日本で5Gが始まって約1年。リッチなコンテンツが増えていることに加え、コロナ禍の巣ごもり需要で動画配信サービスの成長が目立つ。NTTドコモの「dTV」についても、2020年12月には20世紀スタジオとディズニー配給の洋画200タイトル、海外ドラマ1800エピソードが追加された。
そんな状況の中、dTVを統括するNTTドコモ コンテンツビジネス部長の田中伸明氏にインタビューする機会を得た。dTVの現状と取り組みについて詳しくうかがった。
―― 2020年はコロナ禍により在宅時間が増え、動画配信サービスの利用が伸びたと聞いています。dTVはいかがでしょうか。
田中氏 おっしゃる通り、同じように伸びている状況です。2019年と比べて150%以上成長しています。高い数値です。
―― 視聴コンテンツで特に伸びているものは?
田中氏 見放題、個別課金(レンタル)と総じて伸びていますが、特に個別課金が従来以上の伸びを示しています。それもあったので、7月以降、新しい体制になって商品を追加しました。個別課金されているものは新作が多い傾向ですね。
―― ユーザー属性としては、どのあたりが多いのでしょう。巣ごもり需要が高まったことで、若年層の利用が増えたというようなことは?
田中氏 ドコモが提供しているサービスということもあり、中心は(携帯電話のユーザー属性と同じ)30、40、50代です。若年層も以前よりは増えています。男女比は半々で、男性の方が少し多くて55%くらい。視聴デバイスで一番多いのはスマホですが、テレビで見る傾向が非常に増えていて、スマホとテレビが同じくらいになっています。
【訂正:2021年3月15日20時40分 初出時に、田中氏のお名前の漢字に誤りがありました。おわびして訂正致します。】
―― セットトップボックスやApple TVで見る人が増えているということでしょうか。
田中氏 最近のテレビはキャストできる状態になっているので、リテラシーが高い方も(スマホから)テレビに映して見ていらっしゃるようです。
―― 巣ごもりが増えたことで、テレビで見る人も増えたということですね。人気のコンテンツはどういったものですか?
田中氏 私は「dアニメストア」に立ち上げ時から携わっています。dTVとdアニメストアが同じでは困りますが、dアニメストアを始めた頃から見ても、アニメは明確にマーケットが広がっています。ジャンプ作品などが人気ですが、dTVでも見られる傾向にあります。最近はやはり「鬼滅の刃」ですね。音楽と一緒に広がりを出していただいた。映画は商品数をドンと増やし、ちょっと古めの洋画系がかなり見られています。30〜50代のユーザーが多いこととも関連していると思います。従来通り「韓流」は強い人気を維持しています。
―― 昨年12月に洋画と海外ドラマを拡充していますが、その狙いは?
田中氏 dTV開始当初は競争相手があまりいませんでしたが、今は映像配信サービスが増えました。そうした中、5Gも始まり、サービスレイヤーをどう展開するか考えていますが、1つ、大きいサービスとしてdTVがある。その一歩目として商品ラインアップを拡充させました。特徴を持ちながら、さらにどう拡大していくか、これからまた考えていきます。
―― 5G時代のサービス拡充の一環として、ラインアップを増やしたということですね。データ利用無制限の「ギガホ」はdTVと相性がいいと思いますが、dTVユーザーはどのプランを利用している人が多いのでしょうか。
田中氏 ドコモ契約者の中でdTV契約者の約半分がギガホです。dTV非契約者よりギガホ比率が高く、大容量プランとの親和性は高いです。でも、自宅ではWi-Fiというリテラシーは普通に持っていらっしゃいます。
―― アクティブ率はどうでしょう。
田中氏 積極的に上げていこうとしています。巣ごもりによるユーザー数の上昇とともに、アクティブ率も上がってきています。作品がきちんとそろっていると、よりアクティブ率も上がると期待し、作品を増やしながらやっています。
われわれはdアニメストアも含めて、「Disney+(ディズニープラス)」などパートナー企業さんともずっと一緒にやっています。少しターゲットを絞った深さのあるものと、dTVのように幅広なものと、いろんなものをドコモとしてやらせてもらっている。その辺のノウハウをdTVには組み込んでいきたいですね。
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