サムスン電子は7月10日、仏パリで「Galaxy Unpacked」を開催し、フォルダブルスマホの最新モデル「Galaxy Z Fold6」「Galaxy Z Flip6」を発表した。同モデルは、海外でのお披露目と同時に日本でオープンマーケット版を7月31日に発売することが明かされた他、イベント翌日の7月11日にはドコモとKDDIがそれぞれ取り扱いを表明している。
折りたためるスマホの先駆者としてGalaxy Zシリーズのハードウェアを進化させてきたサムスンだが、Galaxy Z Fold6/Flip 6では「折りたたみAIフォン」というキャッチコピーで、「Galaxy AI」を打ち出してきた。フォルダブルとAIの掛け合わせで、新たな価値を提案するというのが2モデルの方向性といえる。その戦略を見ていきたい。
Galaxy Z Fold6/Flip6は同じフォルダブルスマホだが、その進化の方向性が異なっている。まず、横折りのGalaxy Z Fold6は、前モデルからディスプレイのアスペクト比を変え、より正方形に近づいた。開いたときの横幅は、2.7mm増加。逆に縦の長さは1.4mm短くなっている。この変更に伴い、閉じたときのカバーディスプレイがより一般的なスマホのアスペクト比に近づいている。
また、薄型化、軽量化には継続して取り組んでおり、閉じたときの厚みは12.1mm、重量は239gになった。前モデルの「Galaxy Z Fold5」と比べ、厚みで0.5mm、重量で14gを削減できた格好だ。閉じた際の0.5mm差は体感しづらいかもしれないが、14gの違いは手に取ってみればすぐに分かる。メインディスプレイは素材を見直し、より折り目がつきにくくなっている。構造を見直し、初めて防塵(じん)に対応した点も、注目のポイントといえそうだ。
フォルダブルスマホの基本ともいえるディスプレイに改良を加えたGalaxy Z Fold6に対し、Galaxy Z Flip6はカメラやバッテリーを刷新した。もともとGalaxy Z Flipは同時期に発売されていたGalaxy SやGalaxy Z Foldと比べると、ややカメラ性能が低めだったが、Galaxy Z Flip6では、これを刷新。メインの広角カメラが5000万画素になり、4つのピクセルを1つに束ねて感度を上げるピクセルビニングに対応した。
また、バッテリーも1割増の4000mhAになり、動画やオーディオの連続再生時間が伸びている。カメラを刷新したのに伴い、レンズ周りの縁を強調するデザインを採用。これに合わせるよう、フレームなどのデザインも直線的な形状になった。この点はGalaxy Z Fold6も同じで、同モデルの見た目はGalaxy Sシリーズの最上位モデルである「Galaxy S24 Ultra」などに近づいている。
とはいえ、ハードウェアが前世代から大きく変わったかというと、必ずしもそうではない。もともと完成度が高かったこともあり、前モデルから継承している部分は少なくない。一例を挙げると、Galaxy Z Fold6のカメラセンサーは前モデルまでと同じで、バッテリー容量も変わっていない。デザインは変わったものの、スペックでは現状維持の部分も残る。
Galaxy Z Flip6も同様で、前モデルの「Galaxy Z Flip5」で3.4型まで拡大し、売りになっていたカバーディスプレイの仕様はそのまま維持されている。メインディスプレイはピーク輝度が上がるなど、スペックは上がっているものの、サイズ感などはほぼ変わっていない。フラグシップモデルとはいえ、ハードウェアのフルモデルチェンジはなかなか難しい状況になりつつある。
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