シェアを減らす現状に対し、NTTコミュニケーションズが出した答えが新コースだ。従来は1日あたりの容量を設定した日次コースと、大手キャリアに近い月次コースの2つに分かれていたが、新コースでは、月次コースに一本化した。データ容量は、1GB、3GB、6GB、10GB、20GB、30GBの計6種類。いずれも省令に従う形で、最低利用期間や違約金は設けていない。料金は1GBのプランで1180円だが、「OCN光モバイル割」が適用されると200円が割り引かれ、月額980円からとなる。3GB以上のプランには、データ専用SIMや、SMS対応データ通信SIMも用意される。
旧コースにある日次コースは1日で容量のカウントがリセットされるため、データ量の変動が多い人には使い勝手がよく、「正直に言うと、一番売れているコース」(OCN モバイル ONE サービスプロデューサ 木藤暢俊氏)だという。売れ筋のプランをあえて廃止したのは、「業界としては、『ギガ』が一番分かりやすいところ。多くのユーザーに分かってもらうため、『ギガ』で勝負していきたい」(同)という理由からだ。
背景には、MVNOのユーザーの裾野が広がっていることが挙げられる。NTTコミュニケーションズは、早くからMVNOに参入していたこともあり、「ギークやイノベーターの方にご好評いただいていた。当時はこんなに売れるのかというぐらい売れ、急きょ生産を増加したりもした」(同)。一方で、異なる単位の料金が並ぶと、どちらを選んだ方がいいのかが、直感的に分かりづらくなる。「大手キャリアに満足していた人が移行していく」(吉本氏)段階に入りつつある中、既存の料金ではお得感を打ち出しづらくなっていたというわけだ。
木藤氏も、「品質や料金面で、多くのお客さまにご満足いただけなくなっていた」と反省する。多くのMVNOが収益性の悪い1GBの料金を廃止する中、あえてこれを残しつつ、3GBや6GBの料金も直接的な競合となるIIJmioより安く抑えた。強いて言えば、料金水準としてはソフトバンク傘下のLINEモバイルや、KDDI傘下のBIGLOBEモバイルに近い。グループ同士の競争という観点で見ると、OCN モバイル ONEの新料金は、NTTグループに足りなかった、サブブランドのポジションを明確にしたと捉えることもできそうだ。
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