“トリプルキャリア”のメリットとは? Xperiaの扱いは? 「nuroモバイル」の戦略を聞くMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2019年06月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 mineoやLINEモバイルなど、一部のMVNOがトリプルキャリア化を推し進めている。共通しているのは、その戦略。ドコモ、au、ソフトバンクの3社に対応を広げ、ユーザーがもともと使っていたキャリアと同じ回線を使えるようにするというのが、トリプルキャリア化の狙いだ。日本のMVNOは、大手キャリア(MNO)からSIMカードを借りているため、回線をそろえれば、原則としてSIMロックの解除が不要になり、ユーザーはMNO契約時に使っていた端末をそのまま利用できる。

 このトリプルキャリア化に追随したのが、ソニーネットワークコミュニケーションズが運営する「nuroモバイル」だ。同社はもともとドコモ回線を借りるMVNOだったが、2017年12月にはソフトバンク回線を追加。さらに5月からは、au回線を加え、トリプルキャリアのMVNOになった。料金プランは、2018年10月に導入された3つの容量から選べるスタイルを踏襲。月200MBまでの超低容量で同社のサービスを試せる「お試しプラン」も用意される。

nuroモバイル au回線の追加で、3キャリアの回線がそろった「nuroモバイル」

 では、なぜnuroモバイルはトリプルキャリア化を推し進めたのか。背景を、ソニーネットワークコミュニケーションズでMVNO事業を率いるモバイル事業部 ビジネス推進部 部長の神山明己氏と、同部 モバイル推進課の松田有一郎氏にお話をうかがった。

nuroモバイル ソニーネットワークコミュニケーションズの神山氏(右)と松田氏(左)

au回線を追加した狙い

―― 最初に、au回線を追加した経緯を教えてください。

神山氏 私どものユーザー層を見ると、回線だけを選ばれる方(端末をセットで買わないユーザー)が8割で、他のMVNOに比べ、かなり特色がある傾向があります。端末は、既存のものを使いたい方も多いということですね。そのため、トリプルキャリアを目指して準備を進めてきました。

―― それがこのタイミングになったのは、なぜでしょうか。

神山氏 MNOとのいろいろな交渉ごとがあって、初めてできることです。私どもはMNOと直接相互接続している(※5月1日時点で、MVNE事業は分社化し、100%子会社としてソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォームが発足しているため、nuroモバイルは、厳密にいえばこの会社を経由したMVNOになる)ため、経済面の条件を詰め、接続の技術的な準備を進めてきました。ソフトバンクさん、KDDIさんとお話する中で、たまたまソフトバンクさんの準備が先にできたということです。

―― 同時に進めるのは、やはり難しいのでしょうか。

神山氏 われわれとしても、品質を担保した上でお客さまに提供する必要があります。単純に回線をつなぐだけではなく、きちんとSIMカードや端末もお届けしなければなりません。マルチキャリアになったときのオーダーに合わせ、きちんとお届けできるシステムも含めて構築する必要があります。それを複数同時にやるというのは、うちだけでなく、どこも厳しいのではないでしょうか。

―― auは最後になりましたが、ユーザーから追加してほしいという声はどの程度ありましたか。

神山氏 市場のお話をすると、ドコモさんが45%、auさんが31%、ソフトバンクさんが24%で、シェアからすると、auさんは二番手です。当然、われわれもau回線が欲しいという声は頂戴していました。競合他社がau回線をやっていることもあり、nuroモバイルにはないのかといわれることもありました。

SIMロック解除はいまだハードルが高い

nuroモバイル 神山氏

―― なるほど。ただ、今はSIMロックの解除も普通にできますし、回線を変えてnuroモバイルに移るという手はあると思います。

神山氏 SIMロック解除はお客さまにとって精神的なハードルになっています。確かに一度やってしまえば簡単ではありますが、Webで手続きしたり、ショップに行ったりしなければならないことは、障壁の1つになっています。これからSIMロック解除が当たり前になったり、そもそもSIMフリーの端末が当たり前になったりしてくれば、そこを意識する必要はないかもしれませんが、それでもエリアの問題は残ります。

 地域によっては、auは入るけどドコモが弱いということや、その逆もあります。いろいろなお客さまに合わせ、選ばれやすいMVNOを目指すこともあり、3キャリアを導入しました。また、まだまだマルチキャリアMVNOは少なく、MVNOとしてのホワイトスペースがあります。先行者利益はまだ得られるという判断もありました。今の段階では、3キヤリアそろえる理由があるということです。

 これは(MVNO事業を担当する)私がお話することではありませんが、ソニーネットワークコミュニケーションズは、イネイブラーとしての会社(MVNE)も作りました。1社だけのMVNOがマルチキャリアをやるのはしんどいかもしれませんが、イネイブラーの手段としては、マルチキャリアの強みもあります。モバイル事業全体の強みとして、やる意義はありました。

―― 確かに、MVNEもあると、マルチキャリア化の意味も違ってきそうです。

神山氏 われわれは全て直接接続で、ドコモのイネイブラーも経由していません。そういう意味では、対キャリアの交渉力を生かせますし、サービスにも柔軟性を出せます。(MVNEとの)相乗効果で、うまく育てていくというのがもともとの趣旨です。

3キャリアの回線を横断したサービスは?

―― 一方で、まだnuroモバイル内での回線変更ができなかったり、回線をまたがったパケットギフトができなかったりと、3キャリアの回線を生かしてきれていない印象も受けます。

神山氏 確かに、お客さまからもそういったお声はいただいています。継続して検討していく課題だと思っています。ただし、その準備ができるまでサービスを提供しないのでは、速度が遅くなってしまいます。今、auを使っている方が気軽に選んでいただけるよう、まずはマルチキャリア化してサービスを提供することの優先度を上げました。

―― その先に、加入者管理機能(HSS/HLR)を持ち、回線を束ねていくという考えはあるのでしょうか。

神山氏 具体的に、今すぐ加入者管理機能を持つという計画は正直ありません。ただ、1つの方向性として検討し続けなければいけないことだとは思っています。投資対効果は当然ありますが、ドコモ回線向けだけの加入者管理機能をやるとなると、しんどいことは事実です。弊社で設備を打つことだけが選択肢ではないので、そうではない選択肢も視野に入れながらですね。本当にそこまで必要なのか、ちゃんと見ながら考えていく必要があります。

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