「楽天モバイルだけが自然災害でもつながるのではないか」――。楽天グループが2025年2月14日に開催した決算説明会で、三木谷浩史会長(楽天グループ社長を兼務)はこのように話した。
楽天モバイルと米AST SpaceMobile(以下、AST)が共同で進めているプロジェクトに関し、三木谷氏が実現に向けて意気込みを語った。このモバイル・ブロードバンド通信サービスについて、両社は日本国内で2026年内に始める計画だ。
楽天モバイルとASTは、2020年3月にパートナーシップを締結。ASTの低軌道衛星と市販のスマートフォンの直接通信を目指す「スペースモバイル」プロジェクトを進めている。
2022年9月11日には、ASTが米国で試験衛星「BlueWalker 3」の打ち上げに成功。2023年4月には、世界初となる低軌道衛星によるモバイルブロードバンド通信を使い、スマートフォン同士の音声通話試験に米国で成功した。
同プロジェクトの進捗ついて、三木谷氏は「2025年3月に日本での実証実験を終了する」とした上で、「その後、衛星の打ち上げを通じて、2026年のできるだけ早い段階で、衛星と携帯電話の直接通信サービスを開始したい」と述べた。
自然災害が多く山岳地帯や離島が多い日本では、低軌道衛星を活用した通信サービスへの需要が高まっている。2024年1月1日に発生した能登半島地震では、復旧に向かう道路が寸断され、応急復旧に時間がかかった。低軌道衛星による通信サービスなら、地上の状況に左右されることなく、携帯電話を利用できるようになる。
同サービスが開始されれば、「おそらく楽天モバイルだけが、どのような自然災害があっても、つながる状況を実現できるのではないかと思う」と三木谷氏は自信をのぞかせる。
2024年2月16日には、両社が共同会見を実施。テキストメッセージだけでなく、音声通話やビデオ通話などを、市販のスマートフォンで利用可能になると明らかにした他、「AST衛星1基ごとのアンテナが巨大であることから、わずか96機の衛星でもグローバルをカバーできる」ことなど、独自の“強み”をアピールしていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.