決算説明会では、他にも注目すべきポイントがあった。まとめて紹介しよう。
KDDIは5月、コンビニエンスストアチェーンを運営する「ローソン」をTOB(株式公開買い付け)によって持分法適用関連会社とした。ローソンは臨時株主総会の決議により7月24日をもって非上場化され、9月にはスクイーズアウト(※4)も完了する予定だ。
スクイーズアウトが完了すると、ローソンはKDDIと三菱商事の折半出資会社となる。今後、ローソン、KDDI、三菱商事の3社は「Real×Tech Convenience」を目指して協議を進めていくという。
(※4)株式を強制的に買い取ることで、少数株主を“締め出す”手続き。上場していた企業を非上場化する際にTOBと併用されるケースが多く、通信関連ではNTT(日本電信電話)がNTTドコモを完全子会社化するプロセスでも用いられた
先述の通り、収入面では楽天モバイルから得られるローミング収入が減少している。一方、700MHz帯(プラチナバンド)を獲得した楽天モバイルは、TVCMなどでさらなる“攻勢”を仕掛けている。
そんな楽天モバイルについて、高橋社長は「750万契約を超えて、純増ペースは速いと注目している」と語る。KDDIから同社への流出も見られるものの、データ利用量の少ないSIM単体ユーザーの移動が多いため、「大きな影響はない」と見ているという。
KDDIは、自社から楽天モバイルにMNPした利用者の声を調査したという。すると、通信品質に関する不満が出ているとのことで、5GにいけるSub-6整備を始めとした通信品質の良さをアピールしていくという。
ちなみに、楽天モバイルの設備投資について、高橋社長は「(プラチナバンドの)開設状況を見ていると、それほど積極的に投資しているようには見えない。あれだけアピールしている割に投資はしないんだなあという印象」と述べている。
注力する生成AI領域において、KDDIは大規模計算基盤向けには1000億円規模の投資を行う計画だ。
具体的には、シャープの堺工場(堺市堺区)の跡地に「AIデータセンター」を構築することを検討する他、既にデータセンターを設置している東京都多摩市でも、データセンターの増設を決めるなど、設備投資をさらに推進する。
LLM(大規模言語モデル)は、ELYZAやNICTと協業して研究開発を進める。生成AIを活用したソリューションに関しては、アルティウスリンクとの協業による「次世代コンタクトセンター」や、野村総合研究所との協業による「高セキュリティAIの活用推進」といった取り組みを進めていく。
高橋社長は、「生成AIはこれから本当に面白い分野」と強調。すでにKDDI社内では社員の8割以上が毎日生成AIを活用しているという。「デジタルBPOにおけるカスタマーケア領域が“一丁目一番地”で、世界のどのキャリアに聞いてもこの分野だという」と、高橋社長はニーズが高い分野であることを説明する。
生成AIについて、高橋社長は「これから非常に重要になるのが、通信にどう活用するか」と指摘する。通信のオペレーションにおける生成AIの活用は当然として、「オンデバイスAIが非常に大切」なのだという。
「クラウド側」と「エッジ側」のハイブリッド処理を、どのような比率で分担するか――その観点から、今後は通信だけでなく端末側の処理能力も重要とも語った。
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