共通ポイントの「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティングは、KDDIとの提携によって会員数が拡大し、月間のトランザクションも約2倍に拡大するなど、会員規模を拡大している。同社の常務執行役員である野田和也氏はKDDIとの提携によって「相乗効果が生まれており、質も高まっている」と話す。
共通ポイントPontaは、会員数として1億729万人(2022年4月末)、提携社として141社(2022年5月1日)となり、提携店舗数は26万店(同)に達した。2010年3月にスタートしたPontaは、ローソンなどのリアル店舗を中心にサービスを展開し、その後リクルートの参画でネットサービスへの利用を拡大。日本航空(JAL)の加盟で交通インフラへも進出した。
大きな契機となったのが、2020年5月、KDDIと資本業務提携を締結したことだ。KDDIはau事業におけるポイントau WALLETポイントを提供していたが、これをPontaと統合。これによってPontaのユーザー層がさらに拡大した。
2019年5月から提携直前までの約1年間での新規会員数が336万人増だったのに対し、提携後の1年では一気に640万人と2倍近い会員を獲得。その後1年でも556万人増と、2020年5月以降よりは伸び率は下がったものの、2019年5月以降よりも新規会員数を伸ばした。
加盟店も、「KDDIとのアライアンスの効果も手伝って」(野田氏)順調に拡大。au PAYやauサービスに加え、三菱UFJ銀行やSBI証券、成城石井、ジョーシンなど幅広い分野の加盟店が参加していき経済圏が拡大した。
Ponta会員はau PAYの利用率が増加し、提携開始直後に比べて16.3ポイントの増加となり、Ponta会員のau PAY決済利用回数は、au PAYユーザー全体の中でも高い状況だということで、提携による効果は、この2年で順調に出ているとしている。
共通ポイント陣営では、Tポイントからソフトバンクが抜けたことで、今後シェアは下がるとみられているが、Pontaに加えて楽天ポイント、dポイント、そして拡大が見込まれるPayPayポイントといった主要共通ポイントは通信事業者との関係が深い。
PontaはTポイントに近い位置付けだったが、KDDIとの提携でau経済圏としての位置付けが鮮明となり、Pontaアプリとau PAYアプリの間で相互に連携するなど、一体感のある戦略を打ち出している。
野田氏によれば、両社の共同メールマガジン「みんなのPonta」ナビの運営や+メッセージでのサービスに加え、ポイント還元キャンペーンや加盟店開拓なども両社でチームを組んで実施していて、「2社共同で動いていることもものすごく多くなってきている」(野田氏)という。
会社が異なることは「メリットもデメリットもある」(同)が、au経済圏とPonta経済圏が重なってきているため、「1つの共通目標に向かってチーム編成でより動きやすくなってきている」(同)という。
Pontaとしては、Pontaアプリを中心とした顧客接点の拡充に力を入れているとして、その一環として2022年1月にはアプリをリニューアル。ユーザーの6割が毎日何らかの理由でアプリを開いていて、「アクティブなコミュニケーションツールとして仕上がっている」と野田氏は自負を見せる。リニューアルでさらに訪問回数が増えたとしており、日常利用を推進していく考え。
こうした利用促進によって、日常のさまざまなシーンでユーザーとコミュニケーションを取り、得られたデータを活用することで、ユーザーとの「質的な関係の強化」(同)を図っていきたいとしている。同社では、位置情報を活用したマーケティングの準備も進めており、「近日中に実装できるという所になっている」(同)が、こうしたさまざまな観点からデータを分析し、ユーザーの利便性向上と加盟店への送客などのメリットを生み出していくことを狙う。
今後の展開として野田氏は、Green Ponta ActionをはじめとしたSDGsを意識した取り組みに加え、中期的なビジョンとしてメタバースなどの仮想空間でのビジネス展開も検討していきたい考えだ。
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