中でも影響が大きかったのは、Androidの一部端末だ。例えば、GoogleのPixelシリーズは、ユーザーからの人気が高く、3キャリアが導入していたこともあり、価格競争が激化していた。中でも最もベーシックな標準モデルに位置付けられる「Pixel 9」は、その傾向が顕著だった。ガイドライン改正前は、auがMNPで2年実質47円、ソフトバンクに至っては、機種変更でも2年実質24円という格安価格で販売していた。
一方で、RMJの公開している買い取り価格の推移を見ると、Pixelの残価は比較的下がりやすい傾向がある。タイムラグがあるため、RMJのデータは発売から9カ月目までしか公開されていないが、先代にあたる「Pixel 8」は、その時点で4万8010円まで下落していることが見て取れる。発売時のGoogle直販価格は11万2900円。1年たたずに、買い取り価格が直販価格の4割程度まで下がってしまっているというわけだ。
実質24円なり、実質47円なりの価格は、本体価格のほとんどを免除している。4万4000円までは割引として許容されるが、それを加味してもガイドライン改正前の実質価格を維持するのが困難になることは明白だった。結果として、各社とも軒並みPixel 9の実質価格を2024年12月26日から値上げている。
特にソフトバンクは、Pixel 9の端末購入プログラムを「新トクするサポート(スタンダード)」から「新トクするサポート(プレミアム)」に変更するなど、大幅な見直しを行っている。これによって、実質価格は2年で24円から1年で3万6180円に上がった。条件をそろえるため、期間を2年にそろえると、ガイドライン改定後の実質価格は6万1320円にものぼる。あくまで実質価格ではあるが、ユーザーが支払う金額は2555倍に跳ね上がってしまった。ここまでくると、もはやハイパーインフレだ。
ソフトバンクの場合、Pixel 9以外でも、10万円台前半の端末を1年ないしは2年で格安に抑えているケースが多かった。モトローラのフォルダブルスマホ「motorola razr 50s」は、新トクするサポート(プレミアム)で1年実質1万9836円、Xiaomiの「Xiaomi 14T Pro」も1年実質1万9836円で、いずれも1年ごとに機種変更していけば格安な維持が可能だった。
こうした端末も、ガイドライン改正後は値上がりしている。razr 50sは1年実質3万5200円、Xiaomi 14T Proも1年実質4万240円になった。Pixel 9ほどの大幅な値上げではないものの、一夜にして実質価格が倍増してしまった格好だ。また、ドコモも1年後の下取りで実質価格を下げる「いつでもカエドキプログラム+」の対象機種が変更になるなど、多方面に影響が出ている印象だ。
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