後払い決済サービスは「クレジットカードに代わる決済手段」として注目されているが、その背景にあるのはEC市場における「カゴ落ち」の問題だ。商品をカートに入れていざ決済をする段階で、必要な決済手段がないと購入を諦めてしまうユーザーに対して、EC側は必要な決済手段に対応する必要が出てくる。
ユーザーが使いたい決済手段として後払い決済を選択するのは、特に日本では「クレジットカードを利用するのは不安」というニーズがあるからだ。番号流出などのセキュリティ面での不安や、使いすぎるという不安、分割払いなどでの金利に対する不安といった点で、どちらかといえば「漠然とした不安」が影響して、クレジットカードをあまり使いたくないユーザーが日本には多い。
また、「商品が届いて安心してから支払いたい」「自分でお金を払った感覚が欲しい」というニーズもあるそうだ。もちろん、若年層でクレジットカードを持っていない人の後払いニーズもある。
海外では、欧米・豪州では分割手数料は高額だから使いたくないが分割払いをしたいというニーズがあり、特に若者がよく利用している。東南アジアでは、クレジットカードを所有していないがクレジットカードのような支払いをしたいというニーズがある、と高田氏は解説。各国でニーズは異なるものの、クレジットカードではカバーできないニーズに対応しているのがBNPLだという。
こうしたニーズの違いもあって、ネットプロテクションズと海外BNPL各社ではサービス面での違いもある。ネットプロテクションズのサービスでは基本的に2週間(14日間)で一括で支払う方式を採用。分割払いを提供していない。これは、分割手数料などの金利によって総支払額が分からないと不安を解消するものだ。
それに対して海外のサービスだと、Klarnaは翌月一括払いも提供するが、代金を4分割して6週間で支払い、分割手数料がかからない分割方式と、6カ月以上に分割して分割手数料がかかる長期分割方式の2種類が一般的だという。
豪州ではクレジットカードの発行数が減少しているのに比例して、後払い決済の利用額が伸びているなど、「グローバルでの決済ニーズがBNPLにシフトしている」と高田氏。「クレジットカードかBNPLか」という競争が起きているが、ネットプロテクションズの場合はクレジットカードと異なる支払い手段として共存するという位置付けだ。
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