インタビュー
» 2018年11月05日 06時00分 公開

MVNOに聞く:シンプルになった「nuroモバイル」 一方で“らしさ”はどう出す? 細井氏に聞く (1/3)

MVNOサービス「nuroモバイル」が料金プランを刷新。これまでは1GB刻みで2GBから10GBまでを自由に選べる料金プランを特徴にしていたが、これを4つへと大きく絞り込んだ。1GB刻みのプランや時間割といった特徴を捨て、大胆に料金を4つに減らした意図はどこにあるのか。

[石野純也,ITmedia]

 ソニーネットワークコミュニケーションズが展開するMVNOサービスの「nuroモバイル」が、料金プランを刷新した。これまでは1GB刻みで2GBから10GBまでを自由に選べる料金プランを特徴にしていたが、これを3つへと大きく絞り込んだ。その3つに月200MBまで使えて最低利用期間のない「お試しプラン」を加えた全4プランが、nuroモバイルの新たな料金プランになる。

nuroモバイル ドコモ回線のリニューアル内容

 新料金プランは「Sプラン」が2GB、「Mプラン」が7GB、「Lプラン」が13GBで、一見するとサブブランドのそれに近い。同社はソフトバンク回線を借りたサービスも提供していたが、この料金プランもドコモ回線と同じ4つに合わせた。逆に、他のMVNOにはなかった同社オリジナルといえる「5時間プラン」や、深夜に5時間プランを安価に提供する「深夜割」は新規受付を停止している。

 ブランド名をnuroモバイルに変更してから2年がたった今、1GB刻みのプランや時間プランといった特徴を捨て、大胆に料金を4つに減らした意図はどこにあるのか。同社のMVNO事業を率いるモバイル事業部門ビジネス開発部長の細井邦俊氏が、狙いを語った。

nuroモバイル MVNO事業を率いる細井邦俊氏

MVNO市場が認知されてきた

―― バッサリ料金プランが減って、シンプルになりました。なぜ、ここまで大きく変えたのでしょうか。

細井氏 ポイントとしては、サービスを開始してから2年がたち、お客さまと市場の環境が大きく変わったことがあります。「他社にないメニューを出していたのに、なぜ変えるのか」という声もありましたが、変わらない方がおかしいということで、大胆に変えています。

 理由の一つは、MVNOという市場がお客さまに認知されてきたことです。2年前だと認知がまだまだ小さく、安心や安定を求めるほとんどのお客さまはまだMNO(大手キャリア)を使われるのが通常でした。一部の方がMVNOを使っているという流れだったと思います。ただ最近は認知度が高まり、MVNO率が11%で、お客さまも1800万人を超えています。裾野が広がり、ニーズも変わってきたと見ています。

 今までは一部のネットワークを(安価に)有効利用しようという信念を持った方が多かった。いわゆるイノベーターやアーリーアダプターですね。ところが、最近はマジョリティーのお客さまが増えてきて、そこに対してnuroモバイルも訴求する必要が出てきました。その際に、1GB刻みの料金プランや時間プランが本当に正しいのかという疑問がありました。

nuroモバイル 総務省の統計に基づくと、MVNOユーザーの比率は11%に達し、裾野が広がっている

―― 1GB刻みでも選ばれるプランが特定の容量に集中していたなど、ユーザーの動向にも表れていたのでしょうか。

細井氏 2年間、お客さまの声はもちろん、どのメニューに入ってその後どこに移るのかといった動向は調べてきました。今回のメニューも、こういったプランが欲しいという声や、同業他社のメニュー動向、実績を見て、そこに合わせています。入口として2GB、ある程度ボリュームが必要な方向けに7GB、もっと欲しいという方に13GBという形で、3つに落ち着かせています。

―― 4つ目のお試しプランには、どういった意図があるのでしょうか。

細井氏 まだMVNOに対するためらいがあると思っています。「どうなんだろう」と思っている人が申し込んでも、1年の縛りがかかってしまう問題がありました。MVNOを気軽に経験してもらえるプランがないのでは、という意見が上っていたんですね。気軽にMVNOを体験いただき、「これだったらいいね」と実感した後で3つのプランに移っていただければということで、大胆に、かつ極力ハードルを下げるために200MBのプランを設けました。それに加えて、いつでもやめられるよう、違約金もなくしています。

nuroモバイル 月に200MBまで使える「お試しプラン」

―― 最低利用期間がないと、キャッシュバック目当ての、いわゆる“MNPの弾”に使われてしまう心配もあるのではないかと思います。

細井氏 以前だと、MNPでキャッシュバックをいくら、家族全員なら何十万円というものがありましたが、今現在はそういうやり方も少なくなっています。新しい端末が出たときに、MNPで徹夜してでも買うという動きは収まってきました。一部、まだそういう動きをしている方もいらっしゃいますが、大多数がそうではなくなったことは大きいと思います。ここでちゅうちょしていてもしょうがないので、まずはやってみたという感じですね。

お試しプランと2GBプランが人気

―― 既に申し込みも始まっていますが、動向はいかがですか。

細井氏 やはり、お試しプランにお客さまが結構入っているのと、入り口である2GBのSプランは割合が大きいですね。中間の7GBや、最大の13GBも思いのほか申し込みが多いという状況で、1GB刻みのプランを集約した結果が出ていると思います。滑り出しとしては、ご好評をいただいているといえるのではないでしょうか。

―― 逆にいうと、4GBや8GBなどはニーズが少なかったということでしょうか。

細井氏 2GBから入って他のプランに移る方はいましたが、自分のスタイルでお使いになった結果、最終的には2GBや3GBプランのユーザーが多くなっていました。じゃあ3GBがピッタリだった場合どうすればいいのかという声もあったので、チャージの値段も大幅に下げています。Sプランと1GBのチャージだと、最初から(従来の)3GBの方が安かったということはありますが、パケットギフトも制約なく使えるようにしています。さすがに今までと完全に同じというわけにはいきませんが、お申し込みいただいたパケットを有効利用できる仕組みは残しています。

―― お試しプランを除くと、料金プランが3つでサブブランドを含む他社に近くなった印象があります。

細井氏 2年間の実績とお客さまの声を元にしたのであって、他社に合わせたという意識はあまりありません。驚いたという声はいただいていますが、MVNO市場でお客さまの裾野が広がった中で、他社もだんだんと3つになってくるところを見ると、これがユーザーニーズに合っているのではないかと思います。それぞれが全く別のメニューで戦っているというのは、逆に言えば市場のニーズがバラバラということですからね。

 今後、トップラインが20GB、30GBと上がったり、下がさらに容量を落としたりということもあるかとは思いますが、3つぐらいがやはりお客さまの選択肢としては選びやすいのだと思います。

―― 逆に、1GB刻みだと選びにくいという声もあったのでしょうか。

細井氏 選びにくくてユーザーにならなかった方の声なので、こちらとしては想像するしかありませんが、おっしゃったような意見もあったと思います。よく言われていることですが、松竹梅ぐらいのメニューが選びやすく、それ以上だとどうすればいいのか分からなくなるという話もあります。

 また、今にまでは1GB刻みで200円ずつ上がっていきましたが、それを190円刻みにしようとすると、メニューの分だけコストがかかってしまいます。メニューを3つに絞ったうえに、値段を下げているのもポイントです。例えば、今回出した7GBは、1GB刻みだった7GBのときよりも値段を下げています。そういう意味では、コスト面での訴求もしやすくなりました。

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