旧暦上は「立秋」を過ぎたはずの今日この頃。しかし、多くの地域で真夏日や猛暑日が続いています。外にいると、自然とスマートフォンやケータイも熱くなりがちで、本体を守るための機能制限も発動しやすくなります。私もほぼ毎日、バッテリー充電の充電停止/速度抑制や画面輝度の自動低下に出くわします。
これらの制限は本体が冷めると解除されます。日本で売られているスマホやケータイの多くは防水設計です。ゆえに「早く冷やしたい」という欲から「スマホやケータイを水で冷やそう!」という発想に至りがちです。果たして、それは“アリ”なのでしょうか。それとも“ナシ”なのでしょうか……?
今回の記事は、スマホやケータイが「IPX7」以上の等級の防水性能を備えていることを前提に話を進めます。
先述の通り、熱くなったスマホ/ケータイが機能制限をするのは、本体を守るためです。具体的には「基板の故障」「バッテリーの劣化加速/異常発熱によるトラブル」といった、熱にまつわるトラブルを避けるための自己防衛策です。
スマホ/ケータイが熱くなる主なシーンは以下の通りです。
当たり前かもしれませんが、上記のシーンが複数重なると余計に発熱しやすくなります。例えば「日差しの強い、暑い屋外で充電しながらカメラ撮影」なんてことをすれば、ここ最近の陽気ならものの数分で“超”熱くなります。
機能制限を解除するには、スマホ/ケータイの持った熱を下げればいい……のですが、熱を下げる方法には一定の注意が必要です。
冒頭で触れた「スマホやケータイを水で冷やそう!」という考え方ですが、結論から先にいうと基本的に“最悪”な方法の1つとなってしまいます。アリかナシかで聞かれたら、確実に“ナシ”です。
なぜ、水で冷やしてはいけないのか――理由は急激な温度変化にあります。
皆さんも経験があると思いますが、暑い屋外にある自動販売機から冷たい飲み物を買うと、あっという間に水滴が付きます。これは、空気に含まれる水蒸気が急激に冷やされることで凝縮される、いわゆる「結露」が起こるからです。
ここでポイントになるのは「急激に冷やされる」という点。実は、熱くなったスマホ/ケータイと水には思っている以上に大きな温度差があり、水で端末を冷やすと、端末の“内側”で結露が起こってしまうことがあります。
防水性能を備えるスマホ/ケータイは、あくまで“外部”からの水に耐えることが前提で、自らの“内側”に水ができることは想定していません。よって、結露によって内側から“水没”してしまい、それが原因で壊れることがあるのです。
「氷水とか冷たい沢の水ならさておき、ぬるい水道水ならどう?」と思うかもしれませんが、ガンガン熱くなったスマホ/ケータイでは、水道水でも結露を引き起こしてしまう可能性があります。水で冷やすのは避けるべきです。
熱くなったスマホ/ケータイを冷ますのにベストなのは、冷暗所(日陰)で何もしないで放っておくこと。バックグラウンドで通信や処理が走らなければ、10分程度待てば十分に冷めるはずです。充電している場合は、充電を止めるとさらに冷めやすくなります。
「どうしても早く冷やしたい!」という場合は、うちわや扇風機など極度に冷やされていない風を当てるか、熱の拡散性を高める「薄型ヒートシンク」を使うことをお勧めします。最近は、スマホを冷やすことに特化した「冷却ファン」もあります。
スマホ/ケータイを冷やす際は、とにかく急に冷やさないように気を付けてください。
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