コラム
» 2019年12月31日 09時08分 公開

HDR+夜景が進化、複眼カメラは超広角か望遠か――2019年のスマホカメラを振り返る (1/2)

2019年のスマートフォンカメラは面白かった。大ざっぱにいうと、着目点は2つ。1つは「ナイトモードを含むHDR」の強さ。もう1つは「2つ目、3つ目のカメラに何を持ってくるか問題」だ。動くカメラや超高画素センサーも気になった。

[荻窪圭,ITmedia]

 2019年のスマートフォンカメラは面白かった。もう全体に前に進もうというベクトルが強くて面白い。大ざっぱにいうと、着目点は2つ。1つは「ナイトモードを含むHDR」の強さ。もう1つは「2つ目、3つ目のカメラに何を持ってくるか問題」だ。

ここ1〜2年でHDRが劇的に進化したのだ

 取りあえず次の画像を見てほしい。左がデジタル一眼で撮ったもの、右が「iPhone 11 Pro」で撮ったものだ。比較するつもりで撮ったわけじゃないので撮影位置がちょっとずれているけど、何が起きているかすごく分かりやすい。

スマホカメラ 普通に撮ると左のようになるけど、HDRが働くと右のように

 ぱっと見ると、iPhone 11 Proの方が見栄えがいいでしょ。影になっているとこも明るく撮れているし、空の青さもちゃんと出ている。この構図は明暗差が大きすぎて、左のようになるのが普通なのだ。

 でもイマドキのスマートフォンは自動的に「1回のシャッターで何枚も高速連写してそれを合成することで、明るいところから暗いところまで万遍なく捉えた絵を作ってくれる」のである。さりげなく見栄えのする写真に仕上げてくれるわけだ。オートHDRである。

 これがうまい端末は見栄えのする写真を撮ってくれる確率が高い。かけすぎると暗部が浮いてコントラストに欠ける写真になるし、iPhone 11のように青空を強調しようとしすぎるのか日陰部分が青っぽくなってしまう傾向が出ることもある。

 ナイトモードもその応用。夜景って「暗いところ」(夜だしな)と「超明るいところ」(イルミネーションや電灯)が混在するからHDRは欠かせないし、暗いとノイズが乗りやすいので連写+合成でノイズを低減させる処理も必要。だからどの機種もナイトモード(夜景モード)で撮ると時間がかかるのだが、夜景モードの方がHDRも強くかかってハイライト部も白トビしなくなる。

スマホカメラ 「Galaxy Note10+」のナイトモードと通常の写真モードの一部拡大。ハイライト部を見ると違いが一目瞭然

 さすがに5秒もかかるとアレだけど。個人的にスマートフォンの画像レベルが上がった一番の要因は、このあたりにあると思う。こっそり超高速連写し、超高速デジタル処理で光学的な不利を補うのがスマートフォンなのだ。

3つ目カメラのさらなる望遠化は流行する?

 これが一番面白い。私が最初に触ったデュアルカメラ機は「HUAWEI P9」で、2016年。2017年には2つ目のカメラが望遠になり、2018年には3つ目のカメラとして超広角レンズを搭載してきたのである。

 2019年はどうだったか。他社がトリプルカメラに乗ってきた中、Huaweiは3つ目のカメラの望遠倍率を上げてきたのである。3xの「HUAWEI P30」と5xの「HUAWEI P30 Pro」だ。さらにOPPOも光学5倍カメラを搭載してきた。

 5xともなると長すぎてボディーに収まらないので、2社とも「屈曲光学系」(ペリスコープ型)を採用して、本体内に横向きに入れたくらいである。

スマホカメラ 「OPPO Reno 10x Zoom」発表会にて

 それが成功すれば他社も追いかけるかも……と思うのだが、個人的にはちょっと焦ったかな感が否めない。

 理由は2つ。スマートフォンは光学ズームではなく、異なる焦点距離のレンズを切り替えながら使うのが主流だが、P30 Proに至っては「1x→5x→10x」なのだ。いきなりジャンプしすぎ。そこまででかく撮りたいわけじゃないんだよ案件が続出で、かといって2xくらいでピタッと止めるのがけっこうめんどくさい。

スマホカメラ P30 Proのカメラアプリ。1xの次はいきなり5xなのだ。2xや3xに瞬時にセットするのは無理

 画面に最初から「0.6x」「1x」「2x」「3x」「5x」と並べて瞬時に切り替えられるUI(ユーザーインタフェース)を希望したい。

 もう1つは、5x以上の望遠カメラが必要なケースって少ないのだ。面白いけど、日常的に使う画角じゃない。しかもスマートフォンサイズに5倍は無理があったのか、センサーサイズも小さく、メインカメラに比べるとクオリティーも劣る。いきなり5xはちょっとムチャだったかなと思うわけである。

スマホカメラ 望遠なら動物園だ! と出かけたけど、天候に恵まれず、ちょいとつらかった。Reno 10x Zoomで

複眼カメラは超広角の時代へ

 シングルカメラだったGoogleの「Pixel 3」が望遠カメラを追加した「Pixel 4」に進化し、シングルカメラだったAppleの「iPhone XR」が超広角カメラを追加したiPhone 11に進化した。

 どっちが正解か。スマートフォンという製品の性格を考えると、超広角カメラだと思うわけである。

スマホカメラ 巨大建築物も超広角カメラなら一発。iPhone 11 Proで撮影

 スマートフォンは日常的に持ち歩き、身の回りのあらゆる情報を収集し、整理し、発信するアイテム。だから、広い範囲を一度に記録できる超広角と相性がいいのだ。将来、ARやMRが当たり前になると、その空間からより多くの情報を得られる超広角カメラはより求められるはず。

 逆に、望遠側はある程度デジタル技術で補える。Googleが微妙な手ブレによるわずかなズレの蓄積を利用して、より解像感の高いデジタルズームを行うように、である(参考記事)。

 結局、2019年にあれこれ使った中で一番扱いやすかったのが、サムスン電子の「Galaxy S10」「Galaxy Note10+」と、AppleのiPhone 11 Pro系。超広角が35mm判換算の13mm相当で、メインカメラが同26mm相当で、望遠カメラが同52mm相当ときれいに0.5x→1x→2xで、合計すると広角系3倍ズームになっているのだ。これは分かりすく使いやすい。

 もっと望遠が欲しいなら2xの望遠カメラに追加する形にした方がいいんじゃないかと思う。超広角→1x→2x→5xの4連カメラ、みたいな。さらにマクロ専用カメラを積んで5連にしたらXiaomiの「Mi Note 10」……まあそこまでイカなくてもいいけど。

スマホカメラ Mi Note 10の5連カメラ。マクロ、超広角、広角、ポートレート、望遠。全部画素数が違うのがまたすごい
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう