ケータイの緊急地震速報はいつ鳴るのか

» 2011年03月24日 18時30分 公開
[園部修,ITmedia]
Photo 本震から10日以上が経過してなお届く余震の緊急地震速報

 東北関東大震災を受けて、ケータイや一部のスマートフォンに搭載されている緊急地震速報の通知機能が注目を集めている。大きな地震が起きる直前に、地震の揺れが迫っていることを知らせてくれる便利な機能であり、地震の揺れが到達するまでのわずかな時間に、机の下に入ったり、窓ガラスから遠ざかったりと、身の安全を確保することが可能になる。

 なかなか便利な緊急地震速報だが、首都圏では3月11日以降ひっきりなしに耳にしているため、少々食傷気味になっている人もいるかもしれない。また緊急地震速報は、その仕組み上、地震が来てから届いたり、緊急地震速報が届いたのに揺れなかったり、あるいは同じ県に住んでいる友達のケータイは鳴っていたのに自分のケータイは鳴らなかった、といったことも起こる。

 こうした事象はなぜ起きるのか。それを知るためには、まず緊急地震速報がどういうものかを理解し、そしてケータイの緊急地震速報通知機能がどういった条件で動作するのかを確認しておく必要があるだろう。そして緊急地震速報は、「またか」などと思わず、常に注意を払って、受信したら警戒する習慣を付けておくことが重要だ。

緊急地震速報って何?

 緊急地震速報は、地震発生直後に、震源に近い地震計でとらえた観測データ(P波/初期微動)を解析し、震源や地震の規模を推定して、各地への地震の強い揺れ(S波/主要動)の到達時刻や震度を予測の上、通知される地震の予報・警報だ。速報は気象庁が出している。ケータイに緊急地震速報が届いた場合は、特別な着信音が鳴る。警報音は、NTTドコモのWebページなどで確認できる。

 ただ、緊急地震速報には限界がある。速報が届いてから地震の揺れ(主要動)が到達するまでの時間は長くても十数秒から数十秒しかない。そして、震源に近い場所では、速報の発表が強い揺れの到達に間に合わないことがある。また1つの観測点のデータを元にしている場合、事故や落雷、機器の障害などによって速報が出てしまう可能性もある。今回の東北関東大震災のような大規模な地震の際には、断層の破壊の途中で速報を出してしまい、結果的に速報より大きな地震が起きてしまったりもする。複数の地震が近接して発生した場合に、的確な速報が出せない場合もある。同時に複数の場所で地震が起きることが想定されていないからだ。

 そして何より、すべての地震に関して速報を出すことができるわけではない。東北地方太平洋沖地震によって、一部の観測機器に被害が出たため、予測の精度も下がっているという。だから、地震によってケータイの緊急地震速報が鳴ったり鳴らなかったりする。

対応端末が受信するのは震度4以上が予想される地域のみ

 ケータイなどへの緊急地震速報は、特定の条件に合致しないと通知されないということも、鳴ったり鳴らなかったりする原因の1つだ。気象庁の緊急地震速報は、1つの観測点のデータから複数回発表する「高度利用者向けの緊急地震速報(予報)」と、複数地点で観測され、強い揺れが予測された場合に原則1回発表する「一般向けの緊急地震速報(警報)」の2種類があり、ケータイの緊急地震速報は、後者の速報をベースにしている。後者の場合、最大震度が5弱以上と予測された地震が起きたときのみ発信される。

 つまり、比較的確度が高く、大きな地震になる可能性が想定された場合に、ケータイなどで受信できる緊急地震速報は発表されているわけだ。しかも、通知される地域は全国を約200に分割したエリアのうち、震度4以上の強い揺れが予測される地域のみ。震度3以下の地震が予測される地域には通知されない。

 例えば東京都の東京地域だと、東京都23区、東京都多摩東部、東京都多摩西部の3つのエリアに分かれている。東京23区は震度4予想、多摩東部と多摩西部は震度3予想だった場合は、東京23区では緊急地震速報が鳴るが、例えば武蔵野市など多摩地区では鳴らない。都内の全域で鳴るわけではないのだ。

 TVなどのニュース番組では、特定の地域に向けて緊急地震速報を放送するのが難しいため、画面内に対象地域を表示して緊急地震速報を流す。TVで緊急地震速報が流れたのに、自分のケータイは鳴っていない、という場合は、自分が今いる場所の震度予想が、通知対象外だった可能性がある。

 そのほかにも、ケータイで緊急地震速報が鳴らない場合はいろいろある。例えばケータイの設定。NTTドコモの最近の機種では、特に設定することなく緊急地震速報が届いたら着信音が鳴るが、906i/905i/706iシリーズ(NM706i、L706ie、SH706ieを除く)、N705i、P705i、N705iμ、P705iμ、SO705i、PROSOLIDμ、らくらくホンV、らくらくホン プレミアムなどは、事前に受信設定が必要だ。また、一般的にはマナーモードにしていても緊急地震速報は鳴動することが多いが、まれにメールや電話の着信同様、着信の際に音が鳴らない機種もある。KDDIのauケータイも、初期設定では受信設定がオフになっている機種があるため、対応機種でも鳴らない場合がある。マナーモードに設定していると緊急地震速報の音が鳴らない機種もある。詳しい設定方法はこちらを見てほしい。

 また、緊急地震速報はメールのような形で受信するため、当然ながら電波の届かない場所にいたり、ケータイの電源が入っていなかったりすると受信できず、警告音は鳴らない。アプリを起動していたり、通信をしていたりする場合も、鳴らない場合がある。

スマートフォンでは細かな設定が可能なアプリが活躍

 残念ながら、スマートフォンには緊急地震速報に対応している機種は少ない。iPhone 4をはじめとする海外メーカー製のスマートフォンはすべて非対応。Android端末で対応しているのはauのシャープ製「IS03」「IS05」と富士通東芝製の「REGZA Phone IS04」、Windows Mobile端末では東芝製の「IS02」だけとなっている。

 ただ、気象庁が発している緊急地震速報を受信できるアプリはある。iPhone向けにはアールシーソリューションが「ゆれくるコール”for iPhone」を提供している。最近ユーザーが大幅に増えたこともあり、通知に遅延が発生したりする場合もあるが、地域や最大震度を自分で設定できるなど便利なアプリだ。Android端末ではayunyan氏による「なまず速報β」が知られている。こちらは比較的通信頻度が高いためバッテリーの減りが気になるものの、Androidスマートフォンでも緊急地震速報が受信できるようになる。

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