とはいえ、ドコモ光やドコモでんき、ドコモガスはドコモ自身がインフラを敷設しているわけではなく、あくまで販売を担っている形だ。光回線に関してはグループであるNTT東西の回線を販売している形だが、電気やガスについては手数料収入が中心。「今はまだ成長を目指すタイミングなので、お客さま還元にはかなり力を入れている」こともあり、ドコモにとってのもうけは少ない。
ドコモガスのビジネスモデル。ドコモが受け取っているのはあくまで手数料となり、そこまで大きな利益を得られるわけではない。NTT東西のネットワークを使うドコモ光や、NTTアノードエナジーの電気を販売するドコモでんきも、建てつけはこれに近いそれにもかかわらず、ドコモがイエナカサービスに本腰を入れているのは、「明らかに波及効果が高い」からだ。小島氏によると、「dカードも同時に加入いただく方がかなりの数いる」ため、「ここで期待ほどもうけられなかったとしても、他のサービスで相乗効果が作れる」。先に述べたように、ロイヤルカスタマー化して解約を抑制し、1ユーザーからの収入を長期化するメリットもある。
小島氏によると、当面の目標は「まず1000万世帯」。この規模感に達した後、オプションサービスなどの販売も検討していくようだ。小島氏は「モバイルのオプションサービスにはいろいろなものがあるが、意外とイエナカは積極的にやってこなかった。1000万世帯になってきたら、そのお客さまに対し、300円、500円でこんなに便利なことができるのかということをお見せし、ARPU(1ユーザーからの平均収入)を上げていきたい」と語る。
一方、最近では、鉄道、航空会社やネットサービス事業者などもインフラサービスや金融サービスに力を入れており、「ここにきて経済圏競争が激化している」。小島氏も「リアルな接点をお持ちの方々は(ドコモにとっての)脅威になるかもしれない」との認識を示す。
特に鉄道事業者の場合、ユーザーの利用頻度が高く、「沿線に住んでいる人を根こそぎ取っていきますとなると、1つの経済圏が確立する」。独自の経済圏を持つ事業者が、ホワイトレーベルのMVNOを使ってモバイルサービスに参入する事例も出てきた。母数の大きさやユーザー接点の多さという現時点でのリードを生かしながら、いかに派生サービスにつなげていけるかが今後の行方を占う鍵になりそうだ。
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