ソフトバンクが“1年で実質12円”の購入プログラムを作った背景 約1年前から入念に準備も、厳密な運用は困難石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2024年02月10日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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強気の買い取り予想価格も根拠あり、ただし改定サイクルは未定

 新トクするサポートのような端末購入プログラムを実施する際には、キャリアが将来の買い取り価格を予想し、Web上に公開しなければならないルールもできた。端末の下取りを条件に分割払いの一部を免除する場合、その範囲を超えた分が割引になる。割引に含まれない金額を、キャリア自らが予想し、ユーザーにも示せということだ。ただし、予想は予想。同じ端末でも、キャリアによってその額には開きがある。

 この予想額が高いと、その分だけ端末を安くできてしまう。ソフトバンクは、他社より“アグレッシブ”な買い取り価格を打ち出しており、これが実質12円などの価格を下支えしている面があることは否めない。一方で、郷司氏は、「なぜこうなったかの詳細は公表していないが、その根拠はあってやっているし、(総務省などに)相談もした上で実施している」と語る。

ソフトバンク ソフトバンクが公表している買い取り価格の予想(2月9日時点)。端末ごとに毎月の額を予想しており、かなり細かい

 具体的な算出方法は非開示だが、「中古買い取り店の価格推移や、われわれが端末を買い取る場合の価格、さらには、その買い取った端末を売却する際の価格などを複合的に見ながら、過去の知見を生かしている」という。また、「モトローラの『razr 40s』のように、前モデルがないときには、例えば『razr 40 ultra』などの推移を見ながら、これぐらいになると算出している」。あえて高めに設定したわけではなく、ふたを開けてみたら他社と異なっていたというのが実情のようだ。

ソフトバンク 先行機種を導入していないrazr 40sの場合、先にオープンマーケットモデルとして発売されたrazr 40 ultraの動向などを参考にしているという

 一方で、本来の買い取り価格は、ある程度短期間で変動し、徐々に下がっていく。例えば、同じ1年後でも、発売の1年後と発売から半年たった後の1年後では、買い取り価格も異なるはずだ。裏を返せば、発売から時間がたてばたつほど、下取りによって免除できる金額が下がってしまうことになる。このような買い取り価格の変動を反映させるようなことが、「今はできていない」という。

 ただ、買い取り価格の推移を逐一予想にフィードバックしていくのは、「現実的には難しい」。Webで公表されたリストを見れば分かるが、買い取り価格の予想は、新トクするサポートで購入できる全機種分に及ぶ。しかも、その1カ月ごとの推移まで記載されており、データ量が膨大だ。これを毎月更新するのは、現実的とはいえない。価格改定の頻度が激しくなりすぎてしまい、ユーザーにとっても分かりづらい。

 ソフトバンクも、どこかのタイミングで見直しをかけることは示唆していたが、厳密に運用しようとすると、かけるリソースが大きくなりすぎてしまう。これは、チェックする側の総務省も同じ。4キャリア分となるとその作業量は数倍に膨れ上がる。割引規制のためだけに、ここまでルールを細かくする必要があるのだろうか。端末購入プログラムは、回線契約にひも付かず、かつ転売リスクも少ない。規制が過剰になりすぎていないかは、今後、検証していく必要もありそうだ。

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