PayPayを主軸とするファイナンス(金融)事業では、連結売上高1837億円(前年同期比+18%)を達成。GMV(決済取扱高)は11.3兆円(+23%)と大幅成長を継続し、連結EBITDA(利息/税金支払いと各種償却前の利益)は353億円で2年連続の黒字を達成。営業利益も四半期ベースで3期連続黒字となり、黒字定着が鮮明だ。
宮川社長は「PayPayはまだ『一合目』で、これからさらに登っていく余地がある」と表現する。PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)やPayPay証券を2025年4月付けでPayPayの直接子会社化するなど、グループの金融サービスをPayPay傘下に集約していく方針だ。
「(金融サービスについて)『複雑な資本構成や複数ブランドが混在していて分かりづらい』と、投資家の皆様に言われていた。PayPayに集約することで決済と金融サービスをシームレスに強化し、さらなる成長を目指す」(宮川社長)
宮川社長はPayPayについて「IPO(株式の新規上場)は考えているが、まだ“改造”する余地がある。PayPayは決済に関して相当いいポジションにいるが、これは『1階建て』の部分だけ。『2階建て』『3階建て』の部分をしっかり作ってから次のステージに行きたい」と説明。「競合他社との比較ではなく、PayPay自身がまだ登りかけた山の一合目くらいの気分。山頂まで色々な知恵を使って、PayPayがやりたいことを全て完成させた上で親離れをしてもらいたい」と展望を示した。
ソフトバンクといえば、2月3日に親会社であるソフトバンクグループ(SBG)と共同で米OpenAIと提携することを発表した。合弁企業「SB OpenAI Japan」を設立し、次世代AIソリューション「Cristal(クリスタル)」の日本企業向け独占販売権を得る。SB OpenAI JapanはソフトバンクはSBGと共同で設立する中間持株会社とOpenAIで折半出資となる。
OpenAIのソリューションに対して、SBGは年間30億ドル(約4500億円)を支払う契約となっているのだが、子会社であるソフトバンクは「Pay for Use(従量制)」負担となっている。その理由について宮川社長は「収益が上がる構造と紐付いた支払い(方法)となり、得るものはあっても失うものはない契約を目指した」と説明する。OpenAIへの支払いは一旦SBGの子会社が受け取り、グループ会社における改造/開発費として流れる仕組みだという。
宮川社長は、AIの発展段階について自動運転車のレベルに例えて説明する。「『ChatGPT(レベル2)』や『Copilot(レベル3)』までは人間の助手だが、Cristalはレベル4の自律型AIだ。その後、レベル5まで進化していく」と説明。「ハンドルのない完全自動運転車のように、企業のシステムの自動化を実現する」と期待を示した。
「当社が先陣を切ってCristalを導入し、企業変革の成果を示していく。かつてiPhoneを全社員に持たせ、社内のペーパーレス化やデジタル化を進めた経験を活かし、まずは自社が“モルモット”となる」(宮川社長)
展開にあたっては約1000人規模の体制を構築。自社とグループ300社から人材を集め、各企業担当者とエンジニア/営業のペアで導入を進める。OpenAIの技術者が1700〜1800人規模と限られているため、まずは大企業から順次展開し、その後中小企業や自治体への導入も視野に入れるとのことだ。
なお、SB OpenAI Japanは半年以内の設立を目指すという。
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