かつては3000〜4000mAhが標準とされていたスマートフォンのバッテリー容量。近年は5000mAhを基準とし、それを超える大容量機種が当たり前となりつつある。ハイエンドだけでなく、ミドル〜ローエンド帯でも大容量化が進んでおり、ユーザーの使用スタイルや技術の進歩を背景に、その傾向は加速している。
本稿では、日本・中国市場における実例を交えながら、スマホのバッテリー大容量化の背景と、今後の展望について考察する。
日本市場においても、スマートフォンのバッテリー容量増加は明確なトレンドだ。かつては携帯性を重視しないスタミナ特化モデルに限られていた5000mAh超えの機種が、2025年現在では定番仕様となりつつある。
例えば、「Xiaomi 15」は6.3型クラスのコンパクトな機種ながら5240mAhと従来よりも大容量のバッテリーを採用。それより大型の機種では「OPPO Find X8」が5630mAh、「nubia Z70 Ultra」が6150mAhを採用。やはり、バッテリーの大容量化がここ数年で急速に進んでいる。
ゲームに特化した仕様のスマートフォンならどうだろうか。ゲーミングスマホの代表格である「ROG Phone 9」は5800mAh、「REDMAGIC 10 Pro」は7050mAhとこちらもやはり大容量。10万円を超えるハイエンドスマホでは、全体的にバッテリー容量の底上げが進んでいる。
バッテリー容量増加の流れは5万円前後のミッドレンジの価格帯にも広がってきている。OPPO Reno13 Aは5800mAh、POCO X7 Proは6000mAhと5万円以下のスマートフォンにも大容量バッテリーを採用する機種が登場し始めている。
バッテリー容量が大型化する中、特に大容量なバッテリーを採用したスマートフォンが当たり前になりつつあるのが中国市場だ。ここでは6000mAh級のバッテリーを搭載したスマートフォンが日常的に登場しており、2025年に入って販売されたフラグシップスマホはほぼ6000mAh級の容量を備えている。
2025年に登場した各社のフラグシップスマートフォンを列挙してみたが、軒並み6000mAhクラスの大容量バッテリーを採用しており、5000mAh台は少数派となっている。
もちろん、中国でもハイエンドに限らず、廉価なミッドレンジスマホでもバッテリーの大容量化は進んでいる。このセグメントでは、ハイエンド機以上に大容量化が進んでいる。
例えば8000mAhのバッテリーを備えるHONOR Powerやvivo iQOO Z10 Turbo+を筆頭に、iQOO Z10 Turbo(7620mAh)、REDMI Turbo 4 Pro(7550mAh)、OnePlus Ace 5 Racing(7100mAh)などの7000mAh超え、はたまた8000mAhクラスのバッテリー容量を備える機種が立て続けに登場している。
このような流れからか、中国ではコンパクトな機種にも6000mAh級のバッテリーを搭載して従来機種との差別化を図っている。OnePlus 13T(6300mAh)とvivo S30 Pro mini(6500mAh)は共に、6.3型クラスのディスプレイを備えている。iPhone 16やGalaxy S25と同じくらいのサイズのスマートフォンでも、フラグシップ級のバッテリー容量を備える機種が出ている。
もちろん、折りたたみスマートフォンにも例外なくバッテリーの大容量化の波は来ている。HONOR Magic V5、vivo X Fold 5が6000mAhと大容量。薄型化の関係で大容量化が難しいと言われたセグメントでも、大容量化を達成している。
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