スマートフォンを使っていると必ず経験するであろう“アップデート”。中でもOSのアップデートは動作が遅くなったり、一部アプリが使えなくなったりするなど、ユーザーにはデメリットとなることもあるが、それでもなぜアップデートをする必要があるのだろうか。継続的なアップデートのため、ユーザーは何をすべきなのだろうか。
スマートフォンを使っていると必ず出くわす「アップデート」という言葉。これはその言葉通り、スマートフォンの中にあるアプリなどを新しいものに更新すること。普段利用しているアプリを起動したら「アップデートしてください」と表示され、App StoreやGoogle Playのアプリアップデート画面に誘導される経験をした人は多いだろう。
なぜアップデートが実施されるのかというと、アプリに見つかった不具合を修正したり、アプリに新機能を追加したりするなど、開発者がアプリに何らかの改良を施しているため。古いアプリを使い続けていると新機能が使えないだけでなく、不具合でアプリが正しく動作しなくなる場合があることから新しいバージョンへのアップデートが求められるわけだ。
だがそうしたアプリ以外にも、スマートフォンにはアップデートが求められるものがある。それは「OS」だ。iOSやAndroidといったスマートフォンのOSも時々アップデートが実施され、スマートフォン利用者はその都度新しいOSをダウンロードしてインストールする必要がある。
OSがアップデートされる理由も基本的にはアプリと同じで、OSに何らかの不具合が見つかった場合、あるいはOSに新しい機能が加わったときにアップデートが提供される。中でも代表的なアップデートとなるのが、iOS、Android共におおよそ年に1回実施されるメジャーアップデートだ。
例えば執筆時点でのiOSの最新バージョン「iOS 15.1」では、ビデオ通話の「FaceTime」を使って動画や音楽を他の人とシェアできる「SharePlay」や、集中して仕事やゲームなどをしたいときに、通知を必要最小限に絞る「集中モード」などの機能が追加されている。
またAndroidの新バーンジョン「Android 12」では、「Material You」という新しいデザインの思想を取り入れ、ボタンや壁紙、ウィジェットなどを統一した好みの色調に変更できるなど、インタフェース周りの大幅な強化がなされている。こうした機能を利用したいなら、新しいバージョンのOSにアップデートする必要があるわけだ。
だがOSのアップデートにはもう1つ、「セキュリティアップデート」というものも存在する。これは文字通り、セキュリティを高めるためのソフトウェアをOSに適用するもので、iOSは不定期だがAndroidは定期的に提供されている。
OSも人間が開発しているものなので、セキュリティ上の問題をゼロにすることはできない。悪意ある人達はそうしたOSの“隙”を常に探し回っており、隙を見つけたらそこを攻撃してOSを利用している人達の情報を盗むなど、さまざまな問題を起こしてしまうのだ。
セキュリティアップデートはそうした隙をふさぐために実施されるもの。これを適用しなければ、スマートフォンが悪意ある人達の脅威にさらされてしまうことを覚えておくべきだろう。
これら一連の要素を考慮すると、スマートフォンのOSアップデートは必ずした方がいいということになる。だが一方で、OSのアップデートを「したくない」「できない」という人も少なからずいる。
まずはOSをアップデートしたくない人についてだが、その理由は大きく2つあると考えられる。1つはスマートフォンの使い勝手が大きく変わってしまうことだ。
新しいOSは新しいスマートフォンに合わせて開発されているものが多いので、古い機種で新しいOSにアップデートすると動作が重くなることも少なくない。またインタフェースなどが大きく変わってしまい、せっかく覚えた設定方法などを覚え直さなければいけなくなってしまうことから、それらを嫌ってOSアップデートしないという人もいる。
そしてもう1つは、OSアップデートで発生する諸問題を避けるためだ。OSのメジャーアップデートがなされたばかりの頃は、不具合が発生しやすく動作が安定しない傾向にあり、アプリ側が新しいOSに対応せず、動作しなくなってしまうことも多い。そうした事態を避けるため、OSの動作が安定してアプリの新OS対応が進むまでは、アップデートの様子を見送るという人もいようだ。
後者の人達は動作が安定すればOSのアップデートをしてくれるだろうが、前者の人達は今後もOSアップデートをしないで使い続けていると考えている人が多いことだろう。セキュリティの問題などを考慮すればOSアップデートは必須なのだが、OSをアップデートしたくない、使い勝手を変えたくないというニーズが一定数あるのもまた確かなのだ。
そうした声に応えてか、iOSではiOS 15から、以前のOSである「iOS 14」のセキュリティアップデートを継続することで、iOS 14のまま使い続けるという選択肢も用意している。実際、iOS 15が既にリリースされた後の2021年10月27日には「iOS 14.8.1」がリリースされており、iOS 14利用者はそちらにアップデートしてiOS 14のまま使い続けられるようになっている。
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