シャープは11月7日にスマートフォンのミッドレンジモデル「AQUOS sense9」を発売する。豊富なカラーバリエーションやディスプレイ性能の向上など、先代「AQUOS sense8」から大幅なアップデートがあった。
発表日の10月29日時点における販路はNTTドコモ、KDDI(au/UQ mobile)、ソフトバンク、楽天モバイル、J:COM MOBILE、mineoとなっており、価格や発売日は各社が順次案内している。家電量販店などが販売するSIMフリーモデル(オープンマーケット向けモデル)の市場想定価格(税込み)は6GB/128GBが6万円程度、同8GB/256GBが6万円台後半だ。
10月29日、シャープ ユニバーサルネットワーク ビジネスグループ長 兼 通信事業本部 本部長の小林繁氏が販売戦略を、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 課長の清水寛幸氏がAQUOS sense9の特徴を語った。この記事では両氏の発言をもとに、AQUOS sense9のコンセプトや進化点を深掘りする。
AQUOS sense9の最大の特徴は豊富なカラーバリエーションと見た目だ。常日頃から肌身離さずに持つスマートフォンで、カラーと見た目はまず目を引く要素であり、買うか否かの判断基準の1つにもなり得る。
ボディーカラーはカメラ台座の色がアクセントとなるコーラル、グレージュ、ブルーと、カメラ台座と背面パネルが同色のブラック、ホワイト、グリーンの全6色から選べる。カラーコンセプトは、1つの商品で2つの色を使うバイカラー、同じ色調(トーン)を保ちつつ色相を変えるトーンオントーン、中立的なニュートラルの3つだ。
「洋服のコーディネートのように、日常の中に少しの遊び心を加えるカラーリングのグレージュとブルーはカメラパネル(台座)とアルミボディーに異なる色相を採用。トーンオントーンのグリーンとコーラル、中立的なホワイトとブラックはカメラとボディーの色相は合わせながら、明度と彩度を付けている」(清水氏)
ボディーカラーに合わせたカラーで、シリコン素材を使用した純正ケースも登場した。「一般的にはボディーの色と同じ色のケースが選ばれるが、カメラパネルの色を生かし、ボディーの色と異なる色のケースと組み合わせても美しくコーディネートできるようにそれぞれのカラーをデザインしている」(清水氏)そうだ。ボディーと純正ケースの組み合わせは計36通りに及ぶ。
カラーだけでなく、カメラの台座も特徴的だ。円でも楕円(だえん)でもない自由曲線の台座にカメラレンズ、フラッシュが収まる、ハイエンドモデル「AQUOS R9」のデザインを踏襲。三宅一成氏が設立したデザイン事務所「miyake design」がデザイン監修を行った。
カラーのバリエーションを増やし、仮に特定の色に人気が集中すると、他の色が売れ残るリスクが高まり、製造、在庫管理、流通におけるコストの増加にもつながる。そうしたことを覚悟の上で、カラーバリエーションを豊富にしたシャープの意図は何だろうか。
清水氏は「スマホが登場して約15年がたった最近では、買い換えの度に電池持ちやカメラ機能の不満は解決している一方で、最初にスマートフォンを手にしたときほど、スマートフォンそのものにワクワクしなくなっているのではないか? スマートフォンへの期待が落ち着いているように思う」と話す。
そのため、シャープはAQUOS sense9のコンセプトを「ちょっとアガる、どまんなかスマホ」(清水氏)と定め、「生活の道具としての間違いない性能をしっかりと持ちながらも、ふとしたときに心が潤うようなワクワクを提供し、スマートフォンが提供できる楽しさの真ん中をもう一歩前に進めたい」(清水氏)と考えた。
余談だが、小林氏によると、「AQUOS R9もAQUOS wish4も絶好調に売れている」そうだ。シャープが「機能や性能だけを追求せず、手にしたときに感じられるモダンな日本らしさやたたずまいを意識した」結果、グッドデザイン賞受賞につながり、ユーザーにも評価されたのだろう。
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