irumoは好調、ahamoは「ポイ活」で意外な動き 端末は“いいもの”があれば提供したい ドコモ前田社長に聞く

» 2024年07月23日 15時38分 公開
[田中聡ITmedia]

 ITmedia Mobileでは、2024年7月にNTTドコモの社長に就任した前田義晃氏にインタビューを実施。通信品質、金融サービス、料金プラン、端末ビジネスなど幅広くお話をうかがった。今回はその中から、料金プランと端末ビジネスのお話をお届けする。

前田義晃社長 NTTドコモの前田義晃社長

d払いをあまり使っていない人が「ahamoポイ活」に加入している

―― 料金プランの状況についても教えてください。irumoやahamoの近況はいかがでしょう?

前田氏 irumoは昨年(2023年)に始めたばかりなので、お客さんがどんどん入ってきています。他キャリアさんがサブブランド的に安いプランを出していたのと、楽天さんもそういう類の打ち出し方をされているので、このへんのお客さんの流動化が活性化しています。その中でわれわれの方に入っていただける方もいらっしゃいますし、3Gからの移行も含め、低価格のプランを選びたいというお客さんもいらっしゃいます。けっこう大きな割合でirumoに加入している人がいるのは事実です。

 一方、ahamoは提供を始めてから時間もたっているので、irumoほどの入り方をしているわけではありません。大盛りやポイ活、この後のeximoポイ活でやろうと思っていることの前哨戦はやらせていただいていますけど、ahamoのお客さんも思った以上にお得さに敏感に反応されています。

―― そのahamoポイ活ですが、月額2200円を追加で支払うことでd払いの還元率が上がるという仕組みを理解する必要があります。こうした理解促進が進んでいて、思った以上に反響があったということでしょうか?

前田氏 そうですね。全体の数としてはだいたい思った通りくらいです。ahamoポイ活の第1ターゲットはahamo大盛りの人たちになります。あとはd払いを使わないとメリットがないので、見合ったリターンがある使い方をされている人が契約しています。意外だったのが、d払いをそこまで使っていない方々もけっこう入っていることです。直近でいうと、全体の半分弱ぐらいの人たちが入っていただいています。そのままだと損をしますが、入った後にd払いの利用金額が上がっています。

ahamoポイ活 ahamo大盛りオプションに加入しているユーザーが月額2200円のポイ活オプション料を追加で支払うと、d払いの還元率が3%に上がり、現在はキャンペーンとして10%の還元率となっている

 ahamoはオンライン専用プランですから、よりお得になることを理解いただけるコミュニケーションを強めないといけない。オフラインのショップでもしっかりお伝えしながら、理解いただいて加入するところまで持っていけると思います。

―― eximoポイ活が夏に始まる予定ですが、もう夏です。提供は近いのでしょうか?

前田氏 近いです。まだ言えないんですけどね(笑)。

―― 月額料金が高い分、ahamoポイ活よりは還元率が上がるようなイメージでしょうか?

前田氏 高くなれば、自然とそういう話になりますよね。そういうご理解をしていただければと思います。

eximoポイ活 2024年夏には、大容量プランeximoのユーザーを対象としたポイ活オプションを提供する予定

―― 先日、irumoで端末を販売することを発表しましたが、OCN モバイル ONEから移行するとポイントを還元する移行促進策も始めました。こうした施策は今後強化していくのでしょうか?

前田氏 OCN モバイル ONEはドコモのファミリーの中でやらせていただいていますが、もともと違う会社でやっていたもので、システム的な連携が必ずしも取れていたわけではありません。他のサービスも含めてセットでお使いいただくのなら、irumoに移っていただいた方がいいということで、そういった移行促進策もやらせていただいています。

―― エコノミーMVNOについて、トーンモバイルとTOKAIコミュニケーションズが入って以降、新たに参入する事業者が見られませんが、どう考えていますか?

