Apple Vision Proは2023年に発表された際、「iPhoneやiPadのアプリがそのまま使える」という触れ込みであったが、実際にApp Storeを検索してみると、NetflixやYouTube、電子書籍系のアプリなどは出てこない。
恐らく、アプリ提供者側としても、動作検証などをしっかりと行ってから配布するというスタンスなのだろう。とはいえ、Apple Vision Proのユーザーはさほど多くないと思われるため、アプリ事業者としては「後回し」にしている可能性が極めて高そうだ。
アプリの拡充がApple Vision Proにとっては重要となってくるだけに、アプリ事業者には早急に対応してもらいたいものだ。
「対応アプリが少ない」という以外にも不満点はある。正直言って、デバイスがかなり重いのだ。目の前に装着しているため、とにかく首への負担が大きい。
実際、筆者も使用を始めて1週間ほどで肩甲骨あたりが痛くなり、3週間ほどApple Vision Proから遠ざかっていた時期もある。その後は、リクライニングチェアに座るなどして、極力、首に負担をかけないようするなどの配慮をしながら使っている。
既にApple Vision Proを使っている知り合いなどは、別に頭を支えるベルトや布を装着するなど、頭や首に負担がかからないよう、工夫している人も多い。筆者は2025年に50歳を迎えるということで加齢が原因であることは間違いないのだが、これから購入を考えている人も気をつけた方がいいだろう。
とはいうものの、Apple Vision Proを購入し、後悔などは全くしておらず、むしろ買ってよかった満足感の方がはるかに大きい。
この感覚は、初代iPhoneをハワイに買いに行った2007年と全く同じだ。当時の初代iPhoneも英語しか使えず、アプリストアもなければ機能自体はとてもチープであった。しかし、翌年、日本でiPhone 3Gが発売され日本語に対応。App Storeも登場し、iPhoneの使い方が一気に変わった。iPhoneの登場によって、世界でスマートフォン革命が起き、さまざまな産業がスマートフォンに向くようになった。
Apple Vision Proが、iPhoneやAndroidのように世界中の人が使うという未来は想像できないが、少なくとも、新しいコンピュータのカタチとして、MacBookやWindowsノートPCの置き換えにはなる可能性は秘めている。
もちろん、60万円という価格設定では、大して普及はしないだろう。しかし、最近の報道で、Appleは廉価版の開発にシフトし始めたというのがあった。
当然、自社開発のチップが進化し、処理能力が上がれば、いままでのようにカメラやセンサーを大量に搭載する必要もなくなり、簡素化され、コストは下がっていくだろう。部品が減れば、本体も小さくなり、首への負担も軽くなるのは間違いない。
また、Apple Intelligenceに対応すれば、視線や手の動きなどで操作する必要もなくなり、全てSiriにお任せしての操作が可能となる。
そんな未来のコンピュータを一足先に体験したいという人は、取りあえず購入するかしないかは別として、まずはAppleストアでApple Vision Proのデモを体験できる予約をするといいだろう。
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