IIJmioが“死角だった”30GB/40GB/50GBプランを投入する狙い 長期利用特典も検討中MVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2024年03月15日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 IIJは、個人向けサービスのIIJmioの「ギガプラン」に、30GB/40GB/50GBの大容量プランを3月1日に追加した。料金は30GBが2700円(税込み、以下同)、40GBが3300円、50GBが3900円となる。これまでのギガプランは20GBが最大のデータ容量だったが、これらは、その上位プランに位置付けられる。ドコモ回線のタイプDだけでなく、au回線のタイプAやフルMVNOのデータeSIMも従来通り選べる。月額料金を最大3カ月間、半額にするキャンペーンも展開する。

IIJmio IIJmioの「ギガプラン」に3月1日から30GB/40GB/50GBのデータ容量を追加した

 2024年は、大手MVNOの事業環境が大きく変わる1年といえる。2023年12月27日にガイドラインが改正され、IIJとオプテージが対象から外れたからだ。これに伴い、最大4万4000円までに限定される端末割引の制限がなくなる他、長期利用者向けの優遇も可能になる。この法令改正とギガプランの大容量プランに直接的な関係はなく、以前の規制のままでもサービスインはできたが、これまで以上にさまざまな割引やキャンペーンを実施しやすくなったのも事実だ。

 では、IIJは2024年をどのような戦略で戦っていくのか。IIJのMVNO事業を統括する執行役員 MVNO事業部長の矢吹重雄氏と、個人向けMVNOサービスを率いるMVNO事業部 コンシューマサービス部長の亀井正浩氏に、大容量プラン導入の狙いや法令改正後に打つ一手をたずねた。

死角だった30〜50GB帯 Y!mobileやUQ mobileを意識したプランを設計

―― もともと20GBまでしかなかったギガプランですが、このタイミングで50GBまでの大容量プランを拡充する理由を教えてください。

亀井氏 昨年度(2023年度)に4GBを5GBに、8GBを10GBに増量しました。その傾向を見ていくと、2GBだった人が5GBにしたり、4GBだった人が10GBにしたりと、結果としてARPU(1ユーザーからの平均収入)増につながりました。コロナ明けでギガ(データ通信量)の利用が進み、プラン変更していただけることが増えたのです。20GBでは物足りないという人や、シェアをしていて容量が足りない人もいて、他社に行ったり解約したりするきっかけにもなってしまっていました。

 そこで、夏ごろにお客さまからアンケートを取ったところ、大容量帯のプランを求めている方が多かった。大容量を欲しいという方が全体の18%で、そのうち、30GB、40GB、50GBでカバーできる方が80%程度いました。その方々が実際に契約するかどうかは別として、それぐらいいるなら作ろうとなりました。

 逆に100GBまで行ってしまうと、ahamoがベンチマークになってしまい、訴求がしづらい。せっかく出すなら、ということで、Y!mobileやUQ mobileを意識したプランを設計しました。総務省がデータ容量と料金をまとめてマトリックスを作っていますが、ちょうどこの容量帯は死角のようになって空いていました。料金プランをアップグレードするにはちょうどいいと思い、ここを追加しています。

IIJmio MVNO事業部 コンシューマサービス部長の亀井正浩氏

―― なるほど。シェアというお話がありましたが、単独で使うというより、シェア前提なのでしょうか。

亀井氏 シェアをしていただきたいと考えています。以前やっていたファミリープランは根強い人気で、ギガプランに変更していただけていない方も一定数います。その方々にも、大容量でシェアができることは伝えていきたいですね。

矢吹氏 シェアに関しては、内部でもいろいろな議論がありました。本当に家族でシェアするのかという疑問もあり、社内でも何人かに聞いてみましたが、「自分はIIJでも、妻のケータイはドコモです」という人が多くて(笑)。

―― それはひどい(笑)。

矢吹氏 ただ、シェアにもいろいろなシェアの仕方があります。複数デバイスそれぞれのデータ使用量が増えている人もいるので、こういう状態(大容量プランを用意すること)にしておくのは1つの道だと思います。

―― ひとりシェアですね。

矢吹氏 そうです。IIJmioにはディープなユーザーも多いので。そういう方にも、「さすが」と言ってもらえることは常に目指しています。

IIJmio データシェアは、家族同士や、1人が複数デバイスでデータ容量をシェアできるが、まだユーザー拡大の余地が残されている

30〜50GBに増量しても帯域は十分耐えられると判断

―― ここまで容量を増やして、帯域は大丈夫でしょうか。

矢吹氏 帯域については、あまり心配していません。昼が少し遅いのは変えなければいけないですが、過去の経験から、(総容量を増やしても)1日あたりの容量がそこまで増えるわけではないことは分かっています。逆に、月末に容量がなくなり、我慢して使っている方がいる。そういう方々が大容量プランにすると、月末までしっかり使えるのではないかという見立てをしています。

 実は今回の大容量プランは、昨年の春に出そうとしていました。ただ、果たして帯域は大丈夫なのかということはあり、様子を見ようと見送った経緯があります。昨年の容量変更を見て、十分耐えられると判断しました。

―― データ容量を増やして大容量プランができるかどうかを試していたんですね。

矢吹氏 導入をためらった理由の1つは、キャリアのサブブランドがメインとしている容量帯だったことです。もう1つは、そこまでニーズがあるのかを見たかった。そこまでやったとき、時間帯によって劇的な変化が起きないかを確認したかったということもあります。結果として1年ほどサービスリリースを遅らせることになりました。意図しないユーザーが入ってしまうと他の方にご迷惑をおかけしてしまうので、そこは避けなければなりません。

―― 実際にシェアを組んで使っている方は、いまどのぐらいいらっしゃるのでしょうか。

亀井氏 30%ぐらいですね。認知はされているのですが、実際にはそこまでいません。

―― 先ほど矢吹さんが挙げていたように、家族を巻き込めていないということでしょうか。

矢吹氏 われわれだけの問題ではありませんが、新規の回線で端末を安く売るという販売を積極的にやったこともあります。単独でIIJmioに入る方が増え、シェア率が昔よりも下がっているのはありますね。

IIJmio 執行役員 MVNO事業部長の矢吹重雄氏
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