前田氏 そこのスタンスは変わっていないですよ。そこのマーケットも含めて活性化していくと思っていますし、MVNOの方々が、われわれのネットワークをお使いいただくのはありがたいと思っています。ご一緒に展開できる機会があれば、しっかり考えていきたいと思います。

省令改正で端末の販売台数は落ちたが、4月以降は回復している

―― 端末ビジネスについてもおうかがいします。端末の販売数は2022年度から2023年度にかけて落ちています(※)が、どう見ていますか?

※ドコモのスマートフォン・タブレットの販売台数は22年度の1086万1000台に対し、23年度は1031万3000台。

前田氏 端末は変わらず重要だと思っています。買い替えを活性化することで、お客さんに振り向いてもらう機会が増えます。できることなら、端末はどんどん売っていきたいと思っています。

 2023年末の省令改正によって端末の販売台数が落ちているんじゃないですか? という話はあります。年明けに一瞬落ちたのは事実ですが、4〜6月については、昨対で見ると上がっているので、やりようだと思います。いろいろな施策の打ち方や販売チャネルの強化などで取り組んでいければ、端末をしっかりお買い求めいただくことはできると思います。

―― ソフトバンクが、1年で端末を返却すると12円で運用できるというアグレッシブな施策を打っていますが、どう見ていますか?

前田氏 それはあまりコメントする立場にはないですが、ルールに従いながら、お求めやすい状態をどう作るかが、販売競争の重要なところだと思います。

―― 一方で先日、総務省の有識者会議で、ミリ波対応端末の割引を5.5万円(税別)まで上げる案が出ました。キャリアにとっては追い風になる動きだと思いますが、こうした主張はキャリア側からも訴えていくのでしょうか。

前田氏 それはあくまで、総務省が5G実装の活性化を図る上で取られている政策だと思いますし、それ自体は決しておかしなことではないと思っています。われわれとしても一緒に進めていく立場だと思います。

―― ドコモはOPPOやXiaomiなど中国メーカーの端末をいまだに扱っていませんが、方針は変わらないのでしょうか?

前田氏 すいません、私もこのへん初心者マークなので、各メーカーとどんなリレーションになっているかはあらためて確認はしていきたいですが、いいものがあれば提供していきたい。ピュアにそういうことだと思っていますので、いろいろな可能性は探っていきたいと思っています。

―― 以前出していた「MONO」のような、ドコモオリジナルの端末を提供する可能性はありますか?

前田氏 ありましたねぇ。MONOみたいなものは考えていないですが、フィーチャーフォンの頃、私もビカビカ光るものが好きでした。そういうものが出ると、僕なんかだと買うと思いますけど、商売としての合理性があるかどうかを皆さん見ていらっしゃるので、なかなか出てこないのだと思います。

 オリジナリティーがあってワクワク感がある端末がどんどん出た方が活性化されますが、サービスとどうセットで作っていけるのかが重要なので、いい意味でメーカーさんと積極的に取り組んでいければと思っています。

MONO 2016年に発売された、ドコモのオリジナルスマートフォン「MONO」(ZTE製)

Apple Vision Proはコンテンツの拡大に期待

―― 6月28日に発売された「Apple Vision Pro」はどうご覧になっていますか? kikitoでレンタルするなど、ドコモとしてこの製品に関わるようなことは検討しているでしょうか。

前田氏 使わせてもらいましたけど、なかなかいいですよね。ちょっとビックリしますよ。ただ、あの製品に最適化されたコンテンツが必ずしもあるわけではない。いつの時代もそうですが、コンテンツが出てくるとすごく面白いですよね。(値段は)高いですけど、こういうデバイスが出てくることで、その手のデバイスがまた作られて、サービスが完成されると思うので、歓迎すべき動きだと思っています。

 どう取り扱えるのかは分からないですが、Appleさんの製品ですし、われわれもいろいろなものを取り扱ってきたので、お客さんのニーズを見て、「欲しい」というお声があれば、積極的に取り扱えればと思います。

Apple Vision Pro ドコモをはじめ、「Apple Vision Pro」を国内の通信キャリアが扱う事例はまだ見られない

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