世界を変える5G

なぜドコモは「値上げ」に踏み切れないのか? 背景にある通信品質、5G設備投資の遅れが足かせに石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2026年05月09日 11時00分 公開
[石野純也ITmedia]

他社より少ない5G基地局、SAエリアの拡大も課題に

 一方で、品質改善はあくまで2023年度やドコモ内での比較になる。5万を超えたという5Gの基地局数も、依然として他社より少ない。総務省が1月に公開した「令和7年度携帯電話及び全国BWA等に係る電波の利用状況調査」によると、KDDIは2025年3月時点で約11万、ソフトバンクも10万を超えており、ドコモとは2倍近い差が開いている。

ドコモ 総務省の調査資料を見ると、ドコモの5G基地局数は1年前のKDDIやソフトバンクにも及んでいないことが分かる

 また、5G SAも、KDDIは人口カバー率90%超を掲げており、既に面展開が進んでいる。数値目標は掲げていないものの、ソフトバンクも2025年から5G SAのエリアを急速に広げており、「VoNR」や「5G RedCap」といった5G SAならではのサービスも導入した。実際、上記の総務省調査では、KDDIが約4万、ソフトバンクが約10万の5G SA基地局を導入しているのに対し、ドコモは約1万4000と数が少ない。

ドコモ 5G SAの基地局数でも他社との開きが大きい

 こうした各種指標からは、ドコモが一時の最悪な状況は脱していることがうかがえるものの、他社にキャッチアップできていない現状も見えてくる。

 第三者機関の調査も、それを裏付ける。英調査会社Opensignalが4月に発表した日本の通信体感分析では、auが全18部門中11部門で1位を獲得し、国内最多となったが、ドコモはエリアの広さを示すカバレッジを中心に4部門の受賞にとどまっている。総合力を示す「一貫した品質」では楽天モバイルに負けて最下位となり、上位2社のauやソフトバンクに大きく水をあけられている状況だ。

ドコモ
ドコモ 英Opensignalが4月に発表した調査結果。KDDIとの差が大きく、一貫した品質では最下位になった

 実際、2023年ごろと比べれば数は減ったものの、「ドコモが遅い」「つながらない」といったネガティブな声は収束していない。4月下旬には「ahamoが遅い」という批判がX(旧Twitter)を中心に広がり、物議を醸した。

 加入者獲得にコストをかけていることもあり、MNPではプラスになっているが、ネットワークはキャリアにとって競争力の源泉。通信品質が悪いと、料金の安い小容量プランで獲得したユーザーが定着せず、ahamoやドコモMAXなどの中大容量プランに移行させていくアップセルも難しくなる。結果として、より獲得コストをかけなければ他社に対抗できない悪循環に陥ってしまう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月22日 更新
  1. キャリアショップや家電量販店よりも厳しい現実――街中の「併売店」の“今”を探る (2026年09月21日)
  2. 月40GBになった「ahamo」はどれだけお得? 他社中容量プランと比較、「大盛り」に意外な落とし穴も (2026年09月21日)
  3. 「マイナポータルアプリ」が「マイナアプリ」へ刷新されて何が変わった? メリットや利用方法を解説 (2026年09月20日)
  4. iPhone 18 Proに保護フィルムを貼るとFace ID認証できない不具合 原因は“赤外線カメラの位置” (2026年09月19日)
  5. 出そろった「iPhone 18 Pro」の価格を4キャリアで比較 ソフトバンクが衝撃の安さ、楽天モバイルが異例の施策 (2026年09月13日)
  6. 「iPhone 18 Pro」で“Face ID認証できない”問題、Appleが対処法を案内 やはり「画面フィルム」に言及 (2026年09月21日)
  7. 富裕層向けカードの潮流が変化 アメックス、三井住友、ダイナース、ラグジュアリーカードが狙う“特別な体験価値”とは? (2026年09月22日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. Amazonで低評価だった「Google Pixelsnap リングスタンド」が大満足だった理由 (2026年09月21日)
  10. ドコモでiPhoneのeSIMクイック転送が利用できない不具合 Appleオンラインストアで購入+機種変更手続きが対象 (2026年09月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー