スマートフォンのバッテリーが大容量化する背景には、ユーザーの使用スタイルの変化と、それに対応する技術的な進化がある。
まず大きいのは、コンテンツがリッチになったことによる消費電力の増加だ。特にSoC(プロセッサ)の高性能化は年を追って進化を続けている。
近年はCPUコア数の増加、クロック周波数の上昇、GPU性能の大幅向上が進み、ゲームをはじめAI処理、動画編集などの高負荷タスクをスマホでこなせるようになった。プロセッサも微細化によって電力効率が向上したとはいえ、性能向上に伴いピーク時の消費電力は数年前の倍近くに達するものもある。スマートフォンの最新性能を支えるためにも大容量バッテリーは求められる。
ハードウェアとしては、画面の大型化と高解像度化、高リフレッシュレート化も消費電力増加の理由と考える。
5〜6年前は5型クラス、画面解像度もフルHD(1920×1080ピクセル)解像度が主流だったが、今では6.5型クラスが主流になり、ディスプレイの解像度もQHDや、フルHD解像度を上下に引き伸ばしたフルHD+が一般的になった。
加えて、120Hzや144Hzという高いリフレッシュレートは、多くのAndroidスマートフォンでは当たり前になりつつある。スクロールの滑らかさに加え、ゲーム用途で高リフレッシュレート化が進んでいる。
そのため、ディスプレイの消費電力やGPU負荷が上昇。特に常時高リフレッシュ設定にしている場合はバッテリー消費が顕著となる。
実際、Galaxyのようにソフトウェアだけでなくディスプレイをはじめとしたパーツレベルでの最適化を行うことで、消費電力を抑える取り組みをしているメーカーもあるくらいだ。
この他に、コンテンツそのもののリッチ化も大きな要因といえる。日常的に動画を視聴する場面が増えた現代では、以前よりもスマートフォンで消費する電力は大きくなっている。
スマホゲームも著しく進化しており、“据え置き機並み”の高負荷タイトルが次々と登場。日本でも人気の「原神」や「崩壊スターレイル」といったゲームはSoCをフル稼働させ、短時間でバッテリーを消耗する。長くゲームで遊びたいという需要にも大容量のバッテリーは応えてくれる。
この他に、AIを用いた各種サービスの浸透がある。写真・動画の自動補正はもちろん、音声アシスタント、チャットAIなどをはじめ、端末内で推論処理を行うアプリケーションも登場している。これにより、CPUやNPUが電力を消費する場面が増加している。
便利に利用できる意味では、地図、天気、ライフログ、フードデリバリーなどのアプリは、位置情報やモバイル通信を常時使用している。これもまた、バッテリーへの負担を増やす要因の1つだ。
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