―― IIJmioといえば、端末のキャンペーンも積極的です。シャープの「AQUOS sense8」のように、完売する端末も多い印象があります。
矢吹氏 AQUOS sense8は、ちょっと安すぎた(笑)。ですが、端末の割引は適正に、かつ積極的にやっていきたいと考えています。ここは利幅を取るところではありませんが、加入を促進できる要素の1つです。来期も、引き続き積極的にやっていくことを検討しています。
―― ガイドラインが変わり、回線契約と端末販売をひも付けることも可能になりました。割引を新規やMNPだけにして額を増やすといったことも可能だと思いますが、そういった販売方法は取らないのでしょうか。
亀井氏 既存の方からも端末が欲しいというご意見をいただきます。セット販売だけになってしまうと、そういった方々がやめるきっかけになってしまう。ここは引き続き、両方用意するようにしたいと考えています。回線セットで110円といった端末は用意していますが、そういったものも、機種変更で7000円なり、9000円なりで買えるようにしています。
―― 今回出す大容量プラン限定で割引を積むといった方法もありそうです。
亀井氏 そうですね。利用実態を見て、大容量とセットでというのは考えてもいいかもしれません。
―― ただ、キャリアもあの手この手で安値を維持しています。今は本体価格を下げる端末も増えてきました。
矢吹氏 割引はある意味分かっていた議論で、上代の変更はできてしまうので、結果としていくらでも下げることができます。買い取り価格も、あってないようなものですからね……。ただ、1つ劇的に変わったのが、オープンなSIMフリー端末です。キャリアがiPhoneとPixelに集中したことで、その状況は大きく変わりました。
―― なるほど。そこでAQUOS sense8ですか(笑)。
矢吹氏 あれはやりすぎただけです(笑)。ただ、IIJはいろいろな端末を取り扱っています。多様性もわれわれの使命なので、見せ方としていいと思っています。
―― もう1つ、長期利用特典も復活できるようになりました。mineoは「ファン∞とく」をリニューアルしましたが、IIJもギガプラン以前は「長得」がありました。ああいったものを導入するお考えはありますか。
亀井氏 今、ちょうど考えているところです。固まった話はありませんが、これまでキャリアがやっていたような、5年、10年といったものすごく長い年数がたってから還元するというよりも、端末を買い替えたいタイミングで機会を得られるようなプログラムになればいいなと思っています。
―― なるほど。機種変更とひも付ける形ですね。
亀井氏 それを後押ししてあげるような長期特典だといいのかなと思っています。
矢吹氏 電気通信事業法27条の3の規制が解除されたら何をしようという議論は、昨年の秋ぐらいからしています。当然できなかったことをやりたいという話はありますが、お客さまからいただいている声もあります。自分たちがどうというよりも、お客さまの声に真摯(しんし)に耳を傾け、優先順位を決めているのが実態です。何らかのキャンペーンはやると思いますが、サービスレベルのものは、もう少し時間をかけてやっていきます。早ければ夏前ぐらいに、何らかのものは出そうと思っています。
もうちょっと言うと、例えば、以前から要望のあった名義変更も、来期には実装していきたいですね。例えばご家族の中から息子が独り立ちするといったときの名義変更に、何らかの特典をつけて「これからもよろしくお願いします」というようなものはありえます。亀井がお話ししたように、端末の買い替えを支援するようなものも作れるよねといった話はしています。こういったものはアイデアベースで話をしていますが、これから実際の建てつけをどうするかは考える必要があります。
―― 名義変更は今だとできないんですね。
矢吹氏 現状はそうですね。悪い目的で利用されることもあるので実装できていませんでしたが、ちゃんと提供しようと考えています。サービス自体、10数年続けているので、昔からのユーザーの中には、お子さんが大きくなったという方もいます。よくサービスインのときにはメインユーザーが40代と説明していましたが、今、その方たちは50代になっていますからね(笑)。
―― ライフスタイルに寄り添っているような感じですね(笑)。
矢吹氏 人生の変化に寄り添えると、サービス的にもいいと思いますね。
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