インタビュー
» 2021年07月14日 06時00分 公開

nuroモバイルに聞く、新料金プラン「バリュープラス」の狙い 5GやXperiaの展開は?MVNOに聞く(1/3 ページ)

MVNO各社が新料金プランを打ち出す中、ソニーネットワークコミュニケーションズのnuroモバイルも「バリュープラス」を打ち出した。新料金プランでデータ容量8GB以下のユーザーにターゲットを絞り、低価格を実現。音声通話付きの3GBプランはわずか792円。5GBと8GBのプランには、「Gigaプラス」という仕組みも用意した。

[石野純也,ITmedia]

 接続料の低減や音声通話卸の値下げを受け、MVNO各社が新料金プランを打ち出す中、ソニーネットワークコミュニケーションズのnuroモバイルも、大胆な策を打ち出してきた。新料金プランの「バリュープラス」がそれだ。同社は、新料金プランでデータ容量8GB以下のユーザーにターゲットを絞り、低価格を実現。音声通話付きの3GBプランはわずか792円(税込み、以下同)と、他のMVNO以上にリーズナブルな価格で勝負をかけている。

nuroモバイル 4月から提供しているnuroモバイルの新料金プラン「バリュープラス」

 5GBと8GBのプランには、「Gigaプラス」という仕組みも用意。これは、3カ月間使うとデータ容量がそれぞれ3GB、6GBプレゼントされるサービスで、有効期間は3カ月間。いつ使うかはユーザーの自由だが、1カ月ごとにならすと、5GBプランは6GBに、8GBプランは10GBになる計算だ。Gigaプラスのデータ容量を加味すると、さらにnuroモバイルのお得さが際立つ。

 一方で、もともとの比率が低かった中容量以上のデータ容量は提供されず、現時点では音声通話定額も10分までで、プレフィックス番号を付与する「nuroでんわ」というアプリが必要になる。5Gにも未対応だ。また、同社はXperiaでおなじみのソニーの傘下だが、端末のラインアップがやや寂しい印象を受ける。こうした課題をnuroモバイルはどう捉えているのか。バリュープラス開始後の動向とともに今後の戦略を、同社に聞いた。

 インタビューには、同社のMVNO事業を率いるMVNO事業室長の神山明己氏と、同室サービス設計課課長の亀井健男氏、同室セールス&マーケティング課課長の田中直樹氏が答えている。

nuroモバイル MVNO事業を率いるMVNO事業室長の神山明己氏

ほとんどのユーザーが10GB以下で通信している

―― バリュープラスの発表と前後して、他社も料金値下げを発表していますが、金額を見ると、nuroモバイルより安い会社はほとんどありません。一方で、プランが3つになり、データ容量の多いユーザーの選択肢もなくなりました。なぜ今のような形になったのかを教えてください。

神山氏 判断基準は2つありました。1つは総務省が発表した加入しているプランと実際のデータ通信量に乖離(かいり)があるというデータです。8GB以下の方が全体の約75%という状態で、ほとんどの方が10GB以下で通信しているというのが見えてきました。もう1つは、弊社の旧プランのお客さまの実態で、99%が10GB以内に収まっていました。MVNOとしてお客さまにご評価いただけるプラン構成がいいのではないかと判断し、今回は3GB、5GB、8GBという3つになっています。

 価格に関しては、かなりアグレッシブな設定になっているのは事実です。将来的な卸値の低減が見えてきているので、われわれとして、より早くお客さまに還元できる形で料金プランを設定しました。その分、お客さまにご評価いただき、数をご利用いただかないと厳しくなります。ここはきっちりご評価いただき、ご利用いただければと考えています。

nuroモバイル nuroモバイルでは通信量が10GBのユーザーが大半を占める

―― あまり他社が追随しているようなこともありません。これは想定内だったのでしょうか。

神山氏 あの時点で、あれ以上安くはならないだろうと踏んで料金を設定しています。以前から、料金プランとは別にキャンペーンの料金がありましたが、キャンペーンを分析すると実態の料金が見えてきます。それを踏まえた値付けをしていますが、各社とも、今はギリギリの線で値段を設定していると思います。

―― そんなバリュープラスですが、実際に始まってみていかがでしたか。

神山氏 おかげ様で、非常に高くご評価いただいています。前期比で、例えば5月だと4倍ぐらいのお申し込みをいただいています。もともとの実力値が小さかったというのはありますが(笑)。トリプルキャリア開始後に取材していただいたときには120数%というお話をしていましたが、そのときとは規模が違います。反響はすごく大きいですね。

―― MVNO各社とも、新料金プランで獲得が増えているというお話ですが、中には同時に流出も大きくなり、トータルで純減している会社もあります。nuroモバイルはいかがでしょう。

神山氏 やはり3月、4月は各社から新料金プランが出ましたし、私どものお客さまの中で10GB以上の料金プランを使われている方もいますので、他社への移動はあります。そうは言いつつも、加入の方が多く、プラスになっています。流出も今は落ち着いてきています。解約率を具体的な数字でお話しすることはできませんが、このプランに関しては良化しています。今の段階では、長く使っていただけるプランになると思っています。

Gigaプラスが継続利用のモチベーションアップに

―― 長く使うという意味では、Gigaプラスは最低3カ月間の契約が必要になるので、解約抑止効果があるのではないでしょうか。

神山氏 Gigaプラスは、3カ月ごとにギガ(データ容量)がプレゼントされます。継続して使うモチベーションにはなると思います。

nuroモバイル 5GBと8GBプランの契約者に対し、3カ月ごとにデータ容量をプレゼントする「Gigaプラス」

―― 単純に容量を上乗せするのではなく、この仕組みになった理由もそこでしょうか。

亀井氏 継続利用のモチベーションになるというのは1つあります。加入する際には、どこの会社もキャッシュバックをしていますが、継続利用の特典はなかなかありません。このタイミングで、解約金での縛りもなしにしているので、継続して利用するためのモチベーションにしてほしいと考えています。

 もう1つは、コロナ禍でお客さまの使い方が変わってきているということがあります。われわれ自身もそうですが、毎日出社する状況ではなくなり、時には出社するとなると、使うときには使うが、使わないときには使わない。状況に応じて、通信量が変わってきます。Gigaプラスなら、3カ月に1回付与されるので、まとめて使ってもいいですし、1カ月ごとにならして使ってもいい。お客さまに応じた使い分けができる仕組みとして導入しました。

nuroモバイル MVNO事業室サービス設計課課長の亀井健男氏

神山氏 今、Twitterでキャンペーンをやっています。5GB、8GBにGigaプラスがあるということを説明して、もらった月にすぐ使うか、少しずつ使うかを聞き、お客さまのニーズを確認しているところです。Gigaプラスのデータ量は7月に初めて付与することになるので、実際にどんな使われ方をするのかは、後々、アンケート調査もしながら評価していきたいと考えています。使われ方で、この機能は生かされていくもので、ギガが余っている方に比べると、効率もよくなるのではないでしょうか。

―― ちなみに、3GBのプランにはGigaプラスがありません。これはなぜでしょうか。

亀井氏 内部では議論しました。バリュープラスというプランに関しては、価格を努力できる範囲の限界まで下げています。3GBのプランは、3GBあれば十分という方に向け、最低料金で提供するためにあえて付けないことにしました。

神山氏 実際、まずは使ってみたいというお客さまもいます。MNP転出手数料も無料で、違約金も取らない。気軽に使えるので、3GBはシンプルに料金が安いという理由で導入していただけます。その後に、使い勝手のいい5GB、8GBに変えていただくことも狙っていきます。結果として、ARPUも上がる形になります。

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