スマホのバッテリーが大容量化を果たした3つの理由 今後は1万mAh超えのバッテリーも現実的に?(1/3 ページ)

» 2025年10月30日 10時38分 公開
[佐藤颯ITmedia]

 かつては3000〜4000mAhが標準とされていたスマートフォンのバッテリー容量。近年は5000mAhを基準とし、それを超える大容量機種が当たり前となりつつある。ハイエンドだけでなく、ミドル〜ローエンド帯でも大容量化が進んでおり、ユーザーの使用スタイルや技術の進歩を背景に、その傾向は加速している。

 本稿では、日本・中国市場における実例を交えながら、スマホのバッテリー大容量化の背景と、今後の展望について考察する。

日本でも増えている、バッテリー「5000mAh超え」のスマートフォン

 日本市場においても、スマートフォンのバッテリー容量増加は明確なトレンドだ。かつては携帯性を重視しないスタミナ特化モデルに限られていた5000mAh超えの機種が、2025年現在では定番仕様となりつつある。

 例えば、「Xiaomi 15」は6.3型クラスのコンパクトな機種ながら5240mAhと従来よりも大容量のバッテリーを採用。それより大型の機種では「OPPO Find X8」が5630mAh、「nubia Z70 Ultra」が6150mAhを採用。やはり、バッテリーの大容量化がここ数年で急速に進んでいる。

 ゲームに特化した仕様のスマートフォンならどうだろうか。ゲーミングスマホの代表格である「ROG Phone 9」は5800mAh、「REDMAGIC 10 Pro」は7050mAhとこちらもやはり大容量。10万円を超えるハイエンドスマホでは、全体的にバッテリー容量の底上げが進んでいる。

Xiaomi 15 コンパクトでも大容量バッテリーを採用するXiaomi 15
REDMAGIC 10S Pro 7050mAhのバッテリーを搭載するREDMAGIC 10S Pro

 バッテリー容量増加の流れは5万円前後のミッドレンジの価格帯にも広がってきている。OPPO Reno13 Aは5800mAh、POCO X7 Proは6000mAhと5万円以下のスマートフォンにも大容量バッテリーを採用する機種が登場し始めている。

OPPO Reno13 A OPPO Reno13 Aは5万円以下の機種だが、5800mAhのバッテリーを採用。大容量バッテリーで長く使えることをアピールしている
POCO X7 Pro XiaomiのPOCO X7 Proも5万円以下の機種。こちらは6000mAhのバッテリーに加え、90Wの急速充電にも対応する

中国ではより大容量の6000mAhが標準に 8000mAh超えのスマホも登場

 バッテリー容量が大型化する中、特に大容量なバッテリーを採用したスマートフォンが当たり前になりつつあるのが中国市場だ。ここでは6000mAh級のバッテリーを搭載したスマートフォンが日常的に登場しており、2025年に入って販売されたフラグシップスマホはほぼ6000mAh級の容量を備えている。

  • Xiaomi 15 Ultra(6000mAh)※
  • OPPO Find X8 Ultra(6100mAh)
  • vivo X200 Ultra(6000mAh)
  • nubia Z70 Ultra(6150mAh)
  • Huawei Pura80 Ultra(5800mAh)
※中国で販売されているXiaomi 15 Ultraはグローバル向けとバッテリー容量が異なる。

 2025年に登場した各社のフラグシップスマートフォンを列挙してみたが、軒並み6000mAhクラスの大容量バッテリーを採用しており、5000mAh台は少数派となっている。

 もちろん、中国でもハイエンドに限らず、廉価なミッドレンジスマホでもバッテリーの大容量化は進んでいる。このセグメントでは、ハイエンド機以上に大容量化が進んでいる。

 例えば8000mAhのバッテリーを備えるHONOR Powerやvivo iQOO Z10 Turbo+を筆頭に、iQOO Z10 Turbo(7620mAh)、REDMI Turbo 4 Pro(7550mAh)、OnePlus Ace 5 Racing(7100mAh)などの7000mAh超え、はたまた8000mAhクラスのバッテリー容量を備える機種が立て続けに登場している。

HONER Power HONOR Powerは8000mAhの大容量バッテリーを採用する
Redmi Turbo 4 Pro XiaomiのREDMI Turbo 4 Proは7550mAhの大容量バッテリーを採用。日本では一部仕様を変更してPOCO F7として販売されている

 このような流れからか、中国ではコンパクトな機種にも6000mAh級のバッテリーを搭載して従来機種との差別化を図っている。OnePlus 13T(6300mAh)とvivo S30 Pro mini(6500mAh)は共に、6.3型クラスのディスプレイを備えている。iPhone 16やGalaxy S25と同じくらいのサイズのスマートフォンでも、フラグシップ級のバッテリー容量を備える機種が出ている。

 もちろん、折りたたみスマートフォンにも例外なくバッテリーの大容量化の波は来ている。HONOR Magic V5、vivo X Fold 5が6000mAhと大容量。薄型化の関係で大容量化が難しいと言われたセグメントでも、大容量化を達成している。

vivo S30 Pro mini vivo S30 Pro miniはコンパクトなボディーに6500mAhのバッテリーを採用する
vivo X Fold 5 vivo X Fold 5も折りたたみスマホの中では大容量の6000mAhのバッテリーを採用する
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