激レア“完全機械式”チェキ「TTArtisan 203T」先行レビュー エモい撮影体験と、試作機ならではの不満点(4/6 ページ)

» 2026年08月07日 13時00分 公開

Instaxではできないアナログなボケ表現とシャープな写り

 富士フイルムが作る本家Instaxと比べ、よりシャープに写る点も満足度が高い。F3.5の明るいレンズのおかげでしっかりと背景がボケる上に、夜間や屋内でもフラッシュなしで撮影できる。

 本家Instaxでは、昼間でもカフェなどの屋内で意図せずフラッシュが発光してしまうことが多々あるが、フルメカニカルのTTArtisan 203Tは完全に撮影者の思い通りにコントロールできる。ピント合わせもレンジファインダーを使って完璧に追い込める。

photo 暗い店内での撮影。フラッシュなしでボケを生かした表現が可能

 シャッター音が静かで、フィルムの排出も任意のタイミングで行えるため、撮る場所を選ばない点も最高だった。本家Instaxの電動排出機構は動作音が大きく、周囲からの注目を集めてしまうことが多々あったが、TTArtisan 203Tにはそのストレスがない。もっとも、本体が目立つオレンジ色である点とはトレードオフかもしれないが(笑)。

 地味に助かったのが、飛行機に搭乗するシーンだ。フィルムカメラをX線検査に通さずハンドチェックを依頼する場合、日本の空港では保安上の理由から「その場で1枚撮影する」ことが求められる。

 Instaxではフィルムを1枚無駄に消費してしまうが、メカニカル式のTTArtisan 203Tなら、シャッタースピードを最速、絞りを最大に設定し、レンズ面を手で完全にふさいで空シャッターを切れば、フィルムを感光させずに使い回せる。フィルム価格が高騰する中、1枚も無駄にしないで済むのは非常にありがたい。

レンジファインダーの品質/精度問題

 一方で、実際に触れて感じたストレスポイントも多々あった。中でも、レンジファインダーの品質には大きな不満が残る。

photo ファインダー内部の様子。まるで穴をのぞいているかのよう

 これほど大きなファインダーを搭載しているのだから、当然その見え味にも期待してしまうが、いざのぞいてみると残念な気持ちになった。ファインダーの倍率が低く、視野角も極めて狭い。公式スペックは不明だが、感覚的には0.5倍程度しかないように思える。

 加えて、実際に写る範囲が分からない。通常のレンジファインダーカメラには撮影範囲を示すブライトフレームが存在するが、TTArtisan 203Tは上部と左右にそれらしい線があるものの、実際に撮影してみると枠として全く参考にならない。何度か練習を重ね、“心の目”でフレーミングを補う必要がある。

 ピント合わせを担うレンジファインダー機構の安っぽさも否めない。二重像が合致するスイートスポットが非常に狭く、少しでものぞく目を上下左右にぶらすと、二重像も一緒に動いてしまうのだ。上下のズレはまだしも、左右でこれが起きるとピント自体がわずかにずれてしまうため、正確に合わせるには修練が必要となる。

 筆者は普段からレンジファインダーの最高峰であるライカを使用しているため、その激しい落差にがっかりしてしまった。約400ドルという価格に多くは求めないが、せめて「どこからどこまでが写るのか」を正確に把握できるよう、ブライトフレームだけはしっかりと表示してほしかったというのが本音だ。

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