛な措置といえるだろう。

 こんな注意喚起をしたところで、ユーザーの通信料金は4割下がるものでもないし、料金競争につながるものではない。

 48回払いのうち、24回支払えば残債が免除されるプログラムは、総務省が改正法で端末の割引を規制する中、「端末販売と通信料金は分離されてますから」という言い訳が立つことで、見事にキャリアの勝利に終わったように見えた。それが悔しかったのか、総務省はSIMロック解除の即時義務化を迫り、消費者庁は広告の注意喚起に乗り出した。

 総務省や消費者庁は、これで仕事をした気になっているかも知れないが、結局、菅官房長官の「通信料金は4割値下げできる余地がある」という状況に至っていない。

 ここまでくると、総務省や消費者庁としては万策尽きた感があり、彼らがやれることはもうないのではないか。

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