一方で、サムスン電子はGalaxy S24シリーズで採用を始めたGalaxy AIを前面に打ち出すことで、Galaxy Z Fold6/Flip6の差別化を図ろうとしている。それを象徴しているのが、折りたたみAIフォンというキャッチコピーだ。Galaxy Unpackedでも、ハードウェアの進化以上にフォルダブルという形状にAIを掛け合わせたとき、どのような利便性が発揮されるのかが強調されていた。
ただし、大画面になるGalaxy Z Fold6と、持ち運ぶときだけコンパクトになるのが売りのGalaxy Z Flip6では、その方向性が少々異なる。どちらかといえば、前者はクリエイティブな作業を助けるためのAIを訴求していたのに対し、後者はカスタマイズによる自己表現のためのAIという打ち出し方をしていたのが印象的だ。同じGalaxy AIでも、フォームファクターによって売りになる機能が異なるというわけだ。
例えば、Galaxy Z Fold6の場合、Notesアプリでメモを取りながら録音し、その音声をテキスト化できる機能が大々的に紹介されていた。取ったメモと文字起こししたテキストは同期しており、書いたメモの部分をタップすると、音声から起こされたテキストを確認できる仕掛けだ。Sペンに対応しており、大画面でメモが取りやすいGalaxy Z Fold6ならではの使い方といえる。
また、PDFを中に含まれている画像も含めて丸ごと翻訳する機能も、7.6型のメインディスプレイを備えたGalaxy Z Fold6におあつらえ向きだ。同じことはGalaxy Z Flip6でもできるが、A4などの用紙に印刷することを前提したPDFファイルは、Galaxy Z Fold6の方が圧倒的に見やすい。資料に翻訳をかけ、そのまま端末上で読めるという一連の流れは、Galaxy Z Fold6の魅力を引き出している。
下書きのような走り書きからイラストを生成する「スケッチアシスト」も、大画面でSペンを利用可能なGalaxy Z Fold6向きの機能だ。似たような機能を備えたタブレットは存在するため、生成AIによるイラスト作成が珍しいわけではないものの、移動中にポケットからサッと取り出して絵を描けるフォルダブルスマホとは相性がいい。同じGalaxy AIでも、大画面でかつSペンを備えたGalaxy Z Fold6なら、ここまでクリエイティブな作業ができるとアピールした格好だ。
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