何が変わる? ドコモのSIMカードを「水色」から「緑色」にしてみたふぉーんなハナシ

» 2022年06月17日 07時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 NTTドコモは4月18日から、ユーザーに新規発行するnanoUIM(nanoSIM)カードを原則として「ドコモnanoUIMカード Ver.7」に移行しました。旧バージョン(ドコモnanoUIMカード Ver.6)がライトブルー(水色)だったのに対して、新バージョンはグリーン(緑色)になりました。

 この緑色のnanoUIMカードといえば先日、一部のAndroidベースのドコモケータイ(spモードケータイ)と組み合わせて使うと位置情報の取得に問題が発生することが話題となりました。

 読者の皆さんの中には「SIMカードが変わるだけでそんなにいろいろ変わるものなの?」と疑問に思う人もいると思いますが、ドコモ広報部によると緑色のnanoUIMカードは「新サービスに対応するための機能追加」を行っているそうです。ただし「詳細については非公開」とのこと。

 何が変わったんだろうか――どうしても知りたかった筆者は手持ちの「Galaxy Z Flip3 SC-54B」で使っているnanoUIMカードを緑色に交換することにしました。

緑色 ドコモnanoUIMカード Ver.7は、今までと何が違う?

とりあえずnanoUIMカードを再発行(有償)

 まず、nanoUIMカードを交換します。

 契約変更を伴わないUIM(SIM)カードの再発行はドコモショップで受け付けています。再発行手数料は、UIMカード自体の故障による場合は無料他の理由(カードサイズの変更を含む)の場合は2200円(税込み)です(※)。有償の場合の手数料は、手続き翌月の携帯電話料金と一緒に請求されます。今回は「緑色のnanoUIMカードにしたい」という自己都合の再発行なので、当然有償です。

(※)契約変更や機種変更に伴い再発行する場合は、再発行手数料の代わりに手続きの事務手数料が発生します(ドコモオンラインショップでは無料です

 私は“飛び込み”で通勤経路上のドコモショップに駆け込みました。受付担当者に「緑色のSIMカードに交換したいのですが」と伝えると、今回は待たされることなくスムーズに手続きできました。ただし、現在のドコモショップは事前予約した来店客の手続きを優先して受け付けているので、特に混雑しやすい店舗なら事前に予約してから行った方が良いです。

 再発行されたnanoUIMカードは「ドコモnanoUIMカード Ver.7(ID)」というものでした。最後のかっこ書きはカードのメーカー(製造元)を表しているのですが「ID」というメーカーは初めて見かけたので調べてみた所、フランスに本社を構えるIDEMIA(アイデミア)のことのようです。

 ちなみに、この緑色のnanoUIMカードには「AX」というメーカーのバージョンも存在します。AXは旧Axalt(アクサルト)のことで、同社はGemplus(ジェムプラス)との合併でGemalto(ジェムアルト)となり、その後GemaltoはThales DIS(タレスDIS)に買収されて現在に至っています。

 メーカーによってICチップのパターン(模様)やカードの表面処理に多少の違いが見られますが、同じバージョンのUIMカードは機能も同一です。基本的にはメーカーの違いを気にする必要はありません。

緑色 再発行手続きを終えて手元に来た「ドコモnanoUIMカード Ver.7(ID)」
ID いろいろなメーカーのドコモnanoUIMカードを見てきましたが、アイデミア製は初めてでした

「NTT DOCOMO」が「docomo」に

 nanoUIMカードを再発行すると、古いnanoUIMカード(水色)はすぐに使えなくなります。新しいnanoUIMカードをGalaxy Z Flip3に差し込んでみると、すぐに通信できるようになりました。

 「何も変わらないな」と思って使い始めた数日後、ロック画面をジッと見てみると、言いようのない“違和感”を覚えました。

違和感どこに? 緑色のnanoUIMカードにした後の端末ロック画面の上方。ドコモ回線(ahamoを除く)でAndroidスマホを使っている皆さん、何か違和感を覚えませんか……?

 そうです。オペレーター(キャリア)の表記が「NTT DOCOMO」から「docomo」に変わっていたのです。この変化を見逃すとは、何たる失態……。

ここだよ、ここ! ロック画面上方に出るオペレーター表記が「NTT DOCOMO」ではなく「docomo」になりました

他のスマホではどうだろう?

 本件についてドコモ広報部に尋ねた所、オペレーター表記の変化はnanoUIMカードの変更に伴うものだと分かりました。仕様変更が思わぬ所で確認できたということです。

 「他のスマホでも表記が変わるのか?」という点は非常に気になります。そこで、手元にある何台かのAndroidスマホでどうなるのか見てみました。

Pixel 6

 いきなり変化球な気もしますが、まずGoogleの「Pixel 6」に緑色のnanoUIMカードを入れてみることにしました。この端末の場合、水色のnanoUIMカードやeSIMではオペレーター名が「NTT DOCOMO」と表示されます。

 結論をいうと表記は「NTT DOCOMO」から「docomo」に変わりました。Pixel 6のフォントと相まって、ちょっとかわいらしい感じです。

docomoに Pixel 6でも「docomo」表記になりました

arrows NX9 F-52A(Android 12)

 次に、富士通コネクテッドテクノロジーズ(現FCNT)製のドコモスマートフォン「arrows NX9 F-52A」で試してみます。この個体はAndroid 12へのバージョンアップが済んでいるものです(6月16日現在、OSバージョンアップは公開停止されています)。

 こちらも表記が「NTT DOCOMO」から「docomo」に変わりました

docomoに Android 12にバージョンアップしたarrows NX9でも「docomo」表記です

arrows NX F-01K(Android 9)

 少し古めの機種でも、ということで2017年12月に発売された富士通コネクテッドテクノロジーズ製の「arrows NX F-01K」もチェックしてみます。OSはAndroid 9にバージョンアップ済みです。

 先の2機種とは異なり、この機種は5Gに対応していません。緑色のnanoUIMカードは5G契約なのでLTE端末での動作保証がありません(参考記事)。5G契約の水色のnanoUIMカードでは通信できることは確認しているので、緑色でも行けるだろうという判断です。

 F-01Kでは、水色のnanoUIMカードを入れるとオペレーター名は「NTT DOCOMO」とのみ表示されます。ところが、緑色のnanoUIMカードを入れると表記が「NTT DOCOMO - docomo」となりました。この表記は海外ローミング時によく見かけるもので、左側がネットワークオペレーター(接続中のキャリア)、右側がSIMカードオペレーター(SIMカードを発行したキャリア)を表します。

 ネットワークとSIMカードのオペレーターが一致している場合、最近のAndroidスマホではまとめて表示されることが一般的です。海外に行きづらくなった昨今、このような表示を見るのは久しぶりで、何だか海外に出かけた気分になったのは内緒です(同じキャリアなんですけどね)。

懐かしい表示 arrows NX F-01Kに緑色のnanoUIMカードを挿すと、海外ローミング中のようなオペレーター表記になりました

結論:緑色のnanoUIMカードはSIMオペレーター名が変わった

 ということで、ドコモの緑色のnanoUIMカードはSIMカードに記録されているキャリア(オペレーター)の名称が「NTT DOCOMO」から「docomo」に変わってます。いろいろ試した限り、それ以外の差異は見つけられませんでした……。

 水色のnanoUIMカードとの違いは他にもあるのでしょうか……? 公式な続報に期待したいと思います。

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