―― 設備投資が2026年に2000億円を負担するということで、重い額ではないか。
鈴木氏 そうですね。額もさることながら、本当に使えるのか。つまり、工事会社さんが逼迫(ひっぱく)していて、人手の確保が難しくなっています。実は昨年も発注はしていたのですが、結果的に人の手配がつかなくて(できなかった)ということが結構ありました。今年もそういうリスクがあると思っています。
―― 設備投資で重視するところはどこか。
鈴木氏 基地局建設です。プラチナバンドでも。われわれとしてのベストミックスを追求するという言い方をしていますが、今、拡張しているところです。
―― 5G SAの展開がかなり遅れている印象だが。
鈴木氏 今年いっぱい時間をいただきたい。今年中には運用できる形にできるかなと思っています。ですから来年(2027年)早々には何とか、サービスが幅広くローンチできるようにしたい。
―― どのあたりで手間取っているのか。楽天モバイルは他社と比べてソフトウェアアップデートで対応しやすいはずで、三木谷氏もそういう言い方をしていた。
鈴木氏 ソフトウェアなので、完成品が稼働すればアップデートでカバーできると思いますが、ソフトウェアを完成させるまでが(時間がかかる)。完成度を高めるために、かなりの工数を使っています。検証を入念に繰り返し、慎重に、というところはあります。
―― エンドユーザーが実際に5G SAにつながるための端末を、どう広げていくつもりなのか。
鈴木氏 デバイスベンダーさんといろいろディスカッションしています。例えば優先制御的なサービスが、コンシューマーでどこまで必要なのかという話など。優先制御はB2Bの方が考えやすい。例えば政府の要人には優先制御を完璧にした携帯サービスを使っていただくとか。B2Cの世界で幅広く提供していくときに、どんなシナリオがいいのかというのは、今、研究しているところです。どんなサービスを出していくかが決まってくるとデバイスも決まっていく、そういう感じだと思います。
―― 4Gの周波数が限られている中で、5G SAがローンチすると魅力が高まると思うが。
鈴木氏 起爆剤にしたいと思っています。今年中になんとかアベイラブル(利用可能な状態)にして、正式ローンチは来年頭ぐらいでと思っていますが、あくまで予定です。まだ完璧な計画として発表はしていません。
―― KDDIとソフトバンクがRCSを導入した。Rakuten LinkもRCS(Rich Communication Services)ベースだが独自仕様になっている。Rakuten Linkは今後どうしていくのか。
鈴木氏 お互いにトランスペアレントにやりとりできるように、常に話はしています。ただ、Rakuten LinkはRakuten Linkで非常に強化しており、無料で使えるAIについては非常に好評です。評価して使っていただいている方も、かなりたくさんいらっしゃる状態。Rakuten Linkとして機能強化は継続してやっていきたい。
―― 最近はスマホにAIの要約機能やAIによる電話の自動応答機能が搭載され、Rakuten Linkに着信するとそれが使えないという声も聞く。
鈴木氏 Rakuten Linkの中に搭載したAIの使い勝手を改善することで、その辺はうまくやっていきたいと思います。
―― Rakuten Linkは広告メディアとしても収益が上がっているのか。
鈴木氏 そうですね。大きくなってきました。
―― KDDIとソフトバンクが「数を追わない(純増数を争わない)」と言った。戦いにくくなる可能性はあるか。
鈴木氏 一定の契約者数を持っていらっしゃるから言えるのだと思います。ステージが違う。われわれはまだ数を伸ばさないといけないところだと思います。
―― 数を伸ばさないといけないステージはいつまでか。
鈴木氏 1つはNon-GAAP営業利益の黒字化。そこが1つの目安になると思っています。
―― 契約数で言えないか。
鈴木氏 いろいろなシナリオを持っています。ARPUとの掛け算、設備投資、この方程式で決まっているので、いくつかのパターンはいつも頭の中にあります。でも「じゃあこれで」という話をできるような状況ではないです。
―― 1000万を超えたあたりから、売っている端末のバリエーションが増えてハイエンド端末も増えた。余裕が出てきているのか。
鈴木氏 余裕というより、お客さまの数が増えれば、それだけご要望の種類も増えるということだと思います。要望に応えていかなければいけない。
―― ドコモの3G終了はプラスの効果があるか。
鈴木氏 一応、期待はしていますが、既に手を打たれていらっしゃいますし、サービスが終わったからといって急激に変わる流れにはならないのかなと思っています。もう皆さん、かなりの方が既に変えていると思います。
―― 楽天モバイルに流れてきた部分もあるか。
鈴木氏 あると思いますし、もっと獲得したいと思っています。シニア層は開拓がまだ十分とはいえないので。
―― 何が足りなくて、シニア層を取りきれていないのか。
鈴木氏 対面力でしょうか。シニアはオンラインでサインアップする方が少なくショップに行く。ショップに行く時も、1人ではなく家族が付き添って、家族に説明してもらいながら契約をする。ですから、われわれもシニアの方に来ていただけるような店舗作りを目指して、いろいろと改良しているところです。
―― ショップを増やしていくのか、あるいはポップアップで接点を増やしていくのか。
鈴木氏 通常の出店計画の中でやっています。今やろうと思っているのは、特に店舗でのオプション販売。例えば「最強保護」といっていますが、セキュリティ関連をシニアの方に訴求をしたい。店舗で分かりやすく説明できるようなトレーニングを、店舗のクルーにしたりしています。
―― 携帯を売るだけではもったいない。
鈴木氏 そうですね。将来は、もしかしたらですけども、いろいろな楽天のサービスを紹介できれば。銀行や証券は金融法の問題があるので難しいですが、既に今、店舗で楽天でんきや楽天ひかりの契約ができるようになっています。
―― ドコモがマネックス証券を取り扱う資格を持つスタッフを配置し始めている。楽天証券や楽天カードへの誘導はどうか。
鈴木氏 担当外なので、どういう計画があるのか完璧に把握はしていませんが、可能性はあると思っています。
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