京セラの高耐久スマートフォン「TORQUE」が日本発売から10周年を迎えた。京セラは「トルクの日」にちなみ、10月9日に報道陣を招いてイベントを開催した。京セラで、TORQUEの開発やマーケティングに関わる3人が登壇し、TORQUE開発の歴史や技術の進化、デザインの裏話、今後の展望などを説明した。
TORQUEは防水・防塵(じん)だけでなく、耐衝撃などをうたい、アウトドア志向の人を主なターゲットとするシリーズ。ブランド名は英語で回転に使われる力を表す「トルク(torque)」が由来で、力強さという思いも込めてTORQUEと名付けられている。NECカシオモバイルコミュニケーションズが2012年まで国内で展開していた「G'zOne」シリーズのタフネス性を受け継いだブランドでもある。
初号機は2013年3月に「Torque E6710」として北米向けにリリース。国内向けモデルはSIMフリーで2014年3月に、au向けモデルの初号機「TORQUE G01」は同年7月に発売された。海水で水深1.5mに約30分間沈める試験をクリアした「TORQUE G02」、落下強度をさらに高めた「TORQUE G03」「TORQUE G04」、5G対応の「TORQUE 5G」、カメラ機能などを強化した「TORQUE G06」へと続く。
北村氏は「TORQUE G01は北米向けモデルを逆輸入的な形で日本へ持ってきたものだが、TORQUE G06では通信事業者の協力を得ながら、北米と国内のモデルの両方を共通モデルとして開発した」とモデルによって開発手法が異なると説明。
伊藤氏は「TORQUE G01からTORQUE G03まではとにかく強いというところを前面に打ち出し、海や山へ行くシーンを想定していた」と振り返る。TORQUE G04から現行機種のTORQUE G06までは「よりいろいろな利用シーンを考えていく」ようになり、「コロナ禍で遊び方も変ってきた時期に世に出した」のがTORQUE 5Gだったという。
「TORQUEに求められるものを社内で企画の中に取り入れる」という考えから、コンセプトであるタフネスを「高耐久」「持続性」「秘匿性」「特殊性」の4つに分けて考えるようになったという。
耐久性については、1mの高さからの落下を500回連続で行うタンブル試験、先のとがったピストルの弾のような形のものを落下させる金属落下試験、2mの高さから凸凹のある鉄板やアスファルトに向かって落下させるローレット試験、泡タイプのハンドソープで洗浄する試験を含む。「2mの高さは中型トラックのダッシュボードに相当し、車のダッシュボードから外へ落下した場合を想定し、試験を実施した」(伊藤氏)そうだ。TORQUEの真骨頂といえる部分がこれだ。
他にも「京セラの北見工場(北海道北見市)では雪の中にTORQUEを突っ込んだり、車でひいてみたり……といろいろな試験を実施して耐久性を担保している」(伊藤氏)という。
持続性は、長期利用を意味する。「バッテリーの容量を増やせば長時間使えるが、それに伴い重量も増してしまうなどのデメリットが生じるため、ソフトウェアでバッテリーを長持ちさせる仕組みを取り入れた」と伊藤氏は明かす。秘匿性については、「ソフトウェアでセキュリティレベルを上げていく」という意味で、「外からは見えづらい部分ではあるものの、これもタフネスの1つとして捉えている」と伊藤氏は続ける。さらに、「特殊な環境下で使える」(伊藤氏)ような特殊性も重視しているそうだ。
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