矢継ぎ早にサービスを改定する「UQ mobile」の狙い auやpovoとのすみ分けは?(1/3 ページ)

» 2021年10月12日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 KDDIグループのMVNOとして立ち上がったUQ mobileだが、紆余(うよ)曲折を経て傘下のUQコミュニケーションズに運営が移管された後、2020年10月にKDDIと統合。auやpovoと並ぶマルチブランド戦略の一翼を担うブランドとして、シンプルでリーズナブルな料金を打ち出している。1人からの契約で明朗会計なのは、UQコミュニケーションズ時代から受け継がれているが、KDDIとの統合により、その立ち位置がさらに強化された格好だ。

 2月には、新料金プランの「くりこしプラン」を発表。6月には、くりこしプランの料金が電気サービスとのセットでさらに安くなる「でんきセット割」を導入している。さらに、9月からは5Gに対応した「くりこしプラン +5G」を開始するのに伴い、auの「世界データ定額」や「故障紛失サポート」などを取り込み、サービスも拡充している。同プランは、eSIMにも対応。でんきセット割をアップデートする形で、固定回線とのセット割も組めるようになった。

 5G対応を機に一気にサービスを拡充したUQ mobileだが、2月の料金プラン改定以降は、契約者獲得の勢いに弾みをつけている。一方で、KDDIへの統合以降、矢継ぎ早にサービスが改定されていったこともあり、UQ mobileの立ち位置の変化がいまいち伝わっていないようにも見える。そこでKDDIに、UQ mobileのポジションを改めて伺いながら、同社の戦略を聞いた。インタビューにはKDDI マーケティング本部 マーケティング企画部の門脇誠部長が答えている。

UQ mobile インタビューに答えるKDDIの門脇誠氏

低中容量のデータ通信を求める人にシンプルなプランを提供

―― au、UQ mobile、povoとブランドが主に3つある中で、改めてUQ mobileの立ち位置を教えてください。

門脇氏 UQ mobileがなんぞやというところで言うと、もともとはauがあり、UQ mobileができて、povoが始まりました。これは、複数のブランドでお客さまのニーズにお応えしていく時代になってきたからです。その中でUQ mobileは、ブランドのコンセプトとして「シンプルを、みんなに。」とうたっています。低中容量のデータ通信をお求めになる方は、ボリュームとして大きい。そういう方々に対し、ちょうどいい料金プランをシンプルな形で提供するのが、UQ mobileというブランドの一番の特徴になります。

 それでいて、4G LTEは99.9%のカバレッジがあるauのネットワークに対応しています。5Gも含め、安心してお客さまにお使いいただけるブランドだと見ています。

―― 昨年(2020年)10月にUQコミュニケーションズから事業が移管され、KDDIに統合されました。統合前後で、何か違いがあるのでしょうか。

門脇氏 KDDIの中に入ることで、KDDIとしてリソースを効率的に活用しながらブランドを強化することが円滑に進むようになりました。その結果が、今年度(2021年度)に入ってからだと、でんきセット割だったり、auショップでの取り扱いが進んだりといった形で出ています。料金プランやサポートをより円滑に提供できるようになってきたということです。

―― 5Gの提供に関しても、リソースの効率活用の結果と捉えていいでしょうか。「くりこしプラン +5G」の提供に伴い、付随するサービスも増えました。

門脇氏 より広く価値を提供するためにサービスは拡充しています。サポートやネットワーク以外でも、お客さまのニーズがあり、このブランドに必要だと思ったものは提供していくスタンスです。

―― なぜ料金プランの変更という形になったのでしょうか。他社の場合、自動で5G契約に切り替わるケースもあります。

門脇氏 世界データ定額への対応やYouTube Premiumの6カ月無料といった魅力的なサービスを投入したように、5G特有のお客さまニーズにお応えできるサービスとして発展していくためです。拡張性を持たせ、今後、より魅力あるサービスを展開していけるように4Gプランと切り分けています。

 現時点では通信方式が異なることからSIM交換をお願いしていますが、2021年11月以降から順次SIMカードの交換を不要にしていく予定です。

UQ mobile 5Gや自宅セット割に対応する「くりこしプラン +5G」
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