外出自粛要請で俄然、注目の「モバイル空間統計」――リアルタイム情報提供で外出を抑制できるか

» 2020年05月01日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」
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 連日のコロナウイルス感染症についての報道の中で、よく目にするようになったのがNTTドコモの「モバイル空間統計」だ。外出自粛要請の中、「8割削減」という目標が掲げられたが、「実際にどこだけの人出があるのか」という統計データとしてモバイル空間統計が引用されている。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年4月25日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 東京・新宿や大阪・梅田など繁華街であれば、人が減ればそれだけ減少率の割合は大きくなる。

 メディアなどでは「鳥取駅なんて10%も減っていない。けしからん」という風潮で批判されているが、そもそも平常時であっても鳥取駅前には店舗もなければ人もほとんど歩いていない。そんな人がほとんどいない場所から8割削減するなんて無理があるし、もうちょっと考えて報道できないものか。

 モバイル空間統計については4月30日放送のラジオNIKKEI「石川温のスマホNo.1メディア」で担当者をゲストに呼んでおり、どんなサービスなのかなどを詳しく話してもらっているので、ぜひとも聞いてほしい。

 番組中、「将来の方向性」を聞いたのだが、「今後はリアルタイム性を強化したい」という話であった。現在は1時間前程度の混雑状況しか把握できないが、将来的にはリアルタイムにわかるようにしていきたいとのことだった。

 ここ最近、「スーパーの混雑をなんとかしなくてはいけない」という雰囲気になっている。そもそも、緊急事態宣言でスーパーの営業時間が短くなっているし、自宅待機で、家で食事をする機会が増えているのだから、当然、スーパーにいく回数も買う商品も増加しているはずだ。

 にもかかわらず、「スーパーにいくのは3日に1回」という制限をつけてしまうのは無理がありそうだ。

 ここでやはりスマホの出番だろう。近所のスーパーに客がどれくらいいるかがリアルタイムでわかれば、「今はいくのをやめておこう」とか「今なら空いているから大丈夫」といったことが可能となる。

 モバイル空間統計は500メートル四方で混雑状況を把握するので「スーパーの中」というのは現状、難しかもしれない。

 現在、アップルとグーグルは感染者と接触した時がわかるプラットフォームを共同で開発中だが、せっかくならば、そのプラットフォームに「スーパーの混雑状況を調査する機能」を盛り込んでもらいたいものだ。

 すでにサミットなどではグーグルマップをベースとして混雑状況を見えるようにしているようだが、やはり今回を契機に、よりリアルタイムで正確性のある「混雑状況を確認できるツール」を開発していくべきだろう。

 おそらく、しばらくはコロナと付き合いながら生きていく社会になりそうだ。「人との距離をどう保つか」を考えていかなくてはならないだけに、これから継続にスマホの力をもっと活かす必要があるだろう。

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