4〜5年は使えるスペック ドコモから京セラ製「あんしんスマホ」が登場した理由(3/3 ページ)

» 2021年12月24日 06時00分 公開
[房野麻子ITmedia]
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物理キーやスクショ専用キーを搭載、文字入力もスマホ初心者に配慮

 あんしんスマホの大きな特徴である、ディスプレイ下の3つのキー。他キャリア向けの京セラ製シニア向けスマホでも、同様のハードウェアキーが搭載されている。一般のスマホに慣れてしまっていると、アイコンをタップしたくなるかもしれないが、着信があるとキー下に配置されているLEDが光るため、フィーチャーフォンから移行した人は直感的に操作できる。

ドコモあんしんスマホ 搭載されたハードウェアキー

 「ボタンのワンタッチで機能を呼び出せることが好評です。使っていくうちにユーザーのリテラシーは上がっていきますが、多くのユーザー様から便利なボタンがあった方がいいという声をいただいており、今回も搭載しています」(伊東氏)

 割り当てる機能は固定されている。印字されているアイコンと異なる機能を割り当てると、操作に迷ってしまうため固定にしたという。

 また、ホームボタンの上にある「画面メモ」も珍しい。これを使うとスクリーンショットを撮れるだけでなく、周囲の音声と一緒に画面の動きを録画できる。例えば、スマホ教室などで操作方法を録画し、後で確認するといった使い方が可能だ。

 「シニアにインタビューしていると、『教わったときは分かるけれど、いざ家でもう1回やってみようとすると、操作手順が思い出せなくてできない』という声があります。カスタマーセンターに電話したりショップに行ったりしても、自分の苦手なところを言語化することが難しい。音声キーと電源キーを同時押ししてスクリーンショットで撮っておいてくださいと言われても、操作しているうちに画面が消えてしまうこともあります。操作方法を録画することで、家に持ち帰っても、やり方がそのまま見える、そんな使い勝手に配慮して画面メモ機能を搭載しました」(伊東氏)

 シニアがスマホでつまずくのが文字入力。あんしんスマホでは、かな入力のキーパッドの左列に「ひらがな/カタカナ/数字/英字/記号」といった文字の種類を配置した京セラ独自の文字入力機能を搭載している。文字種が直接選べるので、スマホ初心者でもフィーチャーフォン同様に入力できるようなUIになっている。フリック入力の他、ケータイ入力にも対応している。

ドコモあんしんスマホドコモあんしんスマホ キーパッドの左列で文字種を選択可能。絵文字、顔文字は「記号」から呼び出せる

シニア向け以外のスマホ展開にも期待

 シニア向けスマホというと、敬老の日を意識して9月頃発売されるのが恒例だったが、今回はプロセッサや関連部材の調達の関係上、2月頃の発売を京セラから提案したという。昨今の半導体不足は「影響がないわけではない」が、チップメーカーとも調整しつつ進めており、「提供は予定通り」(伊東氏)とのことだ。

 京セラは過去にもドコモ向けに、当時、世界最薄・最軽量の「カードケータイ KY-01L」(2018年冬モデル)などを提供している。「われわれとしては、シニア向けスマホに限らず、いろいろご採用いただきたいなと。ドコモ様の戦略とわれわれの思いが合致していけば、可能性としてはある」と伊東氏も期待を隠さない。

 長沢氏は「いつもフラットにいろいろなメーカーさんとお話させていただいています」と言いつつも、京セラ端末は過去に採用実績があることから、コミュニケーションは密に取っていて、「ドコモ側の考えや仕様を十分理解していただいている」と信頼を寄せているようだ。

 ドコモはミドルレンジ端末が他キャリアより薄い印象がある。高耐久性モデルやコラボモデルなど、さまざまな製品を開発できる日本メーカー、京セラの存在が、今後、ドコモの中でより大きくなっていくかもしれないという印象を持った。

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