Samsung Electronicsは10月22日、Android XRベースのヘッドセット「Galaxy XR」を発表した。価格は1799.99ドル(約27万3000円)で、米国と韓国で同日より販売を始めた。日本での展開は未発表だ。
リフレッシュレート最大90Hzの4K Micro-OLEDディスプレイを搭載し、解像度は片目あたり3552×3840ピクセル、約2700万画素となっている。瞳孔間距離(IPD)は54〜70mmで、別売りの視力矯正レンズも装着できる。
プロセッサにはSnapdragon XR2+ Gen 2を採用し、メモリは16GB、ストレージは256GBを搭載している。ワイヤレス機能はWi-Fi 7、Bluetooth 5.4に対応する。
バッテリーパックは外付け式(約302g)で、駆動時間は通常使用で最大2時間、ビデオ再生で最大2.5時間となる。
本体には2つの高解像度パススルーカメラ、6つのワールドフェイシングトラッキングカメラ、4つのアイトラッキングカメラ、5つの慣性センサー、1つの深度センサー、1つのフリッカーセンサーを搭載している。3D写真や3Dビデオの撮影に対応している。
虹彩認識を採用しており、デバイスや特定アプリでのロックに利用できる。
本体の重さは約545g(額当てクッション含む)。2ウェイスピーカー(ウーファー、ツイーター)、6つのマイクを搭載している。着脱式の遮光パーツも用意される。
カラーバリエーションはシルバーシャドウのみ。別売りのコントローラー(250ドル)や専用ケースなども用意される。
Samsung Electronicsは「人間中心設計に基づき、長時間の装着でも快適な装着感を実現できるように設計した。形状、先進素材、そして各部品の構造最適化を組み合わせることで、軽量設計と日常使用に耐える頑丈さの最適なバランスを実現している」と説明している。
Galaxy XRは、GoogleのAndroid XRプラットフォーム第一号の製品となる。同プラットフォームを採用したことにより、Playストアに公開されているAndroidアプリ全てをすぐに利用できる。
発表会では、MetaのQuestシリーズ向けゲームタイトルの移植が予告されている。また、海外メディアではアプリ「Virtual Desktop」の動作するため、PC VRにも対応できるだろうとの見立てがあるようだ。
さらにOSに統合されたAIエージェント「Gemini」によって、音声や視線、ジェスチャーといった入力を通じて周囲の状況を理解し、人間味のある会話形式の自然なやりとりを実現するという。
例えばGoogle関連のアプリでは、Google マップで没入型の3Dマップを開いた状態で、任意の場所に移動してGeminiのパーソナライズされたガイドを利用できる。
YouTubeでは、Geminiにコンテンツを探してもらったり、視聴している動画の詳細情報を尋ねたりできる。スポーツの試合のマルチビューを同時視聴できる。
他にも、パススルー状態で周囲にあるものを手で円を描くように囲むことで「かこって検索」を利用したり、Google フォトで写真や動画を3D化して没入感のあるコンテンツに変換して視聴したりできる。
他にもAndroid XR向けのゲームをプレイしながらGeminiに攻略情報を尋ねたり、AdobeのProject Pulsar」アプリを使って大きな作業領域で動画編集を行えたり、プラットフォームを生かしたサードパーティー製アプリとの連携も利用できる。
Samsung Electronicsは、Galaxy XRのビジネス用途にも注力しているとして、自社グループのSamsung Heavy Industriesと連携し、造船のバーチャルトレーニングコンテンツを活用している。いずれもQualcommと連携することで、企業ユースのアプリ開発者向けにもアプローチするという。
Samsung Electronicsは、XRデバイスのロードマップとして、Galaxy XR以外にも複数のフォームファクターを開発中であることを予告している。現在はアイウェアブランドの米Warby Parkerや韓国Gentle Monsterと連携し、「スタイリッシュでファッショナブルなアイウェアを開発している」という。
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