同社のスマートマネー構想は、2019年の時点で2021年度の目標としていた取扱高6兆円は既に突破していて、9兆円まで達したことで前倒しの達成となった。「金融にはとっつきにくい面があるが、そうした印象のサービスを使ってもらえるように、決済の利用者を増やして、クロスユース率をさらに高めたい」と長野氏は意気込む。
もともとKDDIは2008年にじぶん銀行を設立して金融事業に取り組んできた。その強みを今後も生かしていくと長野氏は話す。auじぶん銀行や他の金融サービス、au PAYを相互に連携させることでユーザー体験を高めていく方針。
例えばau PAYのチャージにau PAYカードを使ってPontaポイント1.5%の高還元を魅力に感じているユーザーもいるし、auじぶん銀行と組み合わせたリアルタイムチャージ機能を利用することで、au PAYの残高チャージをしなくても口座残高から即時引き落とされるため、デビットカードのような使い方をする人も増えているという。
たまったPontaポイントをオンラインの「au PAYマーケット」で使う場合、限定ポイントに変換することで1.5倍にして使えるという点も連携サービスの1つ。ポイント投資も利用者が増加しているそうで、同様の事例をさらに増やすことで、クロスユース率をさらに拡大していくことを狙う。
金融サービスでは他に、保険も重視していく。生命保険に加え、旅行やゴルフの保険など、契約スパンの短い保険商品も用意しており、「au PAYアプリ経由で申し込む例も増えている」(菊池氏)そうだ。
こうした利用の拡大には、au PAYアプリの機能強化も重要となる。機能としては、ミニアプリを追加することで、日々の利用をさらに促進していきたい考え。「日々、どういったサービスがユーザーにとっていいのか検討している」と菊池氏は言う。
加えて、アプリ自体の起動速度、アプリ上に機能を配置するUI(ユーザーインタフェース)でも、ユーザーアンケートを取りながら満足度を高めていく構えだ。特にライバルに比べて起動速度で劣るau PAYだが、「この半年でいろいろと改善をしている」と菊池氏は言う。1月25日からはau PAYアプリをリニューアルし、起動画面からコード決済ができるようにする。
既に、同時に起動してみての実測値では、起動速度が「PayPayに並ぶぐらいまできた」(菊池氏)という。特に実際に支払いに使うバーコードを表示するまでの時間は重要で、「かなり工数をかけて、コンマ何秒という単位で短くしようとしている」と菊池氏はアピールする。「スピードに関しては終わりなき改善として、引き続きコンスタントに見直し、改善していきたい」――菊池氏はそう強調する。
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