能登半島地震で鳴り響いた「緊急地震速報」 受信できないスマホはあったのか(1/2 ページ)

» 2024年01月26日 12時17分 公開
[佐藤颯ITmedia]

 元日に北陸地方を襲った最大震度7の大地震。筆者も最大震度6弱を観測したエリアにてこの揺れに遭遇したが、当然スマートフォンからは緊急地震速報が鳴り響いた。今回は筆者の手持ちのスマートフォンがどのような挙動をしたのか、振りかえっていきたい。

緊急地震速報 能登半島地震で使用された緊急地震速報の挙動について振り返る

緊急地震速報とは? 改めておさらい

 現在の緊急地震速報はエリアメールなどに利用された技術(CBS方式)をもとに、進化させたPWS(Public Warning System)という仕組みが使われている。PWSは携帯電話ネットワークを使った緊急速報システムで、3GPPによって国際規格化されている。

 その中でも緊急地震速報は震災の多い日本の提案で、速報性を求めるPWSのサブシステムとして国際規格に採用された背景がある。それがETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)(直訳「地震津波警報システム」)だ。

 この規格ではメッセージを「Primary」「Secondary」に分けて送信できる。ETWSでは先行して地震の情報のみをPrimaryとして発出し、後発で震源地や規模予測、津波の可能性といった情報をSecondaryとして発出する。1回の地震で警報が2回鳴る理由はこのためだ。

 気象警報やJアラートなどの情報はSecondaryに相当する部分のみ発出されるため、警報は1回のみだ。ただ、これらの部分はETWSを拡張した独自仕様のため、一部のオープンマーケット向けスマートフォンや海外から持ち込まれたスマートフォンでは受信できない可能性がある点は留意してほしい。

緊急地震速報緊急地震速報 緊急地震速報では「地震」の情報の後に震源地や規模の情報が発報される。そのためダイアログも2つ表示される

 また、ETWSでは地震の初期微動(P波)を検出してから予測エリアの選別、地震情報の第一報発出から端末側で処理されるまでの時間が4秒以内を規格値としている。これは、本震が来る前に利用者に地震情報を知らせることで、机の下に避難するなどの行動を取れるようにすることが目的だ。

 現在、このPWSが国際規格となっているので、海外に渡航した際に同様の環境が整備されていれば、現地の災害などの情報も速報で得ることができる。もちろん、日本に渡航している外国人が持つスマートフォンでも、緊急地震速報を受け取れるのだ。日本以外ではアメリカやEU圏、韓国で利用されるサブシステムは3GPPで規格化されているので、海外から持ち込んだスマートフォンでも受信できる可能性が高い。

 例として、韓国で緊急速報を受信した様子を紹介する。韓国では「KPAS」と呼ばれる警報システムがあり、地震等の災害の他に北朝鮮からの攻撃などでも発報される。受信した端末は韓国で販売されていないPixel 7 Proだったが、KPASがPWSのサブシステムに含まれる国際規格のため、日本で販売されているスマートフォンでも受信できたのだ。

緊急地震速報 KPAS警報を受信した例。ハングルのためパッと内容を理解することは難しいが、危険な状況が迫っていることは伝わる。内容は日本でいう大雨特別警報だ

海外のスマホでも緊急地震速報は受信できるのか

 さて、ここからは実際の状況を見ていこう。筆者は震度6の地震に見舞われたエリアにいたため、持ち歩いていたスマホからはけたたましい音量で音声が聞こえてきた。揺れが来る前に察知することができたので、筆者は安全な場所に車を駐車できた。これは4秒以内に地震の有無を伝えるETWSのおかげだ。

 多くのスマートフォンで警報を受信したが、一部警報を受信できなかったものもあった。これは機内モードで電波を発しない状態にしていた機種だったので、後述するセルブロードキャストでも受信できなかったと考えられる。

 他に印象的だったものは、HuaweiのMate 60 Proだ。こちらからは日本語表示でも中国語で音声アナウンスが発出された。このため、日本において緊急地震速報を受信した場合、一部のスマートフォンでは外国人旅行者なども警報の意味を理解できる場合がある。

緊急地震速報 筆者が過去のものを含めて確認した限りでは、HuaweiとHONORの中国で販売されている機種は中国語の音声アナウンスが発出されていた

 この他に海外で開通の後、日本で利用しているスマートフォンに関しても問題なくETWSを受信できた。機種によって差はあるが、日本で発売されている機種と同様のピクトグラムが表示されるものもあった。このあたりはグローバル規格の恩恵を強く受けている。これについて、技適未取得の端末でETWSを受信することは問題では? と思われるかもしれないが、緊急速報は受信のみでスマートフォン側からは電波を発しないことから法的には問題ない。

 また、SIMカードが挿入されていないスマートフォンでも、緊急地震速報を受信したものがいくつかあった。これはETWSがセルブロードキャストという仕組みを採用しているためで、エリア内にある端末ならSIMカードを挿入していない場合でも緊急地震速報を受信できることがあるのだ。このため、ポケットルーターなどで手持ちのスマートフォンを利用するような場面でも、地震情報を得ることができる場合がある。緊急地震速報をSIMカードの入っていない古いスマートフォンでも受信できる理由はこの仕組みにあるのだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  8. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  9. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
  10. Qualcommのウェアラブル新チップが「Elite」を冠する理由 最新モデム「X105」は衛星通信100Mbpsへ (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年