nuroモバイルに聞く、新料金プラン「バリュープラス」の狙い 5GやXperiaの展開は?MVNOに聞く(2/3 ページ)

» 2021年07月14日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

意外と少ない? 当初は1割のユーザーのみがプラン変更

―― 新規獲得の話はありましたが、プラン変更も順調でしょうか。

田中氏 プラン変更の受付はサービス開始から少し遅れて導入していますが、当初は約1割の方が変更しました。今のバリュープラスは、そういったお客さまからもご評価いただいています。

―― あの金額で9割が変えなかったのが、逆に驚きです。

神山氏 Webサイトで告知はしていますし、マイページでも簡単にプラン変更できます。決して引き留めをしているわけではないのですが、お客さまが今の使い勝手に満足しているのかもしれませんし、単純に一般的な知名度が低いのかもしれません。プロモーション自体はしていますが、既存のお客さまも新規のお客さまも、まだまだ気づいていない方がいるということだと思います。

nuroモバイル 旧プランから大幅に安くなるが、移行するユーザーはまだ多くないようだ

―― 御社にとってはAPRUが上がるので、おいしいような気はしますが(笑)。

神山氏 事業計画は、既存のお客さまが移行することを前提に書いています。あえて既存プランに留める施策を打っているわけではないのですが……。

田中氏 既存のお客さまが料金的なところを意識しておらず、既に安いと感じている方が多いのかもしれません。どちらかと言うと、そういったことに敏感な方から、まずプラン変更をしているようです。

神山氏 MVNOを選んでいる方は、今までのキャリアより安い値段で提供されていたことに魅力を感じています。それが評価され、継続しているということもあるかと思います。

nuroモバイル MVNO事業室 セールス&マーケティング課課長の田中直樹氏

―― 自動移行を入れればいいような気もしましたが、なぜそれがないのでしょうか。

神山氏 容量が新旧で違っているからです。また、旧プランの特徴の1つにギガの前借りがありましたが、バリュープラスにはそれがありません。前借りが便利なので既存のプランを使っている方もいます。サービスの中身が変わり、前借りをしたい方にとっては、ある意味で劣化になってしまので、あくまでお客さまの選択制にしています。

3GBプランが最も人気 8GB以上のプランをどうするかは検討中

―― 3つのプランの中で、人気が高いのはどれになりますか。

神山氏 多いのは3GBです。もともと3GB帯はMVNO中でも一番パイが大きく、マーケットが大きいのは事実です。ただし、以前のプランと比べて金額が安くなっていることもあり、5GBプランも数が出ています。先ほどお話ししたように、全体的に4倍ぐらい新規契約者数が増えているので、(比率ではなく)数で言えばどのプランも増えています。

―― 1000円ちょっとで8GB、3カ月待てば10GBになるということもあり、8GBプランがもっと人気が出ると思っていました。

神山氏 正直8GBがこれだけ安くなれば、他の会社からもっとお客さまが流入してくるのではと思っていましたが、ちょっと違うようです。ここまでの容量になると、(ahamoなどの)20GB帯のプランが目に入ってしまうのかもしれません。われわれとしてもマーケットを見据え、8GB以上のプランをどうするかはまさに今、検討しているところです。

―― Gigaプラスの仕組みがあまり理解されていないということはないでしょうか。月ごとにならせば4GBプラン、10GBプランになりますが、パッと見で容量が少なく見えてしまうのが弱点のような気もしていました。

神山氏 先ほど申し上げたように、7月に初めてお客さまにプレゼントされるので、反響は確認していきたいと思っています(※取材は6月に実施)。プロモーションという観点では、おかげ様で全部のプランが安いので、料金の安さに注目されているところは確かにあります。まだまだ認知が足りないということもあり、先ほどお話ししたTwitterの施策のようなものも入れています。

気軽に試してほしいので、違約金はあえて0円に

―― 他社にもありますが、nuroモバイルは繰り越しやユーザー同士でパケットを分け合える仕組みを導入したのが、比較的早かったと思います。こうした特徴も継続されていますが、いかがでしょうか。

神山氏 繰り越されたデータがどのぐらい使われているかといったデータの公表は差し控えておきますが、当たり前のものを当たり前のように使える仕組みとして好評です。パケットギフトは、家族間でパケットをシェアできる仕組みですが、家族だけでなく、恋人同士でもOKにしてあります。それにトリプルキャリアが当たり前のように付いているのがバリュープラスの強みです。料金は安く、ベーシックな機能は当たり前のようにある。解約やMNP転出料が0円ということもあり、気軽に使えるところは評価をいただいています。

―― 違約金の件ですが、ガイドライン上は0円にしなくてもいいと思います。あえて0円にしたのでしょうか。

神山氏 あえてお金を取る選択肢も検討しましたが、これだけいいプランなので、まずは気軽に試していただきたい。使っていただくことを、第一優先にしました。結果的にプランの解約率は低く、継続率が高いのはよかったと思っています。違約金として1000円いただけるのは(会社にとっては)いいのかもしれませんが、お試しする気持ちが減ってしまいますからね。不満があればすぐに出ていける方が、チャレンジはしやすいと思っています。

―― 接続料が大きく変わる中での料金体系変更だと思いますが、通信品質とのバランスも変化したのでしょうか。

神山氏 料金と品質はバランスだと思っています。極端に言えば、品質に振れば料金が高くなりますし、料金に振れば品質が悪くなります。ただし、安かろう、悪かろうでは、継続的にご利用いただけなくなってしまう懸念があります。一定数のお客さまが満足いただける品質を確保しながら、料金とのバランスをうまく取っているのが現状です。また、私どもにはIoTサービスなど、モバイルを使った別のソリューションもあり、トラフィックを分散できる環境があります。

 SNSなどでのご評価を見ていただければ分かると思いますが、品質に関するネガティブなコメントは少ない。そこはわれわれも見ていて、チューニングがうまくいっていると思っています。結果的に、それも継続していただけている理由の1つになっているのではないでしょうか。

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