「Amazon」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。いろいろなものが思い浮かぶほどには、米Amazonの手がける事業はとても“多様”になった。
現在の同社にとって重要な事業の1つが、映像デバイス「Fire TVシリーズ」、情報デバイス「Fireタブレットシリーズ」、スマートスピーカー/ディスプレイ「Echoシリーズ」といったデバイス事業である。これらは同社が提供する「Amazonビデオ/Primeビデオ」や「Alexa」といったWebを介した各種サービスへの“入り口”としても重要な存在である。
中でもFire TVシリーズはユーザーの多いデバイスで、全世界で累計出荷台数は1.5億台、月間アクティブユーザーが5000万人超となっている(いずれも2020年末時点の自社調査値)。日本でもFire TVシリーズは積極的に展開されており、Amazon.co.jp(ECサイト)だけでなく主要な家電量販店やディスカウントストアでも購入できる。新製品の投入も積極的で、ヤマダホールディングスと提携して日本でも「Fire TVスマートテレビ」の展開を開始した。
これからFire TVシリーズの事業をどのように展開していくのか――米Amazonのダニエル・ラウシュ氏(エンターテインメント デバイス&サービス担当バイスプレジデント)が来日に合わせて一部Webメディアとのグループインタビューに応じた。その主なやりとりをお伝えする(一部に意訳や補足が含まれている)。
―― 日本では、Fire TVシリーズに加えてFire TVスマートテレビが登場しました。海外ではどのようにFire OSを搭載した映像デバイスを展開しているのでしょうか。
ラウシュ氏 まず、Fire TVシリーズの(現行の)ストリーミングデバイスとして、日本でも展開している「Fire TV Stick」「Fire TV Stick 4K Max」「Fire TV Cube」があります。これらはグローバルラインアップで、Amazon PrimeビデオやNetflixといったグローバルパートナーや(国ごとの)ローカルパートナーと連携しつつ100を超える国で展開されています。
例えば、日本であれば「ABEMA」は(ローカルパートナーの)例で、とてもうまく行っています。最近は「NHKプラス」への対応も果たしました。世界でも、利用できるサービスは増加傾向にあります。現在までに1万を超えるアプリケーションを利用できるようになりました。
ラウシュ氏 一方で、(受像機である)TVへの取り組みですが、2018年からパートナー企業と共に製品化に取り組んでいます。初めての製品は米国で発売されましたが、Insignia(※1)や東芝(※2)など18の企業と提携して展開しています。販売面ではBest Buyと連携しています。
(※1)Best Buyのプライベートブランド
(※2)米国における東芝ブランドのTVは、日本と同様にTVS REGZA(旧東芝映像ソリューション)が展開している
ご存じのように、日本では2月に初めてのFire TVスマートテレビをヤマダホールディングスとの提携により発表できました。(ヤマダホールディングス子会社の)ヤマダデンキは、日本では良く知られた家電量販店です。
ラウシュ氏 今後発売予定のものを含めると、世界の多くの国で100以上のFire TVスマートテレビを展開しています。2021年秋には、初めてAmazonブランドのTVを米国で販売を始めました。この製品について、今日(追加で)お伝えできることはありませんが、好調な売れ行きです。世界中のお客さまに販売できるようにしたいと考えています。
自社ブランドのFire TVスマートテレビには、新しい発明をお客さまに提供すると同時に、それをできるだけ早くパートナー企業とも共有するという役割も持っています。現に、私たちの「Fire TV Omniシリーズ」に搭載したアレイマイクは、東芝の新しいFire TVスマートテレビにも搭載されています。こうすることで、ハードウェアなどの設計や開発のスピードを上げることができるのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.