ソニーモバイルが“SIMフリーのXperia”を本格投入する狙いは? カギはミッドレンジにあり:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)

» 2020年08月22日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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シェア奪還なるか、カギになるのがミドルレンジモデルの展開

 日本ではAndroidスマートフォンのトップシェアを誇っていたソニーモバイルだが、海外では台頭する中国勢の追い上げを受け、苦戦が続いていた。構造改革でいたずらにシェアを追わない方針を打ち出し、販路を縮小。一方で日本でも、2016年に発売した「Xperia X」シリーズが振るわず、徐々にシェアを落としていた。こうした事情が重なり、2019年度通期での販売台数は320万台にまで減少している。ミドルレンジモデルやSIMロックフリースマートフォンの展開も遅れ、シャープだけでなく、Samsungにも抜かれ、シェア4位(MM総研調べ)に甘んじている。

Xperia 2019年度通期のスマートフォン出荷台数シェアは8.5%で、Apple、シャープ、Samsungのリードを許す(MM総研調べ)

 SIMロックフリースマートフォンの投入は、こうした状況を抜け、反転攻勢をかけるための第一歩とみることができる。ソニーモバイルにとって手つかずの市場なだけに、SIMロックフリー投入ぶんはプラスになるはずだ。ただ、この3機種でシェアを変えるほど一気に販売台数が増えるということはないだろう。SIMロックフリー市場はもともと、キャリア市場に比べて小規模が小さいうえに、その大半が3万円前後のミドルレンジモデルだからだ。

 唯一、Appleは比較的価格帯の高い端末だけで20.4%のシェア(MM総研調べ)を取れているが、これは例外とみていいだろう。iPhoneのブランド力や、Apple Storeの販売力、サポート体制があってこそで、Xperiaがここにキャッチアップするには課題も多い。最低限、キャリアモデルと発売時期をそろえ、ユーザーが双方を比較検討できるようにしていく必要がある。単純に開発リソースが不足しているだけなのか、キャリアモデルが売れなくなることへの配慮なのかは知るよしもないが、Xperia 1 IIに関してはSIMロックフリーモデルの発売が約半年遅く、ユーザーの不満につながりかねない。

Xperia 2019年度通期のSIMロックフリースマートフォン出荷台数シェア。Appleがシェア1位だが、その他のメーカーはミドルレンジモデルが中心だ

 同時に、シェアを上げるうえでは、主戦場ともいえるミドルレンジのスマートフォンも投入していく必要はありそうだ。特に今のSIMフリー市場は、ソニーモバイルにとってチャンスも多い。米国の制裁によって、HuaweiがGMS(Google Mobile Service)対応端末を投入できなくなっているからだ。制裁はさらに強化され、チップセットなど、部材の調達にも支障が出ている。

 SIMフリー市場でシェア2位のASUSも、海外での方針変更を受け、ハイエンドモデルに集中している。2社合わせたシェアは28.8%と大きく、OPPOやXiaomiなどが、その穴を狙う。ハイエンドモデルに加え、「Xperia 10 II」など、魅力的なミドルレンジモデルを投入することを期待したい。

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