2画面スマホが消えていった背景には、スマートフォンそのものの画面が大型化したこと、「Galaxy Z Fold」を始めとした折りたたみスマホの登場が考えられる。
確かにスマートフォンの画面そのものが大型化してしまえば、2画面を展開しての大画面を売りにすることが難しくなる。近年では6型クラスのものが当たり前になり、SNSを始めとして縦画面に最適化されたコンテンツが主流になりつつある。
加えて、Galaxy Z Foldのような折りたたみスマホは、2画面スマホの懸念材料でもあった、「展開時に中央のベゼルで画面が切れて見にくくなる問題」を解消した上位互換といえる存在になっている。
ZTE M、LG V60 ThinQ、Surface Duoの「スマートフォンを2台持つような感覚で利用できる」という基本的なコンセプトは変わらない。実際、Android側の制約もあって、動作感はスマホ2台持ちよりも快適とはいえないものだった。それなら「スマートフォンを2台持った方がいいのでは?」と思う人が大半だったといえる。
一方で、折りたたみスマホの場合は、展開時は大画面のタブレット端末のように利用できる。スマホを2台持つから、「1台でスマホとタブレット端末を兼ねる」に近い運用に変わる。
2画面スマホは大画面での運用が難しいものが多かったので、この点で折りたたみスマホは完全な上位互換となる。「閉じてコンパクト、開いて大画面」というコンセプトを体現したモデルは、2画面スマホから折りたたみスマホへと変わっていったのだ。
Galaxy Z Foldを始めとした「本のように開く」スマートフォンは、かつての2画面スマホが持つデメリットを解消した上位モデルといえる。Galaxy Z Fold 3では防水に対応するなど、着実に使いやすくなっている。LG の2画面スマホはDual Screen Caseを装着すると重量が大幅に増加する難点がある。例えばV60 ThinQでは350gとなり、これは並の折りたたみスマホよりも重たく、スマートフォンとしてはかなりの重量級スマホとなるセルフィー用に背面に画面を備えていた端末も、基本的には画面占有率を上げるためにイントカメラを削った結果として生まれたものだ。背面にディスプレイを設けてセルフィー重視と位置付けたが、これもケースや端末設計などの観点からトレンドになるとはいえないものだった。加えて、折りたたみスマホではカバー画面をセルフィーディスプレイとして利用できる。
通知用サブディスプレイについても、スマートウォッチが代替を担える状態のため、搭載する端末は少ない。採用例は折りたたみスマホのカバーディスプレイがほとんどだ。
ここまで、2画面スマホについて振り返ってみた。今後また2画面スマホが出るのか? という問いに対しては「ほとんど出ることはない」と考える。これは、現状の折りたたみスマホが「実質的な2画面スマホの理想形」となっているからだ。
閉じてコンパクト、開いて大画面という考えはスマートフォンの黎明期から追い求められていたものだ。古くは2007年に発売された「Nokia E90 Communicator」といった機種が存在し、この端末のキーボードまで画面になったものがGalaxy Z Foldだと言えばふに落ちる。
Galaxy Z Foldのコンセプトは、2007年発売のNokia E90 Communicatorと同じだ。どちらもカバー画面とメイン画面を持ち、同時に利用する場面は少ないが、ある意味これらも2画面スマホだそうなると、LG WINGのような「サブディスプレイ」に徹した2画面スマホくらいしか登場の余地がない。ただ、これはセオリーから外れる「マニア向けのスマホ」となる。このような商品は大手メーカーが出るとは思えず、クラウドファンディングなどで登場するかどうかだ。ある意味、Unihertzで展開される物理キーボード端末と同じぐらいニッチなものだと考える。
スマートフォンの黎明期からあり、Galaxy Z Foldのような形で理想系となった2画面スマホ。ここまでたどり着くまでは、今回紹介したようなさまざまなコンセプトの機種があったことを思い出してほしい。
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