使い勝手の面で注目したいのが、側面にシャッターキーを搭載したこと。長押しでカメラが起動する他、半押しでフォーカスロック、短押しでシャッター操作が可能だ。スリープ画面からでも長押しでカメラが起動するのでシャッターチャンスを逃さない。
ボリュームキーからはズームの操作ができるが、設定から明るさの調整に割り当てることもできる。シャッターキーとボリュームキーを利用すれば、画面に触れることなくカメラの起動、ズーム、明るさの調整、シャッター操作が行える。そして、このシャッターキーはデジカメで実際に使われているパーツを使用しているそうで、まさにカメラのように操作できるようこだわった。
撮影画面では、超広角カメラの「0.6x」、広角カメラの「1x」、望遠カメラの「3x」にワンタッチで切り替えられるのに加え、指を広げるピンチ操作でシームレスにズームができる。マクロ撮影は超広角カメラが対応しており、マクロ撮影が可能になると、左端のチューリップアイコンが青くなる。超広角カメラでの撮影時に、意図せずマクロ撮影にならないよう、手動でオフにすることもできる。
オープンマーケット向けモデルでは、シャッター音をオフにする設定があることにも注目したい。日本のスマートフォンは、キャリアやメーカーの自主規制によってシャッター音が鳴る機種が大半だが、国内モデルでシャッター音をオフにできるのは非常に珍しい。なお、ドコモ向けモデルはシャッター音をオフにはできないという。
AQUOS R8 proで取り入れた、レンズフィルターを装着できる機構はAQUOS R9では見送られたが、AQUOS R9 proで復活したのも朗報だ。カメラリング用のアタッチメントを付けることで、レンズフィルターを装着できるようになり、シャープ認定のアクセサリーとしてエレコムとLOOFがケースやアタッチメントを販売する。レンズフィルターはケンコー・トキナーとMARUMIの製品を推奨している。
なお、ケースを装着せず、アタッチメントだけでもレンズフィルターは付けられる。清水氏は「本体でレンズフィルターを付けられるので、(カメラキットのような)アクセサリーがなくても撮影体験を楽しめる」とアピールする。
AQUOS R9 proの発売に合わせ、シャープはショルダーストラップが付属した純正ケースも用意する。ショルダーストラップを肩に掛けておけば、さっとスマホを取り出して撮影できるので、シャッターキーと合わせて、「いつでも素早く撮影」の体験価値が向上するだろう。
こうしたカメラの性能を最大限発揮できるよう、パフォーマンスにもこだわった。プロセッサにはSnapdragon 8s Gen 3を採用し、メインメモリは12GBを確保している。くしくも、10月下旬に米国でSnapdragonの次期プロセッサ「Snapdragon 8 Elite」が発表されたばかりだが、こちらの搭載は見送られた。
プロセッサの選定について通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の中江優晃氏は「AQUOS R9 proを開発するにあたり、性能と省電力、コストとのバランスを重視している。そこを検討する上で今回の選択が一番正しいと思っている」、清水氏は「Snapdragon 8s Gen 3は、カメラのISPはSnapdragon 8 Gen 3と同等の性能を持っている。カメラのフラグシップモデルとしては最適」とコメントする。AQUOS R9 proはオープンマーケット向けモデルで19万円台前半(税込み)を予定しているが、Snapdragon 8 Eliteを搭載するとなると、さらに高額になることが予想されるため、うまくバランスさせた。
ディスプレイは大きく、より高解像度になった。AQUOS R9 proの6.7型は、AQUOS R8 proの6.6型、AQUOS R9の6.5型よりも大きい。解像度はAQUOS R8 proのワイドUXGA(1260×2730ピクセル)からQuad HD+(1440×3120ピクセル)に向上した。これは「撮影した写真をより高解像度なきれいな状態で見てほしい」(清水氏)という思いがあるため。ただし、ディスプレイの解像度が高くなるほど消費電力が増すため、初期状態ではフルHD+(1080×2340ピクセル)に固定されている。
AQUOS R9 proのデザインは、3つのカメラと、それらを載せた円形の台座が大きな存在感を放っている。AQUOS R9ではデザインを一新し、miyake designが監修。よりプレーンな外観になり、カメラの台座に、円でも楕円(だえん)でもない自由曲線を採用した。
AQUOS R9 proのデザインは、一見するとAQUOS R9やAQUOS sense9とは一線を画するものだが、中江氏によると、AQUOS R9 proでもmiyake designのデザインを採用しているという。特にカメラ周りの仕上げにはこだわり、「大きなカメラ窓の中のカメラの配置を、微妙に不ぞろいにしている」という。AQUOS R9とAQUOS sense9の自由曲線とは異なるテーマで記号性を持たせた。
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