「Xiaomi 13T Pro」を“実質24円”で販売できるカラクリ 実は転売ヤー対策として有効も、今後は規制に?石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2023年12月02日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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 ソフトバンクは、Xiaomiのハイエンドモデル「Xiaomi 13T Pro」を12月8日に発売する。同モデルは、Xiaomiが9月に開催した発表会で披露されていた。わずか19分でフル充電が可能な“神ジューデン”に対応している他、メインカメラには1/1.28型の大型センサーを採用している。日本では契約の問題もあってブランドは使えないが、グローバル版にはライカロゴが入る。カメラ部分のハードウェアは共通で、撮影性能の高さも注目の端末だ。

 XiaomiのTシリーズは、コストパフォーマンスに優れたハイエンドモデルという位置付け。ソフトバンクは2022年にも「Xiaomi 12T Pro」を取り扱っており、その後継機にあたる。コストを抑えていることもあり価格は安いが、ハイエンドモデルであることに変わりはなく、本体価格は11万円(税込み、以下同)を超える。一方で、同モデルは発売直後から“実質24円”で販売されることが明かされ、衝撃を与えた。端末購入補助が2万2000円に規制される中、なぜこのような売り方が可能なのか。そのカラクリや、今後の動向に迫った。

Xiaomi 13T Pro
Xiaomi 13T Pro ソフトバンクから8日に発売されるXiaomi 13T Pro。ハイスペックながら、コストを抑えた1台で、充電機能はもちろんカメラにも定評がある端末だ

衝撃を与えた発売日からの実質24円、カギは新トクするサポート

 Xiaomi 13T Proが実質24円になるのは、あくまで割引が全て適用された場合。MNPで他社から移って新規契約したときや、5歳から22歳以下のユーザーが新規契約したときに、「ペイトク無制限」などの料金プランを選ぶと、2万1984円の割引を受けることが可能になる。これを本体価格の11万4480円から引くと、総額は9万2496円。同モデルの性能やスペックを踏まえると、これでも十分お値打ちに見える。ただ、実質24円とはまだまだ差が大きい。

 残りの9万2472円を値引くカギが、「新トクするサポート」だ。これは、いわゆるアップグレードプログラムと呼ばれる端末を購入するための仕組み。本体価格を48回に分割し、端末の下取りを条件にその半分の24回を免除する。48分割の半分を単純に免除しただけでは9万2472円が24円にはならないが、分割した金額の支払額が前半と後半で異なっていれば、話は別だ。不均等な割賦であれば、免除される金額を抑えることが可能になる。

Xiaomi 13T Pro Xiaomi 13T Proは、前半24回分の支払い額が917円と安い。MNPなどの割引はこの部分に充当され、毎月の支払いは1円で済む

 Xiaomi 13T Proが実質24円で購入できるカラクリは、まさにそれだ。同モデルをMNPで購入した場合、前半24回の支払いは毎月わずか1円に抑えられている。一方で、後半24回は毎月3853円の支払いが必要だ。ただし、25回目の支払いが始まる前に、端末を下取りに出してしまえば、この3853円×24回がチャラになる。後半分の支払額を重くすることで、2年利用時の実質価格を抑えているというわけだ。

Xiaomi 13T Pro もともと「半額サポート」という名称だったことからも分かるように、4年割賦の2年分を免除する仕組み。ただし、最近は図のように毎月の支払いが均等ではない端末が増えている

 ちなみに、この場合、MNPや22歳以下のユーザーが新規契約した際の割引は、前半24回の支払額から値引かれている。この割引なしでXiaomi 13T Proを購入し、機種変更などをした際には、24回目までの支払いが毎月917円になる。それでも、実質価格は2万2008円とハイエンドモデルとしては破格の安さ。ソフトバンクに乗り換えようとしている人はもちろん、機種変更を考えていた人にも、お得な選択肢といえる。2年できっちり端末を返却しないと割高になってしまうが、その点にさえ気を付ければ悪くない買い方だ。

 ドコモやauでは、残価設定型のアップグレードプログラムを採用している一方で、ソフトバンクと楽天モバイルのそれは48分割の後半を免除する仕組みだ。前者は、2年後に想定される端末の下取り価格を残価にできることで、残り23回の支払い額を抑えられる。一方の48分割型は、端末の本体価格で免除される金額がある程度決まってしまっていた。これに対し、ソフトバンクは、割賦の支払額を変えることで柔軟性を持たせてきた。48分割型ながら、残価設定型に近い運用をしているとも捉えられる。

 ソフトバンクは、“戦略的”にプッシュする端末に、こうした販売手法を取る傾向がある。先週の本連載で取り上げたモトローラの「razr 40s」も、そんな端末の1つだ。他にも、神ジューデン対応のミッドハイスマホとして登場したOPPOの「Reno 10 Pro 5G」や、Google純正スマホとして人気が急上昇している「Pixel 8」も、前半24回の支払いが軽めに設定されている。ソフトバンクが意図的に押し出したい端末を、手軽に持てるようにしているといえる。

Xiaomi 13T Pro
Xiaomi 13T Pro モトローラのrazr 40sや、OPPOのReno 10 Pro 5Gも、前半24回の支払いが安く設定されている。秋冬モデルは、こうした販売方法を取るモデルが多い
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