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» 2020年10月09日 10時00分 公開

石川温のスマホ業界新聞:NTTグループ32万人の命運を握る「ドコモ値下げ」――国際競争力強化を狙うなら「ドコモを親会社」にすべき

NTTによるNTTドコモの完全子会社化は、ここ数年の日本のモバイル業界で一番のニュースの1つだ。NTTの筆頭株主が「財務大臣」であることを考えると、ドコモは「準国有化」されることになるが、本来であればドコモを頂点とする組織とした方が時代に即した動きができるのではないだろうか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモの完全子会社化の狙いについて、NTTの澤田純社長は、NTTグループの国際競争力強化をあげた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年10月3日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


編集部注

日本の「会社法」では、第135条の規定により子会社が親会社の株式を取得することは原則として禁止されています。一方で、子会社が親会社を吸収合併することは可能です。

ただし、NTTはNTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)の適用対象で、NTTが当事者となる合併、分割や解散については総務大臣の認可が必要です。


 確かにクラウドはアマゾンやグーグル、マイクロソフトが日本に進出しており、NTTグループの居場所がなくなりつつある。

 コロナ禍でビデオ会議アプリを当たり前のように使うようになったが、ZoomやGoogle Meet、Skype、Teamsといったあたりが主流であり、そこに日本企業の影すらない。

 共同会見ではモバイルであるドコモを中心にNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアなどもNTTドコモに統合していく方向性を示した。

 確かに法人向け営業となればNTTコミュニケーションズなどが強く、モバイルとのシナジーが発揮されるかもしれない。一方、NTT東西は光回線を提供するためだけの会社となっていきそうだ。

 それならば、いっそのこと、NTTドコモを頂点としたNTTグループに再編すればいいのではないか。NTTドコモであれば、世界的にも顔が効くし、国内においても2000店舗を超えるドコモショップがあり、顧客との接点もある。大量にCMを流していることもあり、今のブランド認知はNTTよりもNTTドコモの方が浸透しているのではないか。

 5G並びに6G時代においても、やはりモバイルが中心となって世界が変わっていくのは間違いない。ローカル5Gはあくまでおまけに過ぎない。NTTよりもNTTドコモを前面に押し出したNTTグループにするべきだ。

 一つ気になるのが、NTTドコモが本当に値下げを実現した時、NTTグループに大きな影響は出ないのかという点だ。

 澤田社長は「完全子会社化によってNTTドコモの経営基盤が安定することで、値下げが実現できる」という。

 ただ、NTTグループの中でも稼ぎ頭であるNTTドコモで、大幅値下げを実現すれば、NTTグループ全体の経営基盤が脅かされることにはならないのか。

 NTTドコモ単体であれば、従業員8100名(グループ2万7558名)だが、NTTグループ全体となると連結ベースの従業員数は31万9050名まで拡大する。

 今後、NTTドコモがNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアを取り込むとなると、組織が巨大化すると思われるが、値下げによって収益は悪化するのが見えている。

 このグループ再編で、NTTとしては、人材のリストラなども検討していたりするのだろうか。

 菅総理の値下げプレッシャーで、NTTグループがリストラに着手せざるを得ないなんてことになると、「本当に値下げが必要だったのか」という議論にもつながりそうだ。NTTに入社した人たちも「NTTでリストラ」なんて想像もしたことなかっただろうが、現実味を帯びてきたのは間違いない。

© DWANGO Co., Ltd.

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