Smart KeyboardやiPadOSの使い心地は? 第7世代「iPad」(3万4000円〜)のコスパを検証する石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2019年10月06日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 9月30日に、Appleが第7世代の「iPad」を発売した。10月4日には、ドコモ、au、ソフトバンクが同モデルの取り扱いを開始している。同モデルは、9月10日(現地時間)に米カリフォルニア州クパチーノで開催されたスペシャルイベントで、iPhone 11シリーズやApple Watch Series 5と合わせて発表された。現行モデルの中では最も低価格で、Wi-Fi版は3万4800円(税別、以下同)から。モバイルデータ通信の利用できるWi-Fi+セルラー版も4万9800円と、手に取りやすい価格を打ち出している。

 位置付けとしては、2018年発売された第6世代iPadの後継機だが、新たにSmart Keyboardの利用が可能になった。ディスプレイサイズも、9.7型から10.2型へと拡大している。Wi-Fi+セルラー版は、Apple SIMと統合された形のeSIMも内蔵。第6世代から対応したApple Pencilも、引き続き利用可能だ。

iPad 9月30日に発売された第7世代のiPad

 iPadが第7世代に置き換わったことで、Smart Keyboard対応モデルが拡大。現行モデルは、iPad miniを除く4機種が、Smart KeyboardとApple Pencilに両対応した格好だ。これは、次世代のコンピュータとして、PCのリプレースを狙うAppleの戦略に沿った進化といえる。当然、出荷時からiPadOSを搭載しており、強化されたマルチタスク機能や、ファイルアプリ、ダークモードなどを利用できる。この第7世代のiPadを、短い期間だが試用することができた。本連載では、そのファーストインプレッションをお届けしよう。

大画面化というよりキーボード対応、10.2型化の真意

 ディスプレイサイズが9.7型から10.2型へとアップした第7世代iPadだが、正直なところ、0.5型の差で映像の迫力が大幅にアップすることはない。第6世代と比べると「ちょっと大きくなったかな?」と感じる程度で、大画面化を期待していると肩透かしを食った気分になるかもしれない。一方で、ボディーのサイズはiPad Airと同じになり、厚さは7.5mmとiPad Airの6.1mmよりあるが、250.6(高さ)×174.1(幅)mmという数値は、全く同じだ。対iPad Air比でディスプレイが0.3型小さいため、その分ディスプレイ周りのベゼルはやや太くなっている。

iPad 本体のサイズは、縦横がiPad Airとまったく同じ
iPad
iPad 厚さは7.5mmで、iPad Airよりややズッシリした印象

 第6世代の後継機ながら、本体のデザインはよりiPad Airに近づいたというわけだ。これは、大画面化というより、Smart Keyboardへの対応を優先したためだとみられる。第7世代iPadは、側面にSmart Keyboard用の端子を備えており、Smart KeyboardもiPad Airと兼用。厳密に言えば、現行のiPad Airの前身とも呼べる、10.5型のiPad Proと同じSmart Keyboardを利用することができる。

iPad iPad Airなどと同じSmart Keyboardを装着できる

 見た目はiPad Airに近くなったが、価格が価格なだけに、ディスプレイの品質はお値段相応といったところ。解像度や色などの表示品質は高い方だが、やはりフルラミネーションディスプレイではない点は、使っていると少々気になってくる。フルラミネーションディスプレイは、ディスプレイとガラスを一体化させる技術のこと。これによって、他のiPadはあたかもガラスにそのまま映像が表示されているかのように見える。これに対し、第7世代iPadは、目視でも映像がガラスの奥にあることが分かる。

iPad 真正面から見るとあまり気にならないが、角度をつけてみるとディスプレイとガラスの隙間があることが分かる

 フルラミネーション加工を施していないからといって、映像の品質が大きく下がるわけではないが、操作時の感覚が少々異なってくることは覚えておきたい。他のiPadの場合、アイコンやボタンに直接触れているような錯覚に陥るが、第7世代iPadではその感覚がやや薄くなる。Apple Pencil使用時の違いはさらに大きく、ガラスとディスプレイの隙間があるため、ペン先から少し離れた場所に字や絵の線が表示されることが体感で分かる。ただし、追従性などの書き心地に関しては、iPad Proと比べてもそん色ない。フルラミネーションディスプレイは、価格とのトレードオフとして割り切るべき点といえる。

iPad ペン先からすこし離れた場所に線が書き加えられるように見えるが、書き心地自体は他のiPadとそん色ないレベル

 他にも、環境光に応じてディスプレイの色温度を変える「True Toneディスプレイ」や、P3の高色域には非対応。iPad Airのような、光の反射を抑える加工も施されていない。とはいえ、明るさは500ニトと同じで、ピクセル密度も264ppiとRetinaディスプレイの基準を満たしている。上位モデルと比べれば、確かに足りないところはあるが、最低価格であることを考えれば、クオリティーは十分だ。

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