もう1つの進化点が、カメラだ。ただし、カメラといっても背面のカメラではなく、ビデオ会議などに使うためのインカメラのこと。iPadでは、これをFaceTime HDカメラと呼ぶ。12メガピクセルで画質がいいのはもちろんだが、視野角が122度と広角なのもポイント。ビデオ会議で利用する際に、複数の人がフレームの中に入れる。コロナ禍で急増したビデオ会議を強く意識した機能といえる。
このカメラとプロセッサの処理能力を生かし、iPad Proと同様、センターフレームにも対応した。センターフレームとは、人物を検出して、自動的に中央に配置する機能のこと。自分が動いたり、他の人がその場で会議に参加したりしたときに、本体の位置を調整する必要なく、画面の中央に人物が収まる。以前は、アプリによっては設定からオン・オフを変更しなければならず、切り替えが少々煩雑だったが、最新のiOSではコントロールセンターで簡単に制御ができるようになっているのもうれしいポイントだ。
こうした機能の数々でiPad Proに並んだiPad Airだが、ラインアップ全体の中ではあくまでiPad、iPad miniとiPad Proの間に位置する端末だ。iPad Proにあり、iPad Airでは対応が見送られた仕様や機能も存在する。代表的なのが、ProMotionと呼ぶ120Hzのディスプレイだ。iPad Airは60Hzまでの対応で、両モデルを見比べると、やはりiPad Proの方がスクロールや画面が切り替わる際のアニメーションが滑らかに見える。
iPad Proがデュアルカメラで超広角レンズを備えているのに対し、iPad Airはシングルカメラと、こちらもスペックに違いがある。iPad Airには、距離を測定するLiDARも搭載されていない。一長一短あり、単純に劣化したわけではないが、Face IDを採用したiPad ProとTouch IDのiPad Airという違いもある。スピーカーの数も2つに抑えられていたり、マイクの数が少なかったりと、仕様の差分は意外と多い。
とはいえ、これらの機能をどこまで必要とするかは、人それぞれ。筆者のケースで考えても、iPadではまず写真を撮ることはなく、スピーカーで音を出す機会もあまり多くない。iPad Pro単体でビデオ会議をしていると相手に音質のよさをほめられることはあるが、自分自身で体感できるわけではないため、端末購入時に重視するかというと微妙なところだ。120Hzと60Hzの違いは分かるものの、購入の絶対条件というわけでもない。その分価格が安ければ、カラーを選ぶ楽しみのあるiPad Airを手に取る可能性が高い。
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