サムスンのフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Fold4」が9月29日に発売された。ドコモとauが取り扱う。価格(1回払い)はドコモオンラインショップが24万9700円(税込み、以下同)、auオンラインショップが24万9960円となる。
Galaxy Z Fold4はサムスン電子ジャパンが9月8日に発表したフォルダブルスマートフォン。6.2型のカバーディスプレイで一般的なスマホと同様に使え、開くと7.6型の大型ディスプレイになる。最大の進化点は外観ではなく、中身であると筆者は捉えている。
そんなGalaxy Z Fold4について、先代のGalaxy Z Fold3と比較しながら、中身の何が違うのかをチェックしていく。
まずGalaxy Z Fold4で注目すべきは、メインディスプレイの2画面操作に最適化したUI(ユーザーインタフェース)を採用した点で、最大3つのアプリを同時に表示できるようになった。これまでは2画面分割かアプリを重ねて表示するマルチウィンドウ表示にしか対応しなかったが、3つをタイルのように分けて表示できるのが大きなポイントだ。
これはフォルダブル端末に最適化されたOS「Android 12L」を初搭載したことで実現できたという。
画面下部にはPC(Windowsでいうタスクバー、macOSでいうDock)のようにショートカットアイコンを表示でき、アプリを起動中でも他のアプリを簡単に立ち上げることが可能だ。しかもドラッグ&ドロップで最大3分割のマルチウィンドウで起動したり、これまでと同様に任意のアプリを最大2つまで画面分割で表示したりできる。
このショートカットアイコンがあることで、これまでいったんアプリの起動画面から、ホーム画面に戻って他のアプリを探したり、わざわざバックグラウンドで起動中のアプリを探したりする手間がなくなった点が非常に便利だと感じている。
一方で、ショートカットアイコンや3分割表示が可能でも、アイコンのサイズや分割した場合の各アプリの表示領域は狭いと感じる。確かに冒頭で述べた通り、スマートフォンとしては大きな7.6型のディスプレイを存分に活用できるUIではあるが、それでも10型やそれより大きなサイズのタブレットには及ばない。
さらに、アプリによっては3分割表示に対応していないどころか、2分割にすら対応していない(厳密にはそれ用に設計されていない)ものもある。設定から「全てのアプリを強制的に分割表示する」をタップすると、分割非対応のアプリでも分割表示が可能になるが、当然ながら動作保証はない。
分割表示の中でも特に気に入っているのが、ポイントカードと決済アプリを同時に起動して、例えば画面の片方にドラッグストアのポイントカードを、もう片方にdポイントカードを表示して使う方法だ。いわゆる「ポイントのダブル進呈」「2重取りができる」などとうたわれている店舗で、それぞれのアプリを個別に表示して切り替える手間がいらない。
ただ、バーコードやQRコードを店員さんに読み取ってもらう際、店員さんがスキャナーをグリグリと画面に押し込んでくると、メインディスプレイに貼られている柔らかい保護フィルムに傷が付く恐れがあるので注意したい。
このようにメインディスプレイではいろいろと使い勝手を検証できたのと、どんなときに各機能が役立つのかが分かったが、ディスプレイを折りたたんだときのカバーディスプレイではできることが限られてくる。このカバーディスプレイには下部にアプリが並ばないので、通常のスマホと同じく、2画面分割かウィンドウを重ねて表示するといった活用にとどまる。
あとはこのカバーディスプレイを自分撮り用のプレビューモニターとして有効活用する手だ。カメラを起動するとデフォルトではカバーディスプレイは点灯しないが、カバーディスプレイのアイコンをタップすると、メインカメラの画像、映像をカバーディスプレイでモニタリングできる。
なお、アウトカメラの面がテーブルあるいは床と接触してしまうと、当然ながらアウトカメラを使えない(真っ暗になる)ので、90度開いた状態で縦置きして使うのが良さそうだ。
Galaxy Z Fold3からGalaxy Z Fold4へ進化するに際し、カバーディスプレイで行えることを増やしてほしかったと感じた。もう少し長期間使うと、意外な活用法が見えてくるはずなので、その場合は別途記事にしたいと考えている。
もちろんカバーディスプレイについて評価しづらいというわけではなく、細長さゆえに片手で握りやすい点にも触れておこう。国内の正規ルートで販売されているハイエンドクラスのスマートフォンでここまで握りやすいのは、Xperia 1シリーズとGalaxy Z Foldくらいだろう。これくらい細いと、常に携帯したいと感じる。参考までに両機種のサイズを記載しておく。
※後者は折りたたんだ場合のサイズ
あくまで折りたたんだ場合だが、Xperia 1 IVよりも3.9mmほど細いGalaxy Z Fold4の方が、より片手で握りやすい。Galaxy Z Fold4はスマートフォン2台分の奥行きに相当するが、それでもこの細さゆえの握りやすさは強調しておきたい。
筆者自身は細長いカバーディスプレイで画面分割をするよりもメインディスプレイで複数のタスクをこなす方が効率が良いと考えるので、極力、メインディスプレイで操作をするようにしている。
中身が大幅な進化を遂げた一方で、見た目に大きな変化は見られない。
Galaxy Z Fold3とGalaxy Z Fold4の形状はほぼ同じで、折りたたんで開いて、という基本動作も変わらない。ただ、Galaxy Z Fold4の方がヒンジがスリムになり、本体のサイズもやや小さくなった。
過去の記事でも触れているが、改めて両モデルを公表値(メーカーが公表している数値)で比較すると、こうなる。
展開時はGalaxy Z Fold3が約128.1(幅)×158.2(高さ)×6.4(奥行き)mm、Galaxy Z Fold4が約130.1(幅)×155.1(高さ)×6.3(奥行き)mmとなっている。幅は2mm増えたものの、わずかに薄くなっている。折りたたみ時はGalaxy Z Fold3が約67.1(幅)×158.2(高さ)×14.4〜16(奥行き)mm、Galaxy Z Fold4が約67.1(幅)×155.1(高さ)×14.2〜15.8(奥行き)mmだ。高さと閉じた状態の奥行きが減っていることが分かる。
重量は約271g(Galaxy Z Fold3)から約263g(Galaxy Z Fold4)となり、先代よりもやや軽くなっている。
数値上は小型化を果たした格好だが、実際に手にしたときにこの数値差を実感できるか? と問われると首を縦に振れない。小型化といわれても微々たる差で、ヒンジのスリム化でさらに持ちやすくなった、とも感じられなかった。
とはいえ、サムスン電子がアピールポイントの1つとしている、耐久性のアップには触れておきたい。Galaxy Z Fold4は「20万回の開閉に耐えられる強度を持つ」とのことで、1日100回開閉したとして約5年間は耐久性を持続できるという。
Galaxy Z Fold4のフロントパネルとバックパネルはGorilla Glass Victus+で、サムスン電子いわく「ディスプレイの保護フィルムが剥がれにくくなって、より丈夫になった」とのことだ。防塵(じん)には非対応なものの、フォルダブルスマートフォンとしては珍しく、防水性能(IPX8)を備える。
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