目指したのは“国民機” シャープの「AQUOS sense7/7 plus」が単なるミッドレンジスマホと違う理由石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2022年09月26日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

派生モデルのplusはカメラに加えて動画体験を重視、シリーズ共通でデザインも刷新

 これまでのAQUOS senseにも“plus”が付くモデルはあったが、デザインが通常モデルと大きく異なるなど、純粋な派生モデルとは呼びづらいものがあった。これに対し、AQUOS sense6 plusは、AQUOS sense6をそのまま大型化し、一部のスペックを強化したモデルに仕上がっている。派生モデルがどこか浮いていた従来よりも、“シリーズ感”がしっかり出ている印象だ。こちらの方がAQUOS senseのブランドイメージを生かせるため、販売上、有利になりそうだ。

AQUOS sense7 AQUOS sense7 plusは、AQUOS sense7の大型版。デザインの差分が少なくなり、純粋な派生モデルと呼べる仕上がりに

 AQUOS sense7に“plus”されているのは、動画体験だ。具体的には、ディスプレイが6.4型と通常版よりも0.3型ほど大きいほか、動画を再生する際に、足りないフレームを120fpsまで補間する技術を採用している。ディスプレイのリフレッシュレートは表示しているコンテンツに合わせて最大240Hzに可変する。240Hzは、映像を120Hzで表示した際に、2回に1回、黒いフレームを入れることで実現。上位モデルにも採用されている技術で、残像感を抑え、滑らかな映像を表示できるのがそのメリットになる。

【訂正:2022年9月27日19時50分 初出時、AQUOS sense7 plusのリフレッシュレートを「1Hzから最大240Hz」としていましたが、下限が非公表のため、「最大240Hz」に訂正いたしました。】

AQUOS sense7 最大240HzのIGZO OLEDを搭載しただけでなく、映像コンテンツも120fpsまで補間する。著作権保護のかかったコンテンツにも対応するという

 映像体験でもう1つ重要なのが、サウンドだ。AQUOS sense7 plusは、左右が干渉しないボックス構造のスピーカーユニットを採用しており、どちらも大口径・大振動。AQUOS sense6と比べ、低音域の音圧が2倍、帯域幅が1.4倍に拡大している。滑らかな映像と迫力のサウンドで、AQUOS sense7以上に動画を楽しめるというのが、AQUOS sense7 plusの位置付けだ。

AQUOS sense7 映像体験を決定づけるもう1つの要素であるサウンドにも磨きをかけた

 シリーズ感という意味では、2機種のデザインにも注目したい。いずれもAQUOS sense6から大幅にその見た目を変えており、どちらかというと、ハイエンドモデルに近い雰囲気が出ている。背面のカメラはセンターに搭載。レンズの大きさや素材感は異なるが、デザインはフラグシップモデルのAQUOS R7に近づけている。フラグシップモデルのRシリーズとミッドレンジのsenseシリーズそれぞれに方向性の異なるデザインを採用していた2021年までとは、方針が大きく変わったことがうかがえる。

AQUOS sense7 フラグシップモデルのAQUOS R7と、デザインの共通性を高めた。カメラは本体上部の中央に配置される

 カメラの強化という方向性は、フラグシップモデルのRシリーズとミッドレンジのsenseシリーズで共通している。デザインランゲージを統一することで、そのコンセプトがより明確になるはずだ。また、AQUOS Rシリーズは、AQUOS R6で1型センサーを採用し、ライカと協業して以降、「カメラ機能が突出して優れた端末」というイメージがつきつつある。フラグシップで培ったブランド力をミドルレンジに波及させるためにも、統一感は出した方がいい。

AQUOS sense7 こちらはAQUOS R7の背面。素材やエッジの処理、カメラのサイズなどは異なるが、方向性が統一されたことが分かる

 実際、他社のラインアップを見ると、ハイエンドモデルをベースにしたデザインをミドルレンジに採用している例は多い。ソニーのXperia 1とXperia 10や、GoogleのPixelとPixel aなどは、その典型例。サムスンも、Galaxy Sと一部のGalaxy Aはデザインに一定の共通性を持たせている。1型センサーを搭載したAQUOS R6やAQUOS R7でAQUOSとしての売りを明確にした今だからこそ、シャープもこの方向に踏み出せたといえそうだ。

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