Google I/Oで明かされたAndroidの進化 日本で「Googleメッセージ」開始、RCS対応でKDDIと連携(1/2 ページ)

» 2024年05月16日 02時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 Googleは、5月14日から15日(現地時間)に渡り、米カリフォルニア州マウンテンビューで、開発者向けイベントの「Google I/O」を開催している。14日の基調講演では、同社CEOのスンダー・ピチャイ氏ら幹部が登壇。生成AIモデルGeminiの最新版である「Gemini 1.5 Pro」や、高速版の「Gemini 1.5 Flash」を発表するとともに、Google DeepMindが開発中のAIエージェント「Project Astra(アストラ)」を披露した。

Google I/O 5月14日に、Google I/Oの基調講演が開催された
Google I/O 会場は、例年同様、Google本社すぐそばにある音楽施設の「ショアライン・アンフィシアター」。まるでお祭りのような雰囲気のイベントだった

OpenAIの「GPT-4o」に真っ向から対抗 よりリアルなシーンでAIを生かす方法を提示

 ピチャイ氏が、冒頭、「われわれは10年以上に渡ってAIに投資してきた。そして、研究開発や製品、インフラといったあらゆるレイヤーに革新を起こしてきた」と語ったように、基調講演はAIに特化したストーリーで組み立てられていた。上記のGeminiやAstraはもちろん、AndroidやGoogleの各サービスに、どのような形でAIが生かされていくのかといった内容が話題の中心だった。

Google I/O 基調講演には、スンダ―・ピチャイ氏ら、Google幹部が登壇している

 Google I/Oの会期前日にあたる13日(現地時間)には、OpenAIがマルチモーダルに対応した「GPT-4o」を発表しているが、それに真っ向から対抗した格好だ。AIの性能披露に特化していたOpenAIに対し、ユーザーに定着しているサービスを抱えるGoogleは、よりリアルなシーンでAIを生かす方法を提示しているようにも見えた。AndroidでのAI活用は、その一例といえる。

Google I/O 20億ユーザー全てのプロダクトにAIが統合されるとするGoogle。既に展開しているサービスにAIを組み込むことで、幅広いユーザーにアプローチしていく方針だ

【訂正:2024年5月16日11時15分 初出時、20億ユーザーの表記に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】

GeminiをAndroidのAIアシスタントとして採用、画面上でオーバーレイする新機能も

 Androidはそれをユーザーに広げる最大のプラットフォーム。基調講演でも、AIをコアにしたAndroidの新機能が大々的に紹介された。その1つが、サムスン電子のGalaxyや、GoogleのPixelが対応している「かこって検索」だ。この機能が進化し、方程式を解いたり、数学の証明問題を解いたりといったことが可能になる。かこって検索は、現在対応端末が限定されているが、Googleによると、2024年末までに2億台で利用可能になることが明かされている。

Google I/O
Google I/O
Google I/O かこって検索で、数式を解くといったことが可能になる
Google I/O 2024年末までに、対応端末は2億台に拡大する

 もう1つが、GeminiをAndroidのAIアシスタントとして採用していく方針だ。現在、一部の端末には通知が届き、アシスタント機能をGoogleアシスタントからGeminiに置き換えることが可能。ルーティンなどの家電をコントロールする機能の一部が非対応だが、生成AIを活用することで受け答えがより自然に、かつ賢くなる。

 基調講演で新たに紹介されたのが、画面上にオーバーレイする形でGeminiが表示され、生成されたテキストや画像をそのままバックグラウンドのアプリにドラッグ&ドロップできる機能だ。また、現状ではPDFの要約は、スクリーンショットを送る形になっているが、これも直接その中身を読み取れるようになる。

Google I/O メッセージアプリの上にオーバーレイでGeminiを表示し、生成した画像をそのままドラッグ&ドロップできるようになる
Google I/O PDFの中身を分析することが可能になる

 さらに、Androidでは、オンデバイスのAIも強化。新たに詐欺電話の内容を解析して、それをユーザーに警告する機能にも対応していく。GoogleでAndroidなどのプロダクトマネージメントを統括するサミール・サマット氏は、こうした一連の機能を「Androidだけ」と強調。iOSに比べ、AI活用が進んでいることをアピールしていることをほのめかした。

Google I/O AIの活用で、詐欺電話をブロックする
Google I/O こうした機能は、Androidだけであることが強調された

新AIエージェント「Project Astra」を試してみた

 現状ではあくまでプロジェクトという位置付けで製品にはなっていないが、Project Astraも、スマホのマイクやカメラといったデイバイスから得た複数の情報を分析、活用するマルチモーダルのAIだ。こちらは、囲碁プログラムの「AhphaGo」や「AlphaGo ZERO」を手掛けてきがGoogleのDeepMindが開発。Geminiも統合している。

 基調講演もデモでは、カメラを通じてオフィスの中にあるさまざまな物体を認識しつつ、ユーザーの質問にテンポよく回答していく映像が流された。しかも、Project Astraは、その情報を記憶しており、最後にメガネがどこにあるのかを言い当てることまでできた。Project Astraは、2024年にGeminiに搭載されることになるという。

Google I/O
Google I/O カメラに映ったものを認識しつつ、ユーザーと会話している様子が流された

 Google I/Oの会場では、そのProject Astraを実際に試すこともできた。筆者が選んだのは、画面上に描いたものが何かを言い当てるゲーム。線を描いていき、Project Astraに質問を投げかけると、それが何かを説明しようとする。絵を書き進めていくと、答えがより正解に近づいていく格好だ。その様子は、以下の動画を確認してほしい。

Google I/Oの会場で体験できたProject Astra。筆者が絵を書きながら問いかけると、AIがそれを認識ながら、何が描かれているかを回答。最終的に、スマホを書いていることが当てられた
